現代まで生き続けるモンゴルの鷹狩り 鷹匠とイヌワシとの深い絆

ロシアの国境と隣接するモンゴル最西端。この地では、小さな遊牧民のグループが、現在でもまだイヌワシを飼いならす伝統を守って生活しています。

ロシアの青年写真家は、この素晴らしい鷹狩りの様子を撮影し、遊牧民とイヌワシとが信じられないほどの固い絆で結ばれているということを世界に紹介しています。

(ダイナミックなモンゴル伝統の鷹匠とイヌワシの姿はこちらから)

鷹狩りを行う

この古来からの伝統的な狩猟は千年以上前のものですが、現在、このユニークな伝統文化は失われつつあります。遊牧民の文化に魅了されている写真家ダニエル・コーダン氏は、写真を通してこの遊牧民の独特の文化を守ろうと、ある時、鷹狩りのグループの生活に足を踏み入れました。

「自分の写真がユニークな遊牧民の文化を維持するのに役立つことを願っています。モンゴルの最西端の地は人口がまばらで、不毛の地が広がるアルタイ山脈には、300人にも満たない鷹狩りの人々が住んでいます。今では絶滅の危機に瀕している文化です。ここの人々は自分たちの伝統を引き継ごうとしています」

コーダン氏はネットメディアMy Modern Metに述べています。

鷹狩りといえば、かつては貴族の象徴であり、イヌワシは繁殖に最もよく使われる鳥でした。イヌワシに獲物を捕まえる狩猟技術を覚えさせたりするなど、鷹を訓練したり、鷹に指示したりする事は簡単な事ではなく、鷹狩りをする者は豊富で熟練した経験が必要です。彼らのイヌワシは、古来よりキツネの毛皮や食用の野ウサギの狩りに使用されてきました。

アルタイ山脈の草原にいる遊牧民にとって、イヌワシは自分たちの親戚のようなものです。イヌワシを上手に訓練する鷹匠になるためには、幼い頃からイヌワシとの絆を深める必要があります。イヌワシの飼育には通常3〜4年かかり、家畜化の全過程の担当は一人しかできません。こうすることで、イヌワシと人との間に完全な信頼が生まれるのです。

「飼い主とイヌワシの信頼関係は非常に強く、実際、イヌワシと飼い主の目と表情はよく似ていて、ほとんど同じです」とコルダン氏は言います。

イヌワシの寿命は通常約40年です。イヌワシが10〜12歳になると、飼い主は伝統に従い、自然に戻して自由に繁殖させることができます。

この事は、この遊牧民が自然と調和して生きてきたという象徴であり、彼らが鷹狩りの伝統を古来より継続できた理由です。

またアルタイ山脈の地域は長年外界から隔離されていたため、この伝統はモンゴルで今日まで受け継がれていると言われています。

毎年9月に開催される地元の鷹狩りのお祭りでは、鷹狩りが見学でき、鷹匠との交流も行われ、観光客を魅了しています。

コーダン氏は「このように遊牧民の文化をサポートできることをとてもうれしく思います。私たちは先祖を尊重する必要があります。伝統文化を守り続けることにより、間違いなく私たちの生活はより良く、より目的のあるものになるでしょう」と語っています。
 

(翻訳・微宇)