「マイナスカロリー」食品は幻想である

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セロリなどの食品は「マイナスカロリー」、つまり、体に与えるエネルギーよりも消化に必要なエネルギーの方が多いと聞いたことがある人も多いでしょう。本当にそうなのでしょうか? 独立系事実確認プラットフォーム「Metafact.io」の複数の専門家によると、これは虚偽であるとのことです。

「マイナスカロリー」食品とは?

デ・モントフォート大学の栄養士、ルイーズ・ダンフォードさんは、「マイナスカロリー食品の理論は、ある食品は、体が消化・吸収するのに必要なカロリー(熱量)よりも少ないカロリーを含んでいるということです。これは合理的に聞こえるかもしれませんが、実際には、セロリのような低カロリーの食品でさえ、体がセロリを分解して吸収するのに必要なカロリーよりも多くのカロリーを含んでいるのです」と語りました。

セロリ、グレープフルーツ、トマト、キュウリ、ブロッコリー、レタス、ニンジンなど、多くの食品が「マイナスカロリー」食品に分類されます。

「マイナスカロリー」の主張には根拠があるのでしょうか?

両専門家は、この主張には根拠がないと言っています。

栄養コンサルティング会社「Thinking Nutrition」の栄養士であるティム・クロウさんは、「セロリ1本でさえ95%が水分ですが、その中の糖分がカロリー(正確には65キロジュール)を含んでいます」と言います。

食べ物の消化には一定のエネルギーが使われますが、これは食べ物のエネルギーの10%にすぎません。なので、セロリを食べてもカロリーは余ります。エネルギーは減りますが、決してマイナスにはなりません。4キロジュールは約1キロカロリー、1kcalは1000カロリーと同じです。

中には、冷水は「マイナスカロリー」の食品と考える人もいます。「体温以下の水を飲むと、体は体温を維持するためにいくらかのエネルギーを使います。いわゆる水の発熱効果です」と、南アフリカのノースウェスト大学の栄養専門家、コーネリー・ニエナベル・ルソー氏は言います。

この効果がダイエットに有効かどうかについては、いくつかの研究が行われていますが、冷たい水を飲んでも体がエネルギーを使わない、あるいはほとんど使わないという点では共通していると、ニエナベル・ルソー氏は言っています。

また、ガムを噛むことにも「マイナスカロリー」の効果があるとする説もありますが、こちらも効果は確かではありません。噛むという行為は、1時間に約11キロカロリーを消費しますが、これは運動とは言えない」とニエナベル・ルソー氏は言います。ガム1個は約10kcalで、そのカロリーを消費するには1時間以上噛まなければなりません。

「マイナスカロリー」の食品を食べることにメリットはあるのか?

セロリ、グレープフルーツ、キュウリなどの食べ物が体のカロリー燃焼を助けないのなら、なぜ多くの減量レシピに使われているのでしょうか?

これらの食品でお腹を満たし、適度な運動をすれば、確かに摂取カロリーより消費カロリーが多くなるとニエナベル・ルソー氏は言います。

セロリ、レタス、ブロッコリーがダイエットに役立つ最大の理由は、これらでお腹を満たせば、ハンバーガーやフライドポテトなどのカロリーが高いものを食べなくなるからです。しかし、クロウさんはそれらを使って体重を減らすための鍵は、既存のレシピに副菜として加えるのではなく、他の高カロリー食品をそれらに置き換えることであると付け加えました。

チーズバーガーを食べてサラダを加えたとしても、ハンバーガーだけを食べた場合よりも総カロリーは高くなるとダンフォードさんは言います。高カロリーな食事の代わりにサラダを食べるのが正解です。

面白いことに、これは実はとても難しいことなのです。いくつかの研究によると、いわゆる「マイナスカロリー」食品を食事の副菜として見たとき、人々は常に、これらの健康的な食品が他の食品から摂取するカロリーの一部を相殺できると感じていることが分かっています。この現象が『マイナスカロリーの錯覚』です」と、ニエナベル・ルソー氏は言います。

「残念ながら、マイナスカロリーの食品は幻想であり、減量や長期的な体重維持に近道はありません」とダンフォードさんは言いました。食生活を根本的に変え、高カロリーの食品をヘルシーなものに置き換えることに慣れれば、どんな短期ダイエットプログラムよりも、長期的な体重コントロールに役立つでしょう。

(翻訳・志水慧美)