脂肪増加は内臓機能を低下させる! 脂肪細胞を飢餓状態にする3つの食品(2)

(続き)

これらの食品を食べると脂肪細胞が餓死します

肥満の人の中には、該当する薬の発売を心待ちにしている人も多くいると思いますが、ウィリアム・リー氏は「脂肪に対する抗血管新生療法は、まだ薬の開発研究の段階です」と言います。そして、新しい治療法はコストや入手の問題から、すべての人に行き渡るとは限らないことを著書の中で強調しています。さらに、これらの薬は問題を予防するのではなく、病気を治療するために設計されているのです。

しかし、彼は多くの試験で証明されている別の便利な解決策を提示しています。それは、「血管新生を抑制する物質を含む特定の食品」を食べることです。

1.緑茶

ウィリアム・リー氏が特に挙げた食品のひとつに緑茶があります。

緑茶の製法は、茶葉を加熱して酵素を不活性化します。葉を縮めて乾燥させる工程で、成分の自己分解や酸化を防いでいるのです。また、茶葉の乾燥工程は、保存中の組成物の安定化にも役立ちます。

緑茶には多くのカテキンが含まれていますが、中でもエピガロカテキン-3-ガラート(EGCG)は緑茶に最も多く含まれ、カテキン含有量の50~80%を占めるのは活性型カテキンです。

例えば、2.5gの茶葉で淹れた250mlの緑茶には240~320mgのカテキンが含まれており、そのうち60~65%がEGCGです。EGCGは血管新生に関する分子シグナルを抑制し、アポトーシスを誘導するため、抗血管新生剤として作用できます。EGCGカテキンは、血管新生に対して有効であり、実験室およびヒトの臨床研究において、カテキンには脂肪の成長を抑える効果があることが示されています。

最近の系統的評価とメタ分析によると、20数件の緑茶関連の研究において、緑茶やサプリメントを摂取した人は平均1.78kgの体重を減らし、平均0.65kg/㎡の肥満度の減少がみられました。米国の閉経後の女性を対象に、緑茶濃縮カプセル(EGCG400または800mgと少量の他のカテキンの用量)を毎日2カ月間摂取させた対照試験では、EGCGの摂取により、これらの女性の血中のLDLコレステロール、グルコースおよびインスリン濃度が、プラセボ摂取の対照グループに比べて著しく低下しています。

2.トマト

トマトには抗血管新生作用のあるリコピンが豊富に含まれており、前立腺がん抑制に有効である理由の一つとなっています。10μM(マイクロメートル)の濃度のリコピンは、ヒト臍帯静脈内皮細胞の血管新生を有意に阻害し、血管新生の分岐点を55%、血管の長さを40%減少させていました。しかし、トマトに含まれるリコピンのこの保護効果を得るためには、健康的な食生活が必要です。これは、高カロリーの肥満促進食を採用すると、リコピンの保護効果が失われることが分かっているためです。

リコピンは代謝を促進し、体脂肪を減らすことが知られています。オランダの中高年374名を対象にした、リコピン摂取量と代謝性疾患との関連性に関する研究では、リコピンの摂取量が多いほど代謝性疾患のリスクが低いことが示されました。食事からのリコピン摂取量が多い人は、リコピン摂取量が少ない人に比べて、代謝性疾患のリスクが45%低く、ウエスト周囲径や内臓・皮下脂肪が少なく、血清トリグリセリド値も低いことが分かりました。

トマトには、抗血管新生作用のあるリコピンが豊富に含まれている。 (Shutterstock)

3.コーヒー

ウィリアム・リー氏はコーヒーなどクロロゲン酸を含む食品も挙げています。

クロロゲン酸は、ヒト細胞の血管新生を阻害することが示されており、25μMと50μMの濃度でそれぞれ10%と18%の上皮成長因子活性の阻害に達しています。

体重過多の成人150名を対象に、クロロゲン酸を300mg含むコーヒーを毎日12週間摂取させたところ、摂取量が少ない人と比較して、内臓脂肪面積、腹部総脂肪面積、体重、ウエスト周囲径が有意に減少しました。

さらに、キャベツ、ブロッコリー、ケールなどのスルフォラファン含有野菜、赤玉ねぎなどのケルセチン含有野菜、キノコなどのβ-グルカン含有食品、オメガ3脂肪酸を含むワカメなども、リー氏が推奨する食品です。これらの食品は、ヒトの研究において、体脂肪を減らし代謝を改善することが示されています。また、地中海食には血管新生阻害作用があるといいます。

(完)
 

李路明