【ニュースレターが届かない場合】無料会員の方でニュースレターが届いていないというケースが一部で発生しております。
届いていない方は、ニュースレター配信の再登録を致しますので、お手数ですがこちらのリンクからご連絡ください。

冷ややっこ――体質に合わせた食べ方で夏の養生に

夏は湿気と暑さで脾(消化機能)に負担がかかりやすく、食欲が落ちやすい季節です。自然と食欲をそそる冷菜を食べたくなります。今回は中医学の観点から、冷ややっこをどのように組み合わせれば、自分の体質に合った食べ方ができるかを見ていきましょう。

豆腐の性質:体を冷まし、胃腸を整える

豆腐は「性質が涼」で「味は甘め」、脾・胃・大腸の経絡に働きかけるとされています。脾を元気にして食欲を促進し、腸を潤して便通をよくし、体の熱や湿気を取り除く効果があります。特に、夏の蒸し暑さで起きる食欲不振・消化不良・便秘・お腹の張りなどに効果的です。また、豆腐は植物性たんぱく質の優れた供給源であり、消化吸収も良く、腸内環境を整え、免疫力を高める助けにもなります。

ただし、中医学には「寒は温で、熱は冷でバランスを取る」という基本原則があります。豆腐は良い食材ですが、性質が冷たいので、脾胃(消化器系)のエネルギー(陽気)が弱い人や、冷え・湿気がたまりやすい体質の人には、適切な組み合わせで食べることが大切です。

以下に、体質別におすすめの冷ややっこアレンジを紹介します。さっぱり美味しいだけでなく、体調を整える助けにもなります。
 

1. 小ねぎと冷ややっこ —— 陽虚(ようきょ)体質向け

刻んだ小ネギ(Shutterstock)

陽虚体質の人は、冷えやすく、手足が冷たい、顔色が白い、食欲がわかない、夏に冷たい物を食べるとお腹を壊しやすいといった特徴があります。

小ねぎは「性温(温かい性質)」で、体を温め寒さを追い出し、脾の働きを助け湿気を取り除く作用があります。豆腐の冷やす性質を中和し、消化器系への負担をやわらげてくれます。

また、小ねぎは体表の陽気を巡らせ、軽く汗をかかせることで、クーラーによる冷えや風寒による頭痛・食欲不振・鼻づまりなどをやわらげる効果もあります。

養生のポイント:

温性の小ねぎと冷性の豆腐を組み合わせることで、バランスよく脾胃を整え、体を冷やしすぎずに済みます。

材料(1人分):

  • 絹ごし豆腐:100g
  • 小ねぎ:1本
  • 醤油:小さじ1
  • ごま油:数滴(好みで)

作り方:

  1. 豆腐は水を切り、食べやすく切って皿に盛る。
  2. 小ねぎを細かく刻んで豆腐に乗せる。
  3. 醤油とごま油をかける。

冷えが強い人は、おろし生姜を加えるのもおすすめ。
 

2. 紫蘇と冷ややっこ —— 気滞(きたい)体質向け

青じそ(Shutterstock)

紫蘇は性質が温かく、気の巡りを良くし、胃の働きを助け、体内の湿気を取り除いて気分の落ち込みを和らげる作用があります。肝と脾のバランスを整える働きもあり、精神的ストレスや怒りが原因で気が滞って起こる腹部の張り、胸の圧迫感、食欲不振などによく用いられます。特に夏は湿気が多く、気の巡りが悪くなりやすいため、こうした症状が出やすい季節です。

養生のポイント:

紫蘇の爽やかな香りと作用で、豆腐と合わせることで消化不良やストレスによる不快感を和らげます。

材料(1人分):

  • 絹ごし豆腐:100g
  • 紫蘇の葉:3枚
  • ごま油:小さじ1/2
  • 醤油または米酢:小さじ1

作り方:

  1. 紫蘇の葉を細切りにする。
  2. 豆腐を切って皿に盛り、紫蘇を散らす。
  3. 調味料をかけて、軽く混ぜて食べる。
     

3.  ニラと冷ややっこ —— 寒湿(かんしつ)体質向け

ニラ(Shutterstock)

ニラは性質が温かく、腎を補い陽気を助け、体の冷えや湿気を取り除きます。また、気や血の巡りを良くし、肝の働きを整えて気分の滞りを和らげる作用もあります。陽気が不足し、寒さや湿気がたまりやすい「陽虚・寒湿タイプ」の体質の人、たとえば下痢しやすい人、舌に白くべたついた苔がある人、温かい飲み物を好む人に適しています。

養生のポイント:

ニラは体の冷えを追い出し、腎を温めて肝の働きを整える作用があります。生姜の千切りは脾を助け、体を温めて湿気を取り除く働きがあります。冷たい性質の豆腐に温性の野菜を組み合わせることで、寒と熱のバランスが取れ、肝と脾の気の巡りがスムーズになり、胃腸の働きを整えて、便秘や軟便などの症状の改善にも役立ちます。

材料(1人分):

  • 絹ごし豆腐:100g
  • ニラ:20g
  • 生姜の千切り:少量
  • ごま油:小さじ1
  • 塩または醤油:適量

作り方:

  1. ニラは3〜4cmに切り、さっと湯通し(約5秒)し、水気を切る。
  2. 豆腐を切って皿に盛る。
  3. ニラと生姜をのせ、ごま油と調味料をかける。
     

4.  納豆・小ねぎ・生姜と冷ややっこ —— 痰湿(たんしつ)体質向け

納豆(Shutterstock)

痰湿体質の人には、肥満気味で体がだるく、舌に厚くてねばついた苔が見られるといった特徴がよく見られます。納豆は善玉菌を豊富に含み、腸内の湿気や不要なものを排出するのに役立ち、代謝機能を高める効果があります。

養生のポイント:

納豆は腸内をきれいにし、余分な湿気を排出する作用があり、生姜は体を温めて寒さを散らします。この組み合わせにより、痰や湿気を取り除き、脾胃(消化器系)の働きを整える効果が期待できます。

材料(1人分):

  • 絹ごし豆腐:100g
  • 納豆:1パック(約40g)
  • 小ねぎ:1本
  • おろし生姜:小さじ1/2
  • 醤油または納豆添付のタレ:少量

作り方:

  1. 豆腐を切って皿に盛る。
  2. 納豆をよく混ぜて粘りを出す。
  3. 小ねぎを刻み、生姜をすりおろす。
  4. 豆腐に納豆をのせ、小ねぎ・生姜を加え、タレをかけて完成。
     

まとめ

夏の食事は「さっぱりしているが冷やしすぎない」「栄養を補うが重たくない」ことが理想です。豆腐はその涼性から夏に人気の食材ですが、体質によって適した食べ方があります。ほんのひと工夫で、冷ややっこ一皿が、単なるおかずを超えて、五臓(内臓)のバランスを整え、夏を健やかに過ごす手助けとなります。