ヘアブラシに髪が多く絡まっていたり、髪が細くなったり、白髪が増えてきたりしていませんか？ 　これらのサインは見た目の問題だけでなく、体の「気」（生命エネルギー）のバランスが崩れていることを示しているかもしれません。

中医学では「髪は腎の華」と言われており、髪の健康は腎の「気」が十分であるかどうかを反映すると考えられています。台湾の「御玉診所（ロイヤルジェイドクリニック）」の余雅文（よ がぶん）院長は、エポックタイムズの取材に対し「40歳を過ぎると、体の腎気は自然に衰え始める」と語っています。

腎気が不足すると、体は生命維持に重要な臓器を優先して守ろうとするため、髪は真っ先に犠牲になります。特に女性は、生理や妊娠によるホルモンの変動で髪の薄毛や抜け毛、白髪がより顕著になりやすいのです。
 

頭皮と腎経のマッサージ

髪をダメージから守るために、余院長は腎を弱める習慣を避けることを勧めています。中医学では「久立傷腎（きゅうりつしょうじん）」と教えられており、長時間の立ち仕事は腰や膝に負担がかかり、腎気を消耗すると言われます。また、精神的ストレスも健康に影響し、不安や恐怖は腎の健康を損なうとされています。ですので、落ち着いた心とバランスの取れた心持ちを養うことが重要です。

頭皮マッサージは血行と気の循環を促す最も直接的な方法です。余院長によると、頭皮は複数の経絡が集まる場所です。10本の指や目の粗いコームで優しく頭皮をマッサージすると、エネルギーの流れが活性化し、血流が良くなり、健康な毛根が育ちやすくなります。

中医学では、経絡が体内のエネルギーの通路として臓器と体の各部位をつなぎ、その経絡上には「経穴（ツボ）」という治療に有効なポイントが存在します。これらの経穴を鍼やマッサージで刺激することで、対応する部位の不調を改善できます。

余院長は、腎経の循環を促進し、腎気を高め、髪の健康を守るための3つの方法を紹介しています。

1. 足湯

足首の内側付近には腎経上の重要な経穴が集中しています。ふくらはぎの下3分の1くらいまで温かいお湯に足を浸すことで、腎経の血行と気の流れが促されます。

2. 足首マッサージ

マッサージオイルを使って足首の内側を優しくマッサージすると、腎経上の経穴が刺激され、腎のエネルギーが高まります。

3. 腎のための温熱ケア

手のひらを36回こすり合わせて温め、そのまま腰の腎臓の位置にあてます。この簡単な方法で腎への血流が良くなり、腎経の働きが強化されます。
 

仕事後に腎経を伸ばすストレッチ

腎経は午後5時から7時の間に最も活発になります。この時間に簡単なストレッチを行うと腎のエネルギーが高まります。腎経はふくらはぎと太ももの内側を走っています。

以下の2つのストレッチ法を試してみてください。

1. サイドレッグスクワットストレッチ

膝関節が柔軟な方は、腎経に対応する内腿を伸ばすサイドスクワットがおすすめです。

ステップ1：肩幅より広く足を開いて立ちます。息を吸いながら体重を片側に移し、片脚を曲げてしゃがみ込みます。もう一方の脚はまっすぐに保ち、必要なら両手を床につけてバランスを取ります。

ステップ2：息を吐きながらお尻と脚の力で立ち上がり、反対側も同様に行います。
 

2. 立位前屈

膝に負担がかかる、あるいはしゃがむのが難しい方には、立位前屈ストレッチが適しています。

ステップ1：肩幅より広く足を開いて立ちます。

ステップ2：背筋をできるだけまっすぐにして、腰から前に倒れ、できるところまで前屈します。前屈しながら体重を左右の脚に交互に移動させます。

髪の健康のための3大栄養素

髪の健康は、バランスの取れた食事から始まります。余院長は、腎を養い髪の健康を促すための「タンパク質・アントシアニン・亜鉛」式の栄養摂取を提案しています。

• 卵（タンパク質）：髪の主成分はタンパク質です。魚、肉、卵、乳製品などの高品質なタンパク質を選びましょう。
   
• アントシアニン：強力な抗酸化作用があり、血行を促進し毛根を守ります。ベリー類や濃い色の食品に豊富に含まれます。
   
• 亜鉛：髪の成長に不可欠な微量元素です。牡蠣やその他の貝類が優れた供給源です。
   

抜け毛のその他の原因

中医学では腎気不足が中心的な要因とされますが、余院長はほかにも以下の要因があると指摘しています。

• 加齢：老化は避けられず、髪が細くなり白髪が増えます。
   
• 遺伝：遺伝的要素は毛根の健康に大きな影響を与えます。
   
• 精神的ストレス：精神的・感情的ストレス、不安、恐怖は内臓にダメージを与え、髪の成長に悪影響を及ぼします。
   
• 栄養不足：不均衡な食事は、健康な髪の成長に必要な栄養素を不足させます。
   
• 運動不足：運動不足は血液と気の流れを妨げ、頭皮への栄養供給が減少します。
   
• 皮膚の疾患：頭皮の赤み、かゆみ、毛包の炎症などが異常な抜け毛を引き起こします。

余院長は「1日に100本から150本程度の抜け毛は正常ですので、過剰に心配する必要はありません。しかし、急に抜け毛が増えたり、明らかに多くなった場合は、深刻に受け止め、専門家に相談してほしい」と読者に呼びかけています。
 
（翻訳編集　井田千景）