いろいろあります食用油「揚げ物に合う油はどれですか?」

スーパーマーケットの棚に並ぶ食用油。本当に種類が多いですね。
多くの油は炒め物に使えますが、揚げ物については、全てが必ずしも適しているとは言えません。
 

「発煙しやすい油」は要注意!

揚げ物に適していない油とは、発煙点(発煙する温度)が比較的低い油です。

それを使って高温の揚げ物をすると、台所いっぱいに油煙が充満して、あなたの健康にも悪影響を及ぼす恐れがあります。

発煙点が低い油を使って長時間揚げ物をすると、日本語で「油酔い」という不快な症状が現れることがあります。これは、高温の油から立ち昇る煙にアクロレインという有害物質が含まれており、それを調理者が吸い込むことによって起きる症状です。

それだけでなく、この困りものの油煙は、屋内の天井に設置してある煙感知の火災警報器を誤動させやすいのです。そのため、呼んでもいない消防車を誘導してしまい、近隣に迷惑をかけてしまうかもしれません。
 

調理で焼いたり揚げたりするときは、できるだけ油から煙が出ないようにしましょう。(Shutterstock)

 

発煙点が比較的低い油は、エキストラバージンオリーブ油(約162度)、ココナッツ油(約176度)、アマニ油(約104度)、バター(約148度)、ラード(約190度)です。これらは揚げ物には使わないか、もし使う場合には十分慎重に扱ってください。
 

揚げ物に適した8種類の油

揚げ物を調理するときは、通常、油を中温から高温(約176~190度)まで熱します。

このような温度は、例えばフライやカツであれば、食材の表面のパン粉が素早く揚がって香ばしくなり、油を吸収しすぎず、食材内の水分を保ちます。そのため、使う油の発煙点は190度以上でなければなりません。

また、発煙点のほかに、油のもつ味や値段も考えましょう。食材本来の味を変えるほど個性が強い油も、向いていません。また揚げ物に使う油は、量を使う割に、あまり多くの回数を再利用できないため、コスト面から手頃な価格の油を選ぶことも大切です。

1、アボカド油(Avocado oil)
アボカド油の発煙点は約271度と、発煙温度が最も高い食用油の一つです。

この油は、アボカドの香りとほのかな甘みがあるので、デザートの揚げ菓子には向いていますが、鶏肉などの唐揚げには向いていません。アボガド油の値段は(米国では)他の食用油に比べて割高になっています。
 

アボガド油は甘くて、甘いものを揚げるのに適しています。(Shutterstock)

 

2、ベニバナ油(Safflower oil)
ベニバナ油の発煙点は約246度です。料理の味に影響しないので、いろいろなものを揚げるのに向いていますが、ベニバナ油の値段もあまり安くはありません。
 

ベニバナ油は値段が少し高めですが、それ自体の味が薄く、食材を油で揚げるのに適しています。(Shutterstock)

 

3、ピーナッツオイル(Peanut oil)
ピーナッツオイルの発煙点は約232度です。発煙点が高く、香ばしいナッツの香りがあり、比較的安価であるため、揚げ物用の油として人気があります。米国の多くのファストフード店でも使われています。
 

ピーナッツオイルは、多くのファストフード店でも使われています。(Shutterstock)

 

4、大豆油(Soybean oil)
大豆油の発煙点は約232度です。油自体の個性が薄いので、いろいろなものを揚げるのに適しています。また、価格が安いことも魅力です。
 

大豆油は、安くて使いやすい油です。(Shutterstock)

 

5、コーン油(Corn oil)
トウモロコシを原料とするコーン油も約232度で発煙します。その他の特徴も大豆油に似ていて、味も重くなく、値段も高くありません。
 

コーン油もヘルシーで安い食用油です。(Shutterstock)

 

6、ヒマワリ油(Sunflower oil)
ヒマワリ油の発煙点は約232度です。ナッツの香りがほんのり効いて、ドーナツや揚げパイなどのお菓子に適しています。もちろん、この香りを活かして、アスパラガスなどの野菜を揚げても間違いありません。ヒマワリ油も手頃な値段です。
 

ヒマワリ油は口当たりがよく、揚げ物にも適しています。(Shutterstock)

 

7、綿実油(Cottonseed oil)
綿実油(めんじつゆ)の発煙点は約215度です。味に偏りがないので、いろいろなものを揚げるのに向いています。ただ、綿実油は流通量が少なく、値段もやや高いです。
 

綿実油は市販されていることが少ないので、食べたことがない人も多いかもしれません。(Shutterstock)

 

8、キャノーラ油(Canola oil)
キャノーラ油の発煙点は約204度とやや低めです。
キャノーラ油は、菜種油を品種改良したキャノーラ品種から採油されたものです。味は重くなく、値段も比較的安いので、いろいろなものを揚げるのに向いています。特に、大量の揚げ物をするときに重宝します。
 

キャノーラ油は、比較的安価で、大量のものを揚げるのに適しています。(Shutterstock)

 

そのほか、値段の安さはともかく、原料の意味があいまいな「植物油」(Vegetable oil)もよく出回っています。

この油は、複数の異なる植物性油脂の混合物である可能性がありますので、その発煙点は一概には言えません。お店でこの油を買うときは、ボトルに発煙温度が表示されているかどうか、確認したほうがいいでしょう。
 

揚げ油は何回も再利用しないでください。古い油は油煙が出やすいです。(Shutterstock)

 

また、油の品質は、揚げ物の回数とともに低下するので注意が必要です。
何度か使って「疲れた」揚げ油は、新しい油よりも煙が出やすくなっています。
あまり古くなった油は無理に使わず、適正な方法で処分したほうがいいかもしれません。もちろん、一度つかった揚げ油を炒め物に使ったり、新しい油と古い油をほどよく混ぜて再利用することも考えられます。

最後に一つ、付言します。
揚げ物はとてもおいしいですが、あなたと、あなたのご家族の健康のために、家庭での揚げ物の回数を減らして、蒸す、煮る、茹でる、和えるなど、油の少ない調理法をお薦めします。

(翻訳編集・鳥飼聡)