キャンペーン/ポイントサービスの満足度低下、前年までの上昇基調に陰り

CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパンは、J.D. パワー 2024年QRコード・バーコード決済サービス顧客満足度調査℠の結果を発表した。

「キャンペーン/ポイントサービス」の満足度低下を背景に、前年までの上昇基調に陰り

 

 本年調査の総合満足度は642pt(1,000ポイント満点)と過去最高の満足度を記録した前回調査(2023年3月発表)を6pt下回る結果となった。ファクター別に見ると、影響度の高い「キャンペーン/ポイントサービス」が大きく低下した。  
 ロイヤルティについては、「継続意向」と「増額意向」は横ばい、「推奨意向」は-3ptの微減となった。
 直近2年で大きく満足度の向上が見られたが、上昇基調に陰りが見える結果となったと言える。

利用頻度の高い層と低い層で、満足度の差が拡大

 

 本調査は、主に利用するQRコード・バーコード決済サービスについて、その満足度や利用頻度を聴取している。今回低下が確認された総合満足度を利用頻度別に見ると、利用頻度により満足度の推移に違いが確認された。
 「2~3日に1回以上」の利用頻度の高い層の満足度は前年比+8ptだったのに対し、「1週間に1回以下」の利用頻度の低い層の満足度は前年比-14ptだった。
 利用頻度の高い顧客は、利用頻度の低い顧客に比べ、満足度やロイヤルティも高いことが確認されており、QRコード・バーコード決済の事業者にとっては、こういった顧客層を拡大していくことが求められる。
 一方、主利用決済サービスの主な利用理由である「ポイントが貯まりやすい」、「キャンペーンが魅力的」といった項目はいずれの層でも低下が見られる。貯まったポイントの運用や個人間送金など、事業者が提供するサービスにも差別化が見られており、本質的なサービス提供による利用喚起が必要なステージに来ていると言える。

 

 給与デジタル払い、若年ほど意向が高い

 2023年4月に厚生労働省により解禁された「給与デジタル払い」の意向について聴取した。「給与デジタル払いに興味がある」と回答した人の割合は、業界全体では20%で、年代別に見ると、20代で34%、30代で24%と若年層ほどその意向が高いことが確認された。
 性別では、男性22%、女性18%と男性の意向が相対的に高い傾向が確認された。加えて、主利用決済サービスの利用頻度別では、利用頻度の高い顧客層ほど給与デジタル払いへの意向が高いことが確認された。
 現状では「給与デジタル払い」は資金移動業者の数社が厚生労働省の審査段階であり、本調査発表時において実際の運用には至っていない状況ではあるが、一定の層においては関心のある様子がうかがえた。

J.D. パワー グローバル・ビジネス・インテリジェンス部門 常務執行役員 梅澤希一のコメント
「QRコード・バーコード決済サービスはこれまで、ポイントやキャンペーンといったインセンティブを背景に市場の急速な立ち上がりを見せてきた。しかし、本年調査では、インセンティブによる利用から、利便性による利用へと市場が過渡期にあることが確認された。市場の更なる拡大に向けて、給与デジタル払いは一つの鍵であると言えるが、その普及には、光熱費や家賃といった銀行口座引き落としが定着している決済などにも活用されることが一層の利便性拡大として重要であると言える。」

J.D. パワー 2024年QRコード・バーコード決済サービス顧客満足度No.1を発表
総合満足度ランキングは下記の通り。

第1位:PayPay(647ポイント)
3年連続の総合満足度第1位。「決済手続き/管理」、「利用できる店舗・ウェブサイト」の2ファクターで最高評価。
第2位:楽天ペイ(645ポイント)
「キャンペーン/ポイントサービス」ファクターで最高評価。
第3位:au PAY(636ポイント)

 

《J.D. パワー 2024年QRコード・バーコード決済サービス顧客満足度調査℠概要》
年に1回、直近3ヶ月以内にQRコード・バーコード決済サービスを利用した顧客を対象に、QRコード・バーコ
ード決済サービスに対する満足度を聴取し明らかにする調査。今回で7回目の実施となる。

■実施期間:2024年1月中旬~下旬 

■調査方法:インターネット調査
■調査対象:直近3ヶ月以内にQRコード・バーコード決済サービスを利用した人(20~69 歳)
■調査回答者数:3,000人

総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に、「決済手続き/管理」(32%)、「キャンペーン/ポイントサービス」(29%)、「利用できる店舗・ウェブサイト」(19%)、「セキュリティ/不正利用防止対策」(19%)、「アプリのアカウント設定」 (2%)となっている(カッコ内は影響度)。