多くの人が不足しています!!糖尿病やガンを予防するマグネシウム 正しい摂り方とは(1)

現代人に多いマグネシウムの欠乏。過去100年の間に、食事からのマグネシウム摂取量は、一日あたり約500mgだったのが、175〜225mgに減少しています。多くの子ども達の食事に至っては、食べる量は増えているのにも関わらず、栄養やマグネシウム不足が顕著になっています。

動物および人体の研究により、マグネシウムの不十分な食事摂取は動脈硬化のリスク(動脈に脂肪性プラークが存在すること)を高めることが示されています。また、事故死した子供の剖検では、5〜6歳の幼い子供でも大動脈や頸動脈の壁に動脈硬化の初期症状が見られることが分かっています。

現代の食品は、マグネシウム含有量が少ない

人体におけるマグネシウム不足の主な原因は、近代農業の発展、化学肥料の使用、食事に占める加工食品の割合の増加などです。

酸性土壌、軽量土壌、砂質土壌では、マグネシウムが不足しがちです。現在、土壌のミネラルが枯渇しているため、土壌から育つ作物や野菜は、かつてのようにミネラルを豊富に含むものではなくなっているのです。

また、農業では収穫量を増やすために化学肥料が使われていますが、これもマグネシウムの不足を招きます。1968年以降、イギリスの小麦に含まれるマグネシウムの量は19.6%減少しています。

現在の土壌は、化学肥料の使用と相まってミネラルが枯渇しており、食品中のマグネシウムが不足しています。(Shutterstock)

更に穀物の精製で胚芽やグルテンを取り除くなど、食品の加工方法によっては、マグネシウムの含有量が大幅に減少しているため、食品精製時のマグネシウムの損失は大きく、白玉粉82%減、精白米83%減、でんぷん97%減、白砂糖99%減となっています。

現代の食生活は、軟水の普及、食事に占めるファーストフードや加工食品の割合の高さ、豆や種子の摂取量の少なさなどが特徴で、これらはすべてマグネシウムの体内吸収に影響を及ぼします。具体的には、軟水(なんすい)は体にとって有益なマグネシウムを含む大量のミネラルを水から取り除いてしまうのです。清涼飲料水や加工食品、特に加工肉にはリン酸塩が多く含まれており、マグネシウムの吸収を低下させる可能性があります。

また、現代人は生活や仕事のプレッシャーからコーヒー中毒やアルコール依存症になりやすく、エタノールやカフェインの過剰摂取は体内のマグネシウムを欠乏させることもあるそうです。

さらに、生活の中でアルミニウムを使ったもの(調理器具、消臭剤、市販薬や処方薬、アルミニウム箔、ベーキング材料など)も、マグネシウム不足の重要な要因です。アルミニウムはマグネシウムの吸収を約5倍も低下させ、骨に蓄えられるマグネシウムの量を減少させることにつながります。

そして、利尿剤やインスリンなど、マグネシウムの吸収や利用に影響を与える薬剤も多くあります。

マグネシウム不足は気づきにくいのか

カルシウム、カリウム、ナトリウムに次いで、マグネシウムは体内で4番目に多く存在する元素です。

マグネシウムは血液中には1%未満しか含まれていませんが、50〜65%は骨に貯蔵され、カルシウムやリンと共に骨を形成し、34〜39%は筋肉や軟部組織、臓器に存在しています。

血清中のマグネシウム濃度の正常範囲は0.75〜0.95mmol/リットルで、これ以下では低マグネシウム血症とされます。

体内では通常、腸管からの吸収と腎臓からの排泄がバランスよく行われ、マグネシウムイオンの濃度が調節されています。マグネシウムの摂取量が少なすぎると、体は骨や筋肉、内臓からマグネシウムを取り込み、血清マグネシウム濃度を比較的安定させます。

しかし、体内のマグネシウムは観察することが難しい場合が多く、「忘れられた元素」とも呼ばれています。さらに、血清中のマグネシウム濃度は、通常、体のさまざまな部位のマグネシウム濃度を反映しているわけではない為、血清マグネシウム値が正常でも、体内のマグネシウムが不足している可能性は否定できません。

例えば、慢性的な潜在性マグネシウム欠乏症では、組織や骨に深刻な欠乏があるにもかかわらず、血液中のマグネシウム濃度は正常範囲内にあります。したがって、血中マグネシウム濃度の検査結果を用いて全身のマグネシウム濃度を測ることは、マグネシウム不足を過小評価することにつながる可能性があります。

最近の検証結果からでは、血清中のマグネシウムイオンとカルシウムイオンの比が、より感度が高く実用的なマグネシウム状態の指標であり、0.4という値が最適であるとされています。
(つづく)

(翻訳編集:香原咲)

李路明