睡眠時に口を開けて寝てしまう? 医師が原因を究明

朝起きると自分の口が開いていて、さらには枕がよだれで濡れていることに気付いたことはありませんか。もし日常的にこのようなことがあれば、睡眠時の口呼吸に慢性的な問題を抱えているかもしれません。

米国のインターネット新聞、ハフィントンポストの報道によると、夜間の口呼吸の兆候として、口の渇きやよだれのほかに、喉のかゆみや痛み、声のかすれ、息苦しさ、朝の頭痛、目の下のクマ、疲れが取れないなどが挙げられると言います。

ノースカロライナ大学医学部耳鼻咽喉科アレルギー科主任、チャールズ・イベート・ジュニア氏はこう述べています。

「これらの症状にはさまざまな原因がありますが、複数あると、夜間に口呼吸になる可能性が高くなります」

同大学医学部耳鼻咽喉科アレルギー科助教授、クリスティン・デメイソン氏は、口呼吸は一晩中いつでも起こる可能性がありますが、上気道の筋肉のコントロールが効きにくくなる睡眠の深い段階でよく見られるといいます。

口を開けたまま寝ると、必ずしも口呼吸になるわけではありません。通常は重力と鼻づまりによって、空気の流れを改善するために口呼吸に切り替わります。

一時的な鼻づまりは、アレルギーや風邪が原因で起きたり、薬の服用が原因になることもあります。 鼻中隔弯曲症など、鼻の構造に起因する鼻づまりもあり、これは手術などで対処するケースもあります。

男性は口を開けて寝ています。 (MikeSaran / PIXTA)

もう一つの原因として挙げられるのは、睡眠呼吸障害です。セントルイス大学の耳鼻咽喉科アレルギー科准教授、ミッチェル・レバイン氏は、一般的に、睡眠呼吸障害は呼吸器官が塞がっていることで生じるものです。また、睡眠中に適切に機能しないその他の生物学的プロセスが組み合わさったものであるといいます。

デメイソン氏によると、仰向けで寝ると口呼吸になりやすく、 このような睡眠姿勢では、舌や口蓋が喉の下に落ちてしまい、最終的に気道が狭くなってしまいます。

イベート・ジュニア氏は、寝る前の飲酒も気道の筋肉を弛緩させ、口呼吸になる可能性を高めるといいます。喫煙は鼻腔内の炎症を引き起こし、長期的な口呼吸の原因となります。

長期にわたる夜間の口呼吸はどのように私たちの健康に影響を及ぼすのか

米国神経科医・睡眠専門医ウィンター氏は、口呼吸そのものが重大な害をもたらすという証拠はないといいます。体内でドミノ効果を起こし、特定の合併症が時間とともに現れる可能性が高いのです。

デメイソン氏によると、唾液不足による口の渇きは、口臭や虫歯、歯周病の原因となり、口の中の酸を中和する唾液がないと、微生物の攻撃にさらされやすくなります。身体の他の部分の炎症や感染症、病気につながる可能性があります。

またデメイソン氏は、長時間の口呼吸は気道を狭くするため、それ自体が睡眠呼吸障害の原因となります。さらに、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)など睡眠障害を悪化させます。

女の子が口を開けてうつ伏せになって寝ています。 (polkadot / PIXTA)

それと比較して、鼻呼吸には利点があります。イベート・ジュニア氏は「鼻呼吸は空気をろ過し、空気を温め、加湿します。これによって感染症のリスクが減り、気道が潤い、酸素循環が改善される」と述べています。

さらに、鼻呼吸は一酸化窒素を生成し、心血管系と免疫系を刺激します。イベート・ジュニア氏は「一酸化窒素は血管を広げ、臓器や組織に吸収される酸素の量を最大にします。口呼吸にはこのような特性はありません」と説明しています。

夜間の口呼吸に慢性的な問題がある場合、これらの医師は治療を受けるよう勧めています。 考えられる治療法としては、鼻づまりを解消する、寝る姿勢を変える(仰向けにならない)、筋機能療法、経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)、マウステープ、口腔治療器具の使用、手術などがあります。

デメイソン氏は、鼻の横隔膜が曲がっているとか、鼻ポリープがあるなどの構造上の問題や鼻づまりは、手術によって処理する必要があると述べています。