人気が高まっている代替乳製品のメリットとデメリットは?

最近、買い物をしていて代替乳製品がどんどん増えていることに気づきませんか?冷蔵コーナーで牛乳の隣の棚を占領しているだけでなく、乾物コーナーで朝食用シリアルの隣の棚をも占領し、ラインナップも多様化しています。

代替乳製品のミルクには、おなじみの大豆、米、オート麦、ココナッツ、アーモンドのほか、エンドウ豆、麻の実、亜麻仁、カシュー、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、クルミ、ピーナッツ、マカダミア、ペカン、ルパン、キヌア、ヒヨコマメ、ごま、さらにはタピオカスターチやジャガイモなども含まれます。

なぜ代替乳製品が人気なのでしょうか?クリーブランド・クリニックによると、牛乳にアレルギーがある人、乳糖不耐症の人、ビーガンというライフスタイルを選ぶ人、牛乳に添加されている抗生物質やホルモン剤に関連する健康被害の可能性を心配する人などがいるからだそうです。

食品総合研究所によると、牛乳を控えるその他の理由として、乳業による動物の扱いに対する倫理的な懸念や、酪農が環境に与える影響への懸念が挙げられています。

もちろん、単純にこれらの代替乳製品の味を好む人もいます。
 

ココナッツミルク(Shutterstock)

また、COVID-19も、非乳製品へのシフトを加速させた原因と考えられています。代替乳製品の多くは賞味期限が長く、中には開封前の冷蔵を必要としないものもあります。

価格は代替乳製品の売上に影響を与えておらず、ほとんどの代替乳製品は牛乳よりも高価ですが、ミキサーや綿布、豆乳濾し袋などを使えば、家庭でも代替乳製品を作ることができます。

代替乳製品の中には牛乳よりもカロリーが高いものもあり、カロリーは代替乳製品を選ぶ理由にはならないようです。

乳飲料の選択肢に大きな変化

牛乳の売り上げは、何年も前から急落しており、米国農務省(USDA)が発表した最新の販売報告によると、従来型乳製品の総販売量は前年比4.7%減少しています。

酪農乳業専門誌「デイリービジネス」は、パンデミック時に乳製品の牛乳宅配販売が若干増加しましたが、「長期的な減少傾向に戻った」と報じました。一方、代替乳製品は年間生産額が30億ドル近くに達する産業となりました。

代替乳製品は都市部の若者だけでなく、非都市部の人々や高齢者にも人気が高まっています。

「代替乳製品への関心は、沿岸部の都市から内陸部へと移行し続けています」と、食品技術研究者のケリー・セジュダさんは言います。これらの農村部の人々は「代替乳製品について耳にしたので、試してみた」といいます。

CNNによると、非乳製品牛乳(代替乳製品)は驚異的な成長を遂げ、今ではアメリカ人の半数以上、18歳以下の若者の54%、その親世代の68%が摂取しているといいます。

実際、代替乳製品への関心は高まっており、従来の牛乳の売り上げは急速に冷え込んでいるため、米国最大の牛乳メーカーであるディーン・フーズは、「従来の白乳カテゴリー製品の売り上げ減少が加速している」ことを理由に2019年に破産申請しました。

非乳製品のデメリット

一般的に、大豆、米、アーモンド、ココナッツなどから作られるミルクシロップのように、代替乳製品は市場に出てから時間が経つほど、その知名度と人気が高まります。例えば、豆乳はタンパク質を多く含み、牛乳に最も近い代替品として広く知られています。

乳製品は1杯あたり8gのタンパク質が含まれるのに対して、豆乳は7~12gのタンパク質が含まれています。しかし大豆に多く含まれる「植物性エストロゲン」と呼ばれるイソフラボンの役割については、長い間議論の的となっています。
 

豆乳は、その高いタンパク質含有量から、牛乳に最も近い代替品として広く知られています。(Shutterstock)

2010年に「Frontiers in Neuroendocrinology」誌に発表された研究によると、大豆の植物性エストロゲンは、「内分泌撹乱物質でもあることを考えると、健康に悪影響を及ぼす可能性も示唆されている」とのことです。

刑務所では経済的な理由から刑務所の食事に大豆を使用しており、大豆を多く含む食品を食べたアメリカの受刑者が何件か訴訟を起こしています。

タンパク質などの栄養素

また多くの代替乳製品は牛乳のカルシウム、ビタミンB12、カリウムを添加していますが、タンパク質の含有量を重視する場合は、期待外れとなる可能性があります。豆乳は牛乳に匹敵する8gのタンパク質を含んでいますが、他の代替乳製品ではこれに匹敵するものはほとんどありません。

例えば、亜麻仁ミルクは1杯あたり0グラム、ココナッツミルクは1杯あたり0.5グラム、ライスミルクは1杯あたり0.7グラムのタンパク質しかありません。

もちろん、非乳製品に含まれる貴重な栄養素は、タンパク質だけではありません。例えばカシューミルクは、タンパク質は少ないですが、鉄分と食物繊維が豊富です。

オーツミルクは高タンパクではないものの、水溶性食物繊維のβグルカンが豊富で、心臓の健康に役立つと言われています。βグルカンは腸内でゲル状の物質を形成し、コレステロールと結合して体内でのコレステロールの吸収を抑えてくれるのです。これにより、血中コレステロール値、特に心臓病に関連するLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を減らすことができると考えられています。
 

アーモンドミルク(CORA/ PIXTA)

最後に、最近、ピーミルク(エンドウ豆から作られるミルク)と、麻の実ミルクの効能が新たに注目されています。

ピーミルクは1杯あたり約7gのタンパク質を含むだけでなく、炎症と戦うための理想的な量のオメガ3脂肪酸を含んでいます。政府系医療サイトMedline Plusによると、オメガ3脂肪酸は中性脂肪を下げ、血管の詰まりの形成を遅らせる効果があるとのことです。

またヘンプシード(麻の実)ミルクは、オメガ3脂肪酸のほか、1カップあたり4gのタンパク質、ビタミンA、D、B12、鉄、リン、亜鉛を含んでいます。

もちろん、ご想像の通り代替乳製品にできるナッツや穀物の種類は限られています。しかし、ユニークなミルク飲料、コーヒーや朝食用シリアルに加えるミルク飲料、カロリーを抑えたい人や、食生活を変えたい人にとっては、素晴らしい製品はたくさんあるのです。

(翻訳・志水慧美)