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梅雨の薬膳対策

2025年の梅雨と酷暑に効く!中医学がすすめる旬の食材とは

日本には、初夏から夏にかけて「梅雨」と呼ばれる蒸し暑く湿った季節があります。例年、この梅雨は5月中旬から7月中旬頃にかけて訪れ、梅雨が明けてから夏本番の猛暑が始まるのが通例です。しかし今年、干支が乙巳(きのと・み/へび)にあたる年は、梅雨の蒸し暑さと真夏の高温が同時に押し寄せる可能性があるとされています。

酷暑は心肺に負担をかけ、過剰な湿気は脾胃を傷めるため、今年の夏はとりわけ厳しく感じられるでしょう。食事や生活のリズムには十分注意が必要で、熱中症や下痢、頭痛・めまい、不眠などを防ぐためにも、日々の過ごし方に工夫が求められます。

乙巳年の梅雨 高温酷暑に直面

日本の梅雨は地域によって時期に差はあるものの、概ね5月中旬から7月中旬にかけて訪れます。この時期は降雨が多く湿気がこもるため、気温も高く蒸し暑くなりやすく、湿疹や胃腸の不調といった体調不良を引き起こしやすい時期です。したがって、熱を冷まし湿気を取り除くこと、脾胃を健やかに保ち、下痢や腹の張り、食欲不振を防ぐことが、この時期の養生の要となります。

ところが、2025年の今年は、中医学において最も古く、かつ最も権威ある古典『黄帝内経』に基づく「陰陽五行」の理論から見ても、特に注意すべき年です。この理論では、大寒から一年を六つの気候に分け、それぞれが異なる五行のエネルギーに支配されるとされます。そして5月20日から7月20日ごろにあたる「三之気(さんのき)」の期間は、二十四節気の「小満」から「小暑」までの間に相当し、五行では「火」の性質が主導する時期――ちょうど日本の梅雨と重なります。今年の三之気は5月21日から7月21日とされています。

地球の気候変化も、木・火・土・金・水という五行の順に移り変わります。夏にあたるこの時期が「火」の支配となるのは自然の理であり、暑くなるのは当然のことです。しかし、今年はなぜ特に暑くなるのでしょうか?その理由は、地球の外にある惑星の位置にあります。これらの星のエネルギーも年ごとに変化し、地球との位置関係により影響が異なります。今年の三之気の期間、宇宙からのエネルギーは「木」の気に支配されています。「木は火を生む」という五行の関係により、木気が火気を助長し、風が強く速くなることで火の勢いがさらに増します。そのため、今年の梅雨は「風木が火を生む」ことで、例年にも増して高温多湿となるのです。

加えて、今年は五行のうち「金」の気が不足しているとされます。人体の肺は「金」に属するため、この時期の火の強さによって肺が傷つけられ、いわば「火に攻められる」ような状態となり、肺の病気を引き起こしやすくなります。さらには感染症にもかかりやすくなるとされます。また、宇宙からの木気は人体の肝の働きとつながっており、情緒の不安定や肝の気の乱れを引き起こします。肝が弱れば脾(土)を抑え、消化機能も落ちていき、さらに肺も弱まりやすくなります。肝の不調と心火の高まりによって、頭痛、めまい、不眠、関節痛といったさまざまな症状が現れる可能性があります。

このような理由から、今年の梅雨は例年以上に体調管理が重要となります。心肺と脾胃をしっかりと守り、食事は熱を冷まし火を鎮め、脾を強め湿を取り、肝と脾のバランスを整えることを心がけるべきです。
 

ミョウガ:季節に寄り添う日本の恵み

暑さを和らげ、湿気を取り除く食材といえば、一般的にはよく知られたものが多くありますが、日本特有の旬の食材として注目したいのが「ミョウガ」です。

まるで日本の梅雨に合わせて生まれたかのように、この季節にぴったりの養生食材です。赤みを帯びた色は五行で「火」に属し、心に作用する夏の食材にふさわしい特性を持っています。香りが高く、味は辛味があり、これは五行で「金」に属し肺に働きかけます。また、性質は涼で、火を鎮め、熱を冷まし、暑さを和らげる作用があります。つまり、心と肺を守る働きがあるのです。その芳香は湿気を取り、脾を健やかに保ち、食欲を高め、消化を促進し、肝と脾のバランスを整える効果もあります。梅雨の蒸し暑く湿気の多い気候には、まさにうってつけです。

さらにミョウガには、抗菌・消炎作用もあり、心肺や皮膚、消化器系を守る優れた効能があります。このように、季節に合った伝統食材を選ぶことが日々の健康管理において非常に大切であり、ミョウガはまさに梅雨の季節に自然から与えられた贈り物といえるでしょう。

ミョウガ(shutterstock)

 

ミョウガを使った養生薬膳レシピ

1. ミョウガの冷や奴(2人分)

イメージ写真(shutterstock)

材料:

  • 絹ごし豆腐 200g
  • ミョウガ 3個
  • 大葉 2枚
  • 醤油 適量
  • レモン汁 少々
  • 冷やしたミネラルウォーター 適量

作り方:

  1. 豆腐を食べやすい大きさの角切りにし、水気をよく切っておく。
  2. ミョウガを細切りにし、大葉も同様に細切りにしておく。
  3. 豆腐を冷やしたミネラルウォーターに10分ほど浸し、冷蔵庫で冷やす。
  4. 取り出して水気を切り、器に盛りつける。
  5. ミョウガと大葉を上にのせ、醤油とレモン汁を回しかけて完成。

効能:肺を清めて火を鎮め、暑気を取り除き脾を健やかに保ち、食欲を高めます。
 

2. ミョウガと味噌の冷やしきゅうり和え(2人分)

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材料:

  • ミョウガ 3個
  • きゅうり 1本
  • 味噌 適量
  • 白ごま 少々

作り方:

  1. きゅうりを薄くスライスし、ミョウガは細切りにする。
  2. きゅうりとミョウガをボウルに入れ、味噌を加えてよく和える。
  3. 最後に白ごまをふりかけて出来上がり。

効能:熱を冷まし火を鎮め、脾を健やかにし湿気を取り、食欲を高め消化を助けます。
 

3. ミョウガと紫蘇の細巻き(2〜3人分)

イメージ写真(shutterstock)

材料:

  • すし米 200g
  • ミョウガ 5個
  • 紫蘇の葉 4枚
  • きゅうり 1/2本
  • すし酢 適量
  • 海苔 2枚

作り方:

  1. すし米を炊き、すし酢を加えてよく混ぜる。
  2. ミョウガを細切りにし、きゅうりは細長く切る。紫蘇の葉も細切りにする。
  3. 海苔の上に酢飯を均一に広げ、ミョウガ・きゅうり・紫蘇をのせる。
  4. 巻き寿司の要領でしっかり巻き、食べやすい大きさに切る。

効能:熱を冷まし暑さを和らげ、消化を助け、脾を健やかに保ち湿気を取り除きます。また、肝と脾のバランスを整える効果もあります。
 

4. ミョウガと山芋と鶏むね肉のサラダ(2人分)

イメージ写真(shutterstock)

材料:

  • 鶏むね肉 200g
  • ミョウガ 3個
  • 山芋 100g
  • 大葉(紫蘇) 3枚
  • レモン汁 適量
  • 白ごま 少々

作り方:

  1. 鶏むね肉を茹でてから細く裂く。山芋は皮をむき、細切りにする。ミョウガも細切りにする。
  2. 山芋はさっと湯通ししてから、冷水で冷やす。
  3. 鶏肉・山芋・ミョウガを混ぜ、レモン汁を加えて和える。
  4. 最後に大葉の細切りと白ごまをふりかけて完成。

効能:

気血を補い、免疫力を高め、熱を冷まし火を鎮め、脾胃を健やかに保ちます。体力が落ちやすい人や、疲れやすい人に特におすすめです。

 

5. ミョウガと鶏レバーの炒め物(2〜3人分)

イメージ写真(shutterstock)

材料:

  • 鶏レバー 200g
  • ミョウガ 3個
  • 玉ねぎ 1/2個
  • 醤油 適量
  • 黒こしょう 少々

作り方:

  1. 鶏レバーを薄切りにし、下茹でして臭みを取る。ミョウガは細切り、玉ねぎもスライスする。
  2. フライパンに少量の油を熱し、玉ねぎを炒めて香りを出す。
  3. 鶏レバーを加えて手早く炒める。
  4. ミョウガ、醤油、黒こしょうを加え、全体をさっと炒めて味をなじませる。

効能:肝と脾の働きを整え、肝気を巡らせ、消化を促進します。特に、肝の気が滞りがちで、気分の浮き沈みがある方におすすめです。

(翻訳編集 華山律)

白玉煕
文化面担当の編集者。中国の古典的な医療や漢方に深い見識があり、『黄帝内経』や『傷寒論』、『神農本草経』などの古文書を研究している。人体は小さな宇宙であるという中国古来の理論に基づき、漢方の奥深さをわかりやすく伝えている。