インド伝統の身体と心の癒やしの医学 アーユルヴェーダの治療法(2)

アーユルヴェーダは、歴史上最も古い医学体系のひとつで、身体と心の癒しのための科学です。アーユルヴェーダのデトックス治療は、感情を浄化し、身体を癒し、消化不良による毒素の蓄積を防ぐことで、病気を断ち切り、本来の状態に戻り、回復力を取り戻す手助けをします。

アーユルヴェーダ医学では、火の種類をより具体的にしており、それぞれが細胞の新陳代謝(例えば、消化、身体の基本5元素と7つのチャクラ)に関係しています。食物は空気、風、火、水、土の基本5元素の様々な栄養素に分解します。 

この5元素は血液を通じて体内の7つのチャクラに運ばれ、ブートの火(五元素の火)によって代謝・変換され、ダートの火(体内の7つのチャクラの火)によって吸収されて必要な栄養素とエネルギーが得られます。
 

不適切なダイエット、血行不良、息切れ、老廃物、加齢、乱れた生活などは、すべて火の正常な働きに影響を及ぼします。

感情の浄化 アーユルヴェーダ式デトックスセラピー

火は、例えば、息を吸った後に吐いて二酸化炭素を発生させたり、人間が水を飲んで排尿により老廃物を排泄するように、「入」があって、「変身」して「出」があるというように、人体の小宇宙の循環システムを形成しているため、生理的に生まれる自然現象なのです。

しかし、この宇宙循環システムがひとたび乱れると、消化吸収の「変換」メカニズムが失われ、バランスが崩れてしまうのです。

食べる場面での例をいくつか挙げてみましょう。早食い、怒りっぽい(火が強すぎて燃えすぎていることを表す)、悲しい、疲れていて食欲がない(火の要素が不足しており、食べ物がうまく消化されていないことを表す)、ストレスがかかった状態で食べる(火が腹部にあるが働いていない)、毒素が発生し体に十分な栄養が行き渡らない、などです。

もっと小さな細胞でも顕微鏡で見ると、内胚葉にも外胚葉にもたくさんの穴が開いています。 精神的にまいってストレスを感じると、毒素がたくさん出てきて、その穴がふさがれて、細胞に栄養が届かず、毒素も排出されなくなるのです。 これが、心の毒素によるダメージです。

生ゴミやゴミを家庭内に放置しておくと、悪臭や蚊・ハエが繁殖するだけでなく、環境衛生上も重大な影響を与え、健康被害も発生します。

同様に、体に老廃物が溜まり過ぎると、火の働きが弱まり、症状が現れ、病気が発症します。

アーユルヴェーダの理論では、ディーパン、パチャン、アヌュローマンの3つが、火の要素のエネルギー状態を把握し、それによってどの自然療法で治癒を図るかを判断する基準となっています。

そのため、アーユルヴェーダのデトックス療法は、火の働きを促進し、感情の浄化や身体の癒しだけでなく、消化不良による毒素の蓄積を防ぎ、病気の持続発展を中断し、病気の状態から健康を回復させる効果があるのです。 

「アーユルヴェーダ経験医学」(紡績社刊)より

(文・劉燕新/翻訳・里見雨禾)

薛仲玲