便秘が認知症の原因!? (下)

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便秘はアルツハイマー病と関係がある

ある研究では、アルツハイマー病のマウスモデルを使用して、脳内のβ-アミロイドおよびタウタンパク質の蓄積と、腸内の特定の細菌の存在との間の関連性を調査しました。これらのタンパク質の増減は、アルツハイマー病の重要な特徴となります。

研究結果によると、脳スキャンによって発見されたこれらのタンパク質レベルの上昇は、腸管中の2種類の神経保護作用の可能性がある細菌、酪酸球菌(Butyricicoccus)と腫瘍胃球菌のレベル減少と関係があり、逆に、他の2種類の細菌、バクテリア・サイトバガ(bacteria Cytophaga)とアリストペス菌(Alistipes)はレベル上昇が観測されました。

「いくつかの既知の細菌の欠損は、腸からの漏れや脳への有害物質の輸送を促進する可能性があると考えられます。そして、その欠損がβ-アミロイドとタウタンパク質の沈殿を悪化させた」と研究著者の一人、グレンビッグス研究所アルツハイマー病プロジェクトのボクスター研究員、ヤニック・ワドープ(Yannick Wadop)氏はプレスリリースで述べています。

腸管菌失調すると認知能力も低下

2番目の研究では、包括的で世代を超えた研究であるフラミンガム心臓研究に参加した1000人以上の中高年者の腸内細菌叢を調べ、心血管疾患に寄与する共通要因を特定しました。

認知能力が優れている人に比べて、認知テストで劣っている人は、腸管にクロストリジウムやたん瘤胃球菌のような有益な細菌が不足しており、アリスティペス菌や擬酪酸ビブリオ(Pseudobutyrivibrio)などの有害な細菌が多すぎると言うのです。

しかし、この研究が腸内微生物群の変化が認知能力の低下の原因であることを証明することは、今のところできません。「これらの細菌が、神経系の健康にどのように影響するかを探るため、さらなる研究が必要だ」と、研究著者の一人、グレンビッグス研究所アルツハイマー病プロジェクトと神経退行性疾患プロジェクトの研究アシスタント、ジャズミン・ムハンマド(Jazmyn Muhammad)氏は声明で述べています。

「将来的には、食事の調整やプロバイオティクスの使用によって腸内微生物群の状態を改善し、脳の健康と認知機能を維持させたい」と彼女は付け加えました。

便秘防止は認知低下リスクを下げる?

この研究に参加していない一部の専門家は、相関性を証明するにはさらに多くの研究が必要だと述べています。

これらの発見は慢性便秘と認知能力の低下との間に関連があることを示していますが、「関連は因果に等しくない」とニューヨーク州立大学石渓分校アルツハイマー病卓越研究センター(Stony Brook Center of Excellence for Alzheimer’s Disease)の主任、アルツハイマー病臨床試験計画の責任者であるニキール・パレカ(Nikhil Palekar)博士は大紀元時報のインタビューに答ましえた。

それでも、パレカ博士は、これらの最新発見の意義を強調し、消化器系症状と認知機能との関係は、将来的な探求に弾みを与える可能性があると主張しました。彼は排便の悪い人は、慢性便秘を改善するための適切な治療法を求め、家庭医と率直に自分の状況をコミュニケーションすることを提案しました。

「認知能力の低下には多くの原因がある」とパレカ博士は言いました。この研究の結果によると、便秘の治療や予防によって、認知能力の低下のリスク軽減することは「理にかなっている」と言います。

パレカ博士はまた、慢性便秘の予防の重要性を強調し、すでに現れている便秘の治療よりも予防が重要だと強調しました。彼はまた、食事で繊維の摂取量を増やし、十分な水分摂取と規則正しい運動習慣を保つなど、健康的な生活様式を提案したのです。

ガイドラインに従って、毎日25 ~ 30グラムの繊維摂取を勧めています。植物性の食べ物をたくさん食べることは、この目標を達成する簡単な方法です。例えば、わずか 1 オンス(約28g)のチアシードには 10 グラムの繊維が含まれていますが、黒豆1カップ(約100g)には、15~16グラムの繊維が含まれています。他にも繊維が豊富な食べ物には、レンズ豆、緑豆、ベリーなどがあります。

黒豆には多くの繊維が含まれており、便秘解消に効果的な食材です。(ykokamoto / PIXTA)

黒豆には多くの繊維が含まれており、便秘解消に効果的な食材です(ykokamoto / PIXTA)

英語の記事については、「大紀元時報」英語版Study Links Constipation to Cognitive Declineを参照してください。

(完)

エポックタイムズの健康・ヘルス関連記者。