「胃弱の原因はこの3つ」胃潰瘍にならないうちに改善を

日本の皆さん、こんにちは。
私は台湾の漢方医師、胡乃文です。

胃が元気なら、まずは健康です

胃の調子が良ければ、おそらく人は「おおむね健康」と言えます。
ところが現代は、どうでしょう。皆さんの日本でも、胃の調子を悪くしている人が多いのではないでしょうか。

そうした人は、いつも胃がもたれており、無理に食べても吐き気がするので、つい胃薬などを飲んでなんとか症状を押さえています。

こうした胃弱には、総じて「3つの原因」があります。不規則な食事、ストレス夜更かしです。つまり、この3つは、私たちの日常生活のなかで改善できることばかりなのです。

胃弱が長びくと、やがて胃の炎症がすすみ胃潰瘍にもなってしまいます。胃がんを誘発するかもしれません。今回は、本当の病気にならないうちに、自分で症状を和らげ、弱った胃の状態を回復する方法をご紹介します。

「3つの原因」とその改善方法

1、「不規則な食事」:生活改善とツボ押し

仕事がものすごく忙しい、取引先とのつきあいや接待があるなど、職種によってはなかなか難しい場合もありますが、やはり、食事は規則正しく、食べる量や栄養バランスも考慮して、良い食生活を送るようにしてください。

食事が不規則になると、空腹と過食の度合いが、いずれも極端になってしまいます。

空腹になり過ぎると胃が痛くなります。そこで食べ過ぎれば、消化不良を起こします。それが続くと胃が炎症を起こしやすくなり、胃潰瘍を招く場合もあります。

胃の不調を抑える目的で、市販の胃薬を常用することはお薦めしません。ここでは、胃の痛みを緩和する指圧ツボを2つ、ご紹介します。

1つは、内関(ないかん)というツボです。前腕てのひら側の手首から指3本ぶんとった中央、ちょうど前腕の2本の筋の間にあります。

この内関のツボは胃と心臓に対応していますので、ここを押すと胃の痛みや吐き気を緩和することができます。ただし、長時間つよく押すことは避けてください。かえって気分が悪くなって吐き気が増すこともあります。

もう1つは、中脘(ちゅうかん)というツボで、腹部のおへそから上に4寸(約12cm)のところにあります。

食道から胃、十二指腸までを「上腹部」と言いますが、ストレス性の胃痛は、この上腹部にある胃を中心にじんわりと痛みや不快感が出ることが多いのです。中脘のツボは直接胃に対応して、消化不良や胃痛などの症状を緩和します。

これからの季節、冷たいものを食べたり冷房が効きすぎた部屋で胃に痛みが出た時も、この中脘を押してみてください。

2、「ストレス」:足指を動かす

ストレスでイライラしたり、仕事の重圧で緊張をすることも、胃の不調を引き起こします。

もしかするとあなたは、毎日ストレスの多い職業に従事している人かもしれません。ご苦労さま、大変ですね。それならば、まずは笑顔になって、自分の緊張をほぐしましょう。

また、もしもあなたがサービスを受ける客の側であったら、目の前で忙しく働く店員さんに向かって、あなたの方から笑顔を向けてあげてください。これは冗談で言っているのではなく、そうすることで相手も自分も、ストレスを大幅に軽減できるのです。

さて、あなたが仕事中にストレスを感じて、胃や全身に不調や痛みを感じたらどうしたら良いでしょうか。そんな時は、以下にご紹介する「足指の運動」をやってみてください。

足の指を動かすと、心身がリラックスしてストレスを軽減できます。足指の運動は、脾臓を強くし、胃を養うことができるのです。

漢方の経絡からすると、足の親指は脾経と肝経に対応し、足の第2指(人指し指)は胃経に対応します。第4指(薬指)は胆経に対応し、小指は膀胱経に対応しています。また、足裏は腎経につながっています。これらの足指をよく動かすことで、関連する内臓の状態を整えられるのです。

その方法は、例えばこうです。
靴を脱ぎ、敷物をしいた上に裸足または靴下の足で立ちます。
両足を肩幅に開き、足裏を床面にぴったりとつけたら、ひざを曲げてゆっくり座ったり立ったりします。いかがですか。そのスクワットのなかで足指が床をつかみ、どの方向にも倒れないよう、うまくバランスをとっていますね。

次に、足指をつかって、2センチずつ前進してみましょう。歩くのではなく、「ふくみ足」という方法で、足指で床をつかみ、指の長さだけたぐるようにして前に進みます。
これら足指の運動は、足の全ての経絡を刺激して内臓を調整するとともに、ストレスの軽減に効果があります。

3、「夜更かし」:粥を食べてよく寝る

会社員が、深夜まで残業するのはよくあることです。また、仕事でなくてもスマホパソコンに夢中で、つい夜更かししている人も多いはずです。

そのため現代人は、よく眠れていません。それは体の「胃陰虚(胃陰不足)」つまり陰液である唾液や胃液の分泌不足を招くことで、胃粘膜の萎縮や慢性的な炎症を引き起こします。

昔の人はこう言っていました。「よく眠れないと陰液を消耗して、胃部に鈍い痛みや膨張を感じることがある。それはまるで、胃に大きな石が詰まっているようだ。その苦しさのため、食欲もなく、少食になって栄養不足を招く」と。

早寝、早起きが健康の基本です。漢方医の私からも、夜更かしをしないように、皆さんにお勧めします。これで元気が出れば集中力も高まり、仕事の効率も大幅に上がるのではないですか。

週末や休みの日は、弱った胃をいたわり体力を回復させるため、お粥を食べてください。残りご飯を鍋で煮てもいいのですが、できれば米から炊く方法がお薦めです。

お粥は通常30分で炊き上がりますが、やわらかく1時間以上煮込んでから、お粥の上にのっている米油(表面の油状の膜)を飲むと、胃陰虚の改善に良い効果があります。

それでは、あなたの健康のために、まずは胃の調子を整えることから始めてみてください。

(翻訳編集・鳥飼聡)