研究では怒り、情緒過激、激しい運動が脳卒中を誘発する可能性がある

脳卒中の引き金となるものは何ですか?その答えはなかなか出てきませんが、最近の研究によると、脳卒中患者の多くは、脳卒中の直前に、怒り、極度の不安、悲しみ、不機嫌、あるいは肉体的に力を使い果たしたなど、似たような経験をしたことがあるようです。

この研究では、11人に1人が、脳卒中のほんの1時間前に、怒りや情緒過激の発作を経験していることがわかりました。20人に1人は、重い運動や持続的な高強度運動をした直後でした。

報道によると、アイルランド国立大学ゴールウェイ校(National University of Ireland Galway)が主導したこの研究は、世界32カ国・異なる民族の1万3462例の急性脳卒中患者を分析したもので、同類の研究では最大規模の脳卒中研究(INTERSTROKE study)の一部であるとのことです。『European Heart Journal』(ヨーロッパ心臓雑誌)に掲載されました。

脳卒中は、世界中で死亡または身体障害の主な原因となっています。CDC(米国疾病予防管理センター)は、脳卒中は毎年約80万人のアメリカ人が罹患し、大人の重度の身体障害の主な原因であると警告しています。

アイルランドでは、毎年約7500人が脳卒中を発症し、そのうち約2000人が亡くなっています。脳卒中は、前兆もなく突然発症するため、予測が困難です。

ゴールウェイ大学の臨床疫学教授で、主任研究者の一人であるアンドル・スミス氏(Andrew Smyth)は、「脳卒中の予防は医師にとって最重要な課題ですが、多少の進歩はあっても、いつ起こるかを予測することはまだ困難です」と述べています。

多くの研究は、高血圧、肥満、喫煙などの中長期的な要因(脳卒中の引き金となる要因)に焦点を当てています。私たちの研究は、脳卒中の引き金となるような直接的な要因を発見することを目的としています。

2つの独立した誘発要因を観察しました。その結果、怒ったり、感情的になった後1時間以内に脳卒中のリスクが約30%上昇し、うつ病の既往がない場合はより高くなることがわかりました。

「また、体力を超えた運動をした後1時間以内は、脳出血による脳卒中のリスクを約60%上昇させることもわかりました。女性の方がよりリスクが高く、BMI(体格指数)が正常な人はリスクが少なかったのです」スミス教授は、さらにこう付け加えました。

脳卒中を防ぐには

脳卒中を予防する最善の方法は、健康的なライフスタイルを維持し、高血圧を避け、喫煙しないことですが、私たちの研究は、怒りの発作、感情的ストレス、激しい肉体労働などが直ちに脳卒中のリスクを高めることも示しています。

全世界脳卒中研究(INTERSTROKE study)の共同リーダーであり、ゴールウェイ大学神経血管医学教授のマーティン・オウトナ(Martin O’Donnell)氏は、次のように指摘します。

「一時的な激しい運動は、脳卒中の長期的なリスクを低減する定期的で体系的な運動とは異なることを強調することが重要です」

また、スミス教授は、メンタルヘルスに関して言えば、人が完全に怒りを回避したり、常に上機嫌でいることは不可能なので、いざという時に自分を解放するためのスペースを確保することに注力すべきだと指摘します。

まずは、深い呼吸をすることです。不安を和らげる呼吸法はたくさんあります。
そして、散歩に出たり、一人で気持ちを落ち着かせ、自分と感情の興奮との間に距離を置くことです。

専門家は、瞑想(meditation)、マインドフルネス(今この瞬間の自身の精神状態に深く意識を向けること)、定期的な鍛錬が、怒りを避け、自制心を得るための良い方法であると述べています。

(翻訳・李明月)