神々が世の中の正義を維持する方法は、本当に世の中の想像を超えているようだ。(Graphs / PIXTA)

生きながら地獄に検挙された男の話

目に見えないものを信じないのだろうか?例えば、人間の目は可視光線しか見ることができない。しかし、可視光線の何千倍も波長の長い不可視光線も存在するのだ。

ハイテク・ボディライト・フォトグラフィー(通称:キルリアン写真)により、人や物から発せられる輝く光を撮影することができる。また、キルリアン写真により、人の目には見えない中医学の経絡やツボ、エネルギーフィールドなどの存在も確認することができる。

優しくて純粋な人ほど、体から発せられる輝きが美しい。反対は暗いのだが、中国の民衆は邪悪を表すのに黒を使う。人が悪事を働き過ぎたとき、人々はそれを「その人の心は黒い」と表現する。悪の実体が黒であることを、ある覚者が見抜いたから、このような描写になったのだろうか?

清の時代、官職に就くため、手段を選ばなかった男の話がある。その結果、彼は悲しい結末を迎えた。

清朝末期、陳という役人がいた。彼が福建省で仕えていた頃、役所には江蘇省常州出身の李という名の警察長官がおり、とても優秀で、容姿端麗だった。総督は、彼を高く評価していた。

ある日、都から総督の古い知人である占い師がやってきた。総督はこの占い師のために場所を用意し、同僚などにも推薦するよう、李に頼んだ。

李の協力もあって、多くの人々がこの占い師のところにやってくるようになり、占い師は2ヶ月足らずで1000両の銀を手に入れることになり、李は占い師に大変感謝された。

しばらくして占い師が都を去る時がきた。李はひとつだけ頼みがあるといい「都を去るとき、総督は必ず、誰が最も富貴(財産があり身分が高い)になる運命を持っているかと尋ねるはずだ。その時私を越える者はいないと答えてくれ。それで十分だ」と占い師に頼んだ。

総督は李が頼んだ通り占い師に聞いてきた。そこで占い師は李の言う通り「李長官以下の役人をすべて見たが、最も運がいいのは李長官で、あなた(総督)にも劣らない運勢になるだろう」と言った。

占い師が去った後、総督は李にいっそう好感を持ち、力添えをするようになった。

ある日のこと、阿林保総督は李長官を公邸に呼び、「君を昇進させたいが、君の官職はあまりにも低い」「さあ、2000両を支援するから、政府に寄付して、通判(監督官)の地位を手に入れるのだ。その後、方法を考える」。李はお金を寄付して都に入り、官職の選定を待っていた。

李は総督の要請により、福建省での勤務を命じられ、仕事を精力的にこなし、どんどん昇格した。

その後、総督が転任し、その前に李を太守(郡の長官)に推薦した。李はすぐに、泉州の太守を一時的に引き継ぐことになった。

陳其元の父は当時ちょうど、泉州の李太守のもとで働いていた。

新年を迎えるにあたり、陳は李太守の家に行って新年を祝った。二人は旧知の仲だった。福建省内の通判官の候補だった俞益(ユイ)は陳と旧知の仲でもあり、ユイは李太守に会いたいと思っていた。ユイは翌日の夕食に李太守と陳を招待することにした。

翌日、ユイは大砲の音を聞いて李太守が来たと思い、急いで服を整え、静かに太守を待ったが、長い間待っていても太守の姿は見えない。そこで、彼は人を遣わして問い合わせた。下人は、「太守が外出して、すぐ幽霊に遭遇したので、役所に戻って二度と出てこない」という。李は翌日も怖くて出られなかった。

その次の日も、李は未だ出て来る様子はなかった。ユイは待ちきれず直接、李太守の公邸を訪ねた。すると李はユイを招き入れ、「挨拶に行くところだった。あなたに託したいことがある」と言った。

李は「一昨日、家を出たところで、突然、何人かの男が私の駕籠(かご)を止め、襲ってくるのが見えた。慌てて部下に逮捕するよう命じたが、不思議なことに部下は誰も見えていない。家に帰ると、夜中に具合が悪くなった。その夜、冥王に連れ出される夢を見た」

「そこで私が十の罪を犯していることがわかったが、私はすべて認めなかった。冥王は激怒し、昨夜は鉄の棒で百叩きの刑に処され、とうとう私は一つの罪を認めた」と言った。彼が服をめくってユイに見せると、その尻は一面、酷く変色していた。

彼は召使に命じて一つの箱を開けさせた。中には錦の高級な巻物が入っており、取り出して広げてみると、そこには美しい女性が描かれていた。ユイは驚いて、「この女性はどなたですか?」と尋ねた。李は、「不肖のことをなぜこれ以上言う必要があるのだ?」と言った。

それから彼は火をつけて、その美しい女性の絵を燃やすと、「これは私が冥王に認めた罪だ」とため息をついた。

ある日の明け方、李は人を遣わして、ユイと陳の父を招いた。会うなり、李は陳の父の手をつかみ、「私は直ぐに死ぬだろう」「昨夜は冥王が非常に怒り、厳しく尋問し、最後には炮烙(銅の柱に縛り付け、柱の中に炭火を空焚きする古代の拷問方法)で拷問された。私はそれに耐えられず、自身の罪をすべて告白した」と言った。

李はため息をつきながら、「元々、私はトップの地位につく宿命だったが、出世欲が強く、ずるがしこく、ごまかしが多かったため、多くの悪業を作り出し、良い結末を迎えることができない。数日後に私を泉州の総督に任命する公文書が届けられるだろう」

「自分はもう死ぬが、ただ、皆には、名声を得るために見栄を張ったり、危険を冒したりすることなく、平穏で正直な心で生活してほしいと切に勧めるだけだ。私の話を君たちも教訓としてくれ」と言い、しばらくして息を引き取った。

李は、白い肌をした背の高い、がっしりとした男だったが、棺に入れられると、体は子供の大きさにまで小さくなり、全身は炭のように真っ黒になってしまった。彼の死後3日目には公文書が省に送られ、そこには確かに李が泉州の総督に任命されたことが記されていた。

人知れず、李は地獄に検挙され、処罰を受けることになった。神々が世の中の正義を維持する方法は、本当に世の中の想像を超えているようだ。

(翻訳・金水静)