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賢い一皿

失敗しない外食術――味も栄養も満点の店を見抜くコツ

外食には「健康に悪い」というイメージがありますが、必ずしもそうとは限りません。

異なる食文化を体験することは視野を広げる素晴らしい方法であり、味覚を通じた旅は楽しい体験となるでしょう。どの国や文明にも、栄養価が高く、しかも美味しい料理が数多く存在します。その中には、フィトケミカル(植物由来の天然化合物)が豊富に含まれ、腸内環境や肝機能をサポートする料理もあります。肝臓は、私たちが口にする食べ物や飲み物、さらには呼吸によって体内に取り込まれる有害物質を解毒・ろ過する重要な役割を果たしています。

外食でも家庭でも実践できる、賢い食事の選び方

まず、自分にとって最善の「選択」を意識しましょう。レストラン間の競争が激しくなることは、消費者にとって悪いことではありません。むしろ、料理の品質向上につながる可能性があります。

空腹が限界に達してからお店を探すのではなく、あらかじめ選択肢の多いエリアを調べておき、早めに店を決めることが大切です。入店前にはメニューに目を通し、「グラスフェッド(牧草飼育)」「オーガニック」「地産地消」などの表記があるレストランは、健康志向の方におすすめできます。

食事は健康促進のための大切なきっかけになります。「最近、健康的な食生活ができていない」と感じていても、いつからでも再スタートは可能です。次の一食から始めましょう。

一般的に、高価格帯のレストランほど、健康に配慮した調理法や食材を使用している傾向があります。こうしたお店では、グルテン、乳製品、トウモロコシ、大豆、卵、イーストなどへのアレルギーや食事制限にも対応していることが多く、「特定の食材を除く」「調理方法を変更する」などのリクエストにも柔軟に応じてくれる場合が多いです。

また、持続型血糖測定器(CGM:Continuous Glucose Monitor)を使用し、食事が体に与える影響をリアルタイムでチェックする人が増えています。CGMは一度装着すると14日間連続で血糖値をモニタリングでき、異なる食事がどのような反応を引き起こすかを「見える化」してくれます。そのため、食事への不安を軽減する助けにもなります。

この測定器は糖尿病患者だけでなく、健康管理に関心を持つ多くの人々にも注目されており、食事が自分の体に与える影響を具体的に把握する手段となっています。私自身、効率的なライフスタイルを追求するアスリートや専門職の方々と共にCGMを活用した経験があり、皆さん口をそろえて「健康目標の把握に役立つ革新的なツール」と高く評価しています。

 

メキシコ料理

メキシコ料理のイメージ写真(本文とは関係ありません)(Shutterstock)

メキシコ料理というと、油で揚げた料理を思い浮かべがちですが、実はそうとは限りません。新鮮な野菜やハーブ、スパイス、そして良質なタンパク質(リーンプロテイン)が豊富に使われているのが特徴です。

代表的なメキシコ料理である「ブリトー(メキシコ風巻き寿司)」は、自分で具材やその量を選べる点が大きな魅力です。野菜をたっぷりと入れ、チーズやサワークリームを控えめにすることで、よりヘルシーに楽しむことができます。

健康志向の前菜:油で揚げたトルティーヤチップスの代わりに、アボカドディップ(ワカモレ)を新鮮でシャキシャキとした野菜スティックと一緒にいただくのがおすすめです。また、トマトをベースにした冷製スープ「ガスパチョ」も、さっぱりとした味わいで軽やかな前菜としてぴったりです。

健康志向のメインディッシュ:チーズを使用しない、あるいは控えめにした「チリコンカン(スパイシーな煮込み料理)」がおすすめです。ほうれん草や黒豆、さらにグリルした鶏肉、牛肉、豆腐、エビなどを組み合わせることで、栄養バランスに優れた一皿になります。また、グリルしたシーフードにサルサソースやホットソースを添え、野菜やサラダを加えると、満足感がありつつも軽やかでヘルシーです。

グルテンや炭水化物(トルティーヤチップスやライスなど)を控えたい方には、「ブリトーボウル(トルティーヤなしのブリトー)」や「タコサラダ」が最適な選択肢です。

ファヒータ(Fajita):トルティーヤは、全粒粉よりも、遺伝子組み換えでないものやオーガニックのコーントルティーヤを選ぶとより健康的です。具材は野菜とサルサソースを多めにし、チーズやサワークリームは控えめにすると、さらにヘルシーな一品になります。

健康的な豆料理:黒豆は食物繊維とタンパク質が豊富で、加工された「リフライドビーンズ(揚げ豆のペースト)」よりも優れています。また、うずら豆(ピントビーンズ)やグリルした野菜も、健康的な代替としておすすめです。

避けたい料理:カリカリに揚げた料理や油を多く使った料理には注意が必要です。たとえば、「タキートス(小さなメキシコ風揚げ春巻き)」や、揚げたトルティーヤシェル、ポテトチップスなどが該当します。また、加工されたリフライドビーンズは満腹感を与えますが、栄養価はあまり高くありません。さらに、じゃがいもやフライドポテト、タロイモチップスなど、デンプン質の野菜も摂りすぎには注意しましょう。

 

地中海料理

地中海料理は、オリーブオイル、ニンニク、トマト、タマネギを多く使われています。(Shutterstock)

地中海料理は非常に多様で、アメリカでよく見かけるのは、トルコ料理、中東料理、ギリシャ料理などです。伝統的な地中海料理では、オリーブオイル、ニンニク、トマト、タマネギが豊富に使われています。ただし、外食時には、使用されている油の種類を確認することをおすすめします。レストランによっては、安価な代用品を使っている場合があるためです。

健康的で栄養価が高く、しかも美味しい地中海料理には、以下のような選択肢があります。

健康志向の前菜:フムス(ひよこ豆のペースト)や、ギリシャヨーグルトときゅうりで作るツァツィキソースは、きゅうりスティックや新鮮なサラダ、グリル野菜(例:カリフラワー)と一緒に楽しむのがおすすめです。また、揚げたてのファラフェル(ひよこ豆のコロッケ)にアボカドや葉野菜を添えた前菜も、ヘルシーで満腹感があります。

メインディッシュ:チキンシャワルマは、新鮮な野菜やサラダと一緒に注文するとバランスが取れます。ドレッシングやソースは別添えにしてもらうことで、量を自分で調整でき、より健康的に楽しめます。

賢い選び方:「焼く」や「グリルする」といった調理法を選びましょう。乳製品や揚げ物など、健康目標に悪影響を及ぼす可能性のある食材はなるべく控えるのが賢明です。

避けたい食材:ピタパンや白米、ジャガイモといった精製された炭水化物は摂りすぎに注意しましょう。簡単に満腹感は得られますが、その一方で健康的な脂質やタンパク質の摂取が不足しがちです。また、肝臓の健康を守るためにも、揚げ物はなるべく避けることが推奨されます。

 

イタリア料理

シーフードを使ったイタリア料理のイメージ図(shutterstock)

イタリア料理は、調理法としては地中海食に分類されますが、その人気の高さから、特別に紹介する価値があります。オーブン焼きや蒸し料理などの調理法は、パンやパスタのような消化しにくく油っぽい料理よりも、より健康的といえます。これらの重めの料理は、糖質や脂質、カロリーが高くなりがちです。

前菜:新鮮な野菜を使った前菜がおすすめです。たとえば、レモンとオレガノをかけた焼きアーティチョークは人気のある一品です。また、フェンネル、オリーブ、ルッコラを合わせ、レモン汁とオリーブオイルで味付けしたサラダも、爽やかでヘルシーに楽しめます。

ムール貝やイカのグリルといったシーフードも、風味豊かで栄養価が高く、健康的な選択肢です。

スープ:トマトや豆類をベースにしたスープは、食物繊維が豊富に含まれています。イタリアの豆料理は特に繊維が豊富で知られています。たとえば、白インゲン豆、ニンニク、セージ、トマト、そして新鮮なエキストラバージンオリーブオイルを組み合わせた料理は、味わいも栄養価も抜群です。

たんぱく質:良質なたんぱく質を意識して選びましょう。グリルしたサーモンや鶏肉は亜鉛が豊富で、満腹感も得やすく、健康的です。これに野菜を組み合わせることで、バランスの取れた一皿になります。

避けたい食材・調理法:パルメザンチーズ、リコッタチーズ、モッツァレラチーズをふんだんに使ったソースは控えめにし、パン粉をまぶして揚げた料理は避けるようにしましょう。また、炭水化物、特にパスタの摂取量には注意が必要です。よりヘルシーに楽しむには、小盛りのリゾットで、たんぱく質と野菜を含んだメニューを選ぶのがおすすめです。

 

インド料理

紅扁豆(レッドレンティル)はカレーと一緒に煮込むといい、優れた食物繊維の供給源となります。(Shutterstock)

インド料理には、抗炎症作用で知られるウコン(ターメリック)などの優れたスパイスが多用されているのが特徴です。また、ギー(無水バター、クラリファイドバター)と一緒に調理されることが多く、これは一般的な植物油よりも健康的とされています。ただし、揚げ物には注意が必要です。揚げ物に使用される油と精製された小麦粉の組み合わせは、体内に脂肪や毒素を蓄積しやすいためです。

メインディッシュのシェア:複数人でメインディッシュをシェアするのは賢い選択です。そうすることで、野菜と組み合わせてバランス良く食べることができます。

理想的な食事の構成:理想的なプレートの構成としては、良質なタンパク質(例:タンドリーチキン)を半分、残りの半分を野菜と扁豆で構成するのがおすすめです。栄養バランスが取れた満足感のある食事になります。

適度な炭水化物の摂取:玄米のバスマティライスは、少量であれば問題ありません。ただし、主食として大量に摂るのではなく、あくまで添え物として楽しむのが良いでしょう。

おすすめの料理:インドのレンズ豆スープ「ダール」や、豆をベースにした料理は、食物繊維が豊富でおすすめです。また、フェヌグリークというスパイスを使った料理は、血糖値のコントロールや消化促進に役立つとされています。

ヘルシーな野菜料理:軽めの料理を選ぶのもポイントです。たとえば、「ベイガンバルタ(インド風焼きナスのマッシュ)」は、焼いたナスをペースト状にし、トマト、コリアンダー、玉ねぎ、各種スパイスと一緒に煮込んだ、風味豊かで軽やかな一皿です。

避けたい食べ物:衣をつけて揚げた「パコラ」や、でんぷん質の多い前菜「サモサ」は控えるようにしましょう。また、ロティやナン、プーリー(インドの薄焼きパン・揚げパン)は美味しくて食べ過ぎやすいため注意が必要です。さらに、「パニール(インドのカッテージチーズ)」は脂肪分が多く、消化にも負担がかかるため、過剰に摂ると野菜やたんぱく質の摂取を妨げる恐れがあります。

 

タイ料理・ベトナム料理

タイの青パパイヤサラダ(Shutterstock)

タイ料理やベトナム料理の魅力は、新鮮なハーブやスパイスが豊富に使われている点にあります。たとえば、バジル、ミント、レモングラス、生姜などは、タンパク質や野菜の風味を引き立て、料理に爽やかさを加えてくれます。

主食の選び方:ブラウンジャスミンライスやホワイトジャスミンライスは、少量であれば問題ありませんが、主食として大量に摂るのは避けるのが理想的です。また、米粉を使ったフォーなどは精製加工された食品に分類され、油分やデンプン、添加物を含むため、消化に負担がかかることがあります。

ココナッツソースの利点と注意点:ココナッツ由来の脂肪には、免疫機能の向上、炎症の抑制、食欲のコントロールといった効果があるとされています。ただし、食べ慣れていない料理を注文する際には、砂糖や塩がどの程度使われているかを確認することも大切です。

おすすめのメニュー:豆腐やシーフード、または肉を使ったカレーは、生姜やニンニク、バジル、チリソースと一緒に調理されており、風味が豊かで栄養価も高くなります。スパイシーな料理は代謝を促進する効果がありますが、胃食道逆流症を持っている方は注意が必要です。

低デンプンの野菜:ブロッコリー、ニンジン、チンゲンサイ、生姜、タマネギ、唐辛子といった野菜は、血糖値の急上昇を抑えるのに役立ちます。また、青パパイヤサラダにエビや豚肉を組み合わせた料理は、夏にぴったりの低糖質でヘルシーなメニューとして最適です。

避けたい食べ物:健康的な脂質を含まないトロピカルフルーツは、血糖値を急激に上げる可能性があるため控えるべきです。「クリスピー」や「揚げ物」と表記された料理、特に揚げ野菜のようなものは脂質が高く、健康にはあまり好ましくありません。さらに、蜂蜜ソースやタマリンドソース、甘いグレーズがかかった料理も、糖質の摂りすぎにつながるため注意が必要です。

 

和食・中華料理

和朝食(ご飯、味噌汁、焼き鮭、卵焼きなど)(Shutterstock)

和食や中華料理を楽しむ際の理想的なポイントは、新鮮な食材を優先し、揚げ物や衣をつけた料理を控えることです。また、食べる量に注意し、甘いソースの使いすぎにも気をつけるようにしましょう。

おすすめの前菜:前菜には、栄養価の高い枝豆や海藻サラダ、そして味噌汁がおすすめです。特に味噌は、研究によって血圧心拍数を下げる効果が期待できるとされています。

メインディッシュ:メインディッシュとしては、シンプルな炒め物が適しています。たとえば、鶏肉とブロッコリーの炒め物や、牛肉にカリフラワー、ニンジン、タマネギを加えた炒め物などが良い選択となります。

賢い選択肢:より健康的な選択肢としては、ハーブやスパイスで味付けした野菜入りのオムレツ(ただしソースは控えめに)や、揚げ物の代わりに焼き豆腐、スープ、または他の豆腐料理を選ぶと良いでしょう。

避けたい食べ物:避けるべき食べ物としては、乳製品ベースのディップやソースがあり、代わりに酢をベースにしたドレッシングを選ぶのが望ましいです。また、天ぷらや揚げた野菜料理、例えば甘辛いタレがかかったミツバチチキンや酢豚なども控えた方がよいでしょう。
 

アメリカ料理

ポケボウルは海鮮料理の一つ。(Shutterstock)

近年、アメリカの都市部では、地元の旬の食材を使った「カスタムメイド」スタイルの料理や、ハワイ発祥のポケボウルを提供する個人経営のフレッシュフード店が人気を集めています。焼き・グリル・オーブン調理をベースとしたメニューが多く、栄養バランスの取れた食事が特徴です。また、Dig(旧 Dig Inn)、Sweetgreen、Cava、True Food Kitchen、Chipotle などのチェーン店でも、同様の健康志向のメニューを提供しています。ただし、トッピングやドレッシングの選択には注意が必要です。トッピングやソースを過剰に追加すると、せっかくのヘルシーな料理も健康的とは言えなくなってしまいます。

おすすめの健康メニュー:グリルチキンは脂肪が控えめで高たんぱくな選択肢ですし、スパイスで味付けされたテキサス風チリや、栄養価の高いレンズ豆を使った自家製スープも、身体にやさしく満足感のある一品としておすすめです。

ヘルシーなたんぱく質源:天然のサーモン、放し飼いの鶏肉、オーガニックの焼き豆腐、牧草飼育のビーフは、どれも栄養価が高く、体に良いたんぱく源となります。これらにグリルしたニンジンやサツマイモ、そして加熱した葉物野菜を添えれば、栄養バランスに優れた一皿が完成します。

避けたい食べ物:サラダ油を使用したドレッシングや乳製品をベースにしたソースは、健康的な食事の妨げになるため避けましょう。また、白いジャガイモやフライドポテトなどのデンプン質が多い野菜や揚げ野菜も、摂りすぎには注意が必要です。
 

健康優先!テイクアウト時の注意点

ファストフードチェーンでの食事は、できるだけ避けるのが理想的ですが、利用する際には砂糖入りのドリンクやフライドポテトがセットになったメニューを選ばないようにしましょう。代わりにサラダやたんぱく質を含むサイドメニューを選び、別の食事で栄養を補うように心がけるとよいでしょう。

また、「健康的」とうたっているデリやベーカリー、スープ専門店も、実際に健康的とは限らないため注意が必要です。マーケティングの言葉に惑わされず、原材料が公開されているかを店員に尋ねたり、サラダ油・砂糖・人工甘味料・添加物の有無を確認する習慣を持ちましょう。特にスープ類は、思った以上に塩分や添加物が含まれている場合があります。

多くの市販ドレッシングには、砂糖や不健康なサラダ油、人工香料などが含まれていることが多く、せっかく野菜を食べても、ドレッシングの選び方によっては健康効果が相殺されてしまうことがあります。

さらに、オーガニック食品を扱う店であっても、「オーガニック=健康」とは限らない点にも注意が必要です。たとえば、有機チョコレートバーはオーガニックであっても、摂りすぎれば肥満や糖尿病のリスクを高めることになります。
 

テイクアウトで食べ過ぎを防ぐ方法

お気に入りのテイクアウト料理は美味しすぎて、つい食べ過ぎてしまうこともありますよね。でも、ちょっとした工夫で、食べ過ぎを防ぐことができます!

  • 沖縄の食習慣「腹八分目」を意識する。満腹になる前に食事を終えることを心がけましょう。
     
  • 食事の時間を記録する。次の食事までに、最低でも4時間の間隔をあけるようにします。
     
  • 食べ物をシェアする。誰かと一緒に食べることで、自然と食事のペースがゆっくりになります。
     
  • 「ながら食べ」をやめ、食事に集中する。スマホやテレビを見ながら食べると、無意識のうちに食べ過ぎてしまいます。
     
  • 「20分ルール」を守る。脳が満腹感を感じるまでには約20分かかるため、ゆっくり食べることが大切です。

「食事の時間」を楽しいひとときにする。外食やテイクアウトの際も、これらのポイントを意識するだけで、より健康的で満足感のある食事になります。

(翻訳編集 正道勇)

臨床栄養士および自然療法士として、2009年より消化不良、依存症、睡眠障害、気分障害に悩む方々を支援するコンサルティングを実施。大学で補完医療を学ぶ中で、行動神経科学や腸・脳の不均衡に強い関心を抱く。それ以来、栄養ゲノミクス、トラウマにおけるポリヴェーガル理論、および栄養療法アプローチに関する大学院レベルの認定資格を取得。