【有名コラムニスト】嫉妬は有害、なくすには

ジョセフ・エプスタイン(Joseph Epstein)氏は著書『嫉妬』の中で、「7つの大罪の中で、嫉妬だけが楽しくない」と書いています。 もちろん、人々が最も認めたくないのは、自分の嫉妬深さなのです。なぜなら自分が、卑屈で、意地悪で、心が狭いことを認めることだからです。

エレイン・ジャーヴィク(Elaine Jarvik)さんは2006年の文章で、エプスタイン氏の見解を支持しています。「ソルトレイクシティの心理学者マーク・オーエンズ(Mark Owens)は、30年の診療の中で、患者が『嫉妬の問題で助けてください』と言うのを聞いたことがないのです。

邪推と嫉妬は混同されることがありますが、まったく違うもので、例を挙げて説明するのは簡単です。 ある男性が、パーティーで魅力的な若い女性と二人きりで長い時間を過ごし、女性と菜食や猫、お気に入りのTikTok動画について話したとしましょう。 帰りの車の中で、男性の妻は「あの子と長い時間一緒にいて、私があなたを疑うのを恐れないの?」と問い詰める可能性がとても高いですね。あなたがあの子と楽しく話しているので、嫉妬してしまうわ」と言う可能性はとても低いでしょう。

邪推の心を「緑の目をした悪魔」に例えるなら、嫉妬心は私たちにつきまとい、憂鬱で惨めな気持ちにさせる幽霊のようなものです。こんなに悪い精神状態でも、私たちはこの嫉妬の問題を抱えていると、正直に認めることを恥じるのです。

もし幽霊の事を口にしたいと思っても、ジャーヴィクさんが書いているように、

「不公平だ」

とか、

「どうして私は昇進しなかったの? 私は彼女より一生懸命働いたのに……」

と苛立ちを口にするでしょう。

現在、少なくとも公の舞台では、「公平さ」は嫉妬の偽装のひとつになっています。 作家であり神学者でもあったドロシー・セイヤーズ(Dorothy Sayers)さんがかつてこう書いています。

「嫉妬は巨大なモーターグレーダー(整地作業車)だ。たとえ物事を平らにできなくても、低くさせる。最悪の場合、嫉妬は破壊者であり、共に苦しみ、誰も楽に過ごさせない」

と彼女は言いました。

私たちの多くは「愉快殺人犯」になる衝動的経験があり、通常は大きな害はありません。しかし激しく執拗な嫉妬は、人間関係だけでなく、嫉妬深い自身も蝕むのです。この場合、シェイクスピアの「イアーゴ(シェークスピア悲劇オセロ』の主要人物。黒人将軍オセロの旗手。デズデモーナ夫人が副官と通じたと中傷してオセロを嫉妬に狂わせ、惨劇を引起す張本人)」になる危険性があります。盲目的で不合理な恨みでいっぱいで、友人が挫折を味わうと密かに喜んでしまいます。 私たちはこのような有害な考え方が、自分自身の中にもたらす危険を見過ごしてしまうでしょう。

では、どうすればこの悪性の魂の病を避け、治すことができるでしょうか?

自覚すること。 嫉妬という言葉はラテン語のinvidereから来ています。意味は悪意や恨む目付きを持っている。好感の持てる同僚が家族とビーチで休暇を過ごすとき、あなたが「ずっと雨が降ればいい」と思っているとしたら、今こそ、その思いに注意を払い、キャッチし、払拭するときです。それだけでなく、その思いの源と原因を自問自答するときでもあります。

まずは現実から。あなたが窓越しに見ている世界は現実で、フェイスブックやインスタグラムなどのソーシャルメディアを通して見ている世界は非現実であることが多いと自覚するべきしょう。そこでは、多くの人が自分よりも幸せそうに見え、成功しているように見え、才能があるように見えます。 もしあなたが画面の前に座り、友人の昇進のニュースを呪ったり、ビキニ姿でポーズをとる従妹を嘲笑っているなら、こんな幻想的ソーシャルメディアから離れる時です。それぞれの人の現実を考えれば、嫉妬も減るはずです。

恩に感じる。 恩に感じることは多くの精神疾患の万能薬で、嫉妬というウイルスを追放できます。 何気ない日常を静かに振り返ると、私たちの周りにはいつもたくさんの宝物があることに気付きます。私たちが持っている命そのものが、最大の宝物なのです。この恩に感じる気持ちは、悪意の炎を消すことができます。
これらの悪意の炎を消す事で、喜びを入れるポケットが増えていきます。

【著者略歴】
ジェフ・ミニック(Jeff Minick)は4人の子供と多くの孫を持ち、20年にわたりノースカロライナ州アッシュビルのホームスクールワークショップに参加する生徒たちに歴史、文学、ラテン語を教えてきた。 2冊の小説『Amanda Bell』『Dust on Their Wings』、2冊のノンフィクション『Learning as I Go』『Movies Make the Man』の著者。 現在はバージニア州フロントロイヤル在住。 ブログはJeffMinick.com。
 
〈原文Envy and How to Fight Itは英語版エポックタイムズに掲載。
この記事で述べられている見解は著者のものであり、必ずしも《大紀元時報》の立場を反映するものではありません〉
 

教育者、作家。米ノースカロライナ州アシュビルで20年間、ホームスクーリングの生徒たちに歴史、文学、ラテン語を教えた経歴を持つほか、4冊の小説・ノンフィクションを執筆。