5月下旬のある日、アンカレッジで野生動物の写真を撮るために車を運転していた小学校教師のエイミー・ブラッグさんは、道端でふらついた足取りの若い見慣れない三匹と偶然出会いました。それは、なんとヘラジカの三つ子でした。
この非常に珍しい出会いは、ヘラジカの親子の見事な写真の数々と、忘れられない体験につながりました。
アンカレッジで幼稚園の教師をしているブラッグさんは、ここ数週間、夏休み中でしたが、毎朝早起きをして野外に出かけ、写真を撮り続けていたそうです。この日もヘラジカを探していたのではなく、写真仲間と一緒にアメリカワシミミズクのヒナを探していたといいます。
結果としてフクロウには出会えませんでしたが、その日の朝に撮影したヘラジカの親子は「とても良い代わりの贈り物」になったと語っています。

「アンカレッジでは、たくさんの野生動物に出会えます」と、ブラッグさんはエポック・タイムズに語りました。
「市内のあちこちに小さな野生の空間があって、少し郊外に出るだけで、ヘラジカやクマ、さまざまな鳥に出会えます」
市街地を車で走っていると、緑に囲まれた林の中で出産を終えたばかりのヘラジカの母親に遭遇しました。最初は赤ちゃんが1匹だけだと思い、車を止めました。
「でもよく見ると、草むらの中にもう2匹いて……えっ、すごい!三つ子だったんです」とブラッグさんは言います。彼女は理由があって距離を保ったそうです。「ヘラジカに突進されたくありませんからね。母親は赤ちゃんをとても守りますから」


ブラッグさんはそのとき、しばらく家に帰れないことを夫に電話で伝えたそうです。というのも、数年前にも一度ヘラジカの三つ子に出会ったことがあったものの、十分に写真を撮らなかったことを後悔していたからです。
「今回は2回目のチャンスだと感じました。だからこそ、しっかり現場に留まり、たくさんの写真を撮るようにしました」
母親のヘラジカがのんびりと草を食べている間、ブラッグさんは車のそばでじっとチャンスを待ち、カメラを構えていました。狙いは三頭の赤ちゃんと母親が一緒に写る完璧な一枚。巨大な母ヘラジカは彼女の存在に気づいていたものの、あまり気にする様子はなかったそうです。ついに、その瞬間が訪れました。


「本当に、本当にすごいです。夢のような瞬間でした」と彼女は語りました。「アラスカに住んでいて、何百、何千というヘラジカを見てきましたが、こういうのは飽きることがありません」
ブラッグさんによると、三つ子の赤ちゃんたちは生後24時間以内と見られます。脚の筋肉はまだしっかりしておらず、草むらの中で横になって休んでいました。ときどき母親のあとをついて行き、授乳しようとしていたそうです。
「お母さんは後ろ脚を持ち上げて、赤ちゃんたちを踏まないように慎重に足を運んでいました。湿地のようなぬかるんだ場所を歩いていたんですけど、とても優しい姿でした」
ヘラジカの三つ子がどれほど珍しいか尋ねられると、ブラッグさんは「グーグルで調べた」と言い、「1000頭に1回の割合」だと答えました。


「でもその確率ほど頻繁に見かけるものではないと思います。アラスカに40年住んでいて、今回でまだ2回目ですから。ヘラジカは本当にたくさん見てきたんですけどね」と付け加えました。
数時間をヘラジカの親子と過ごした後、ブラッグさんは帰宅の時間となり、後ろ髪を引かれる思いで現場を後にしました。「一日中あそこにいられたと思います」と語ります。
「夏休みを取れるすばらしい仕事と、美しい写真を撮れる場所がある私は、とても幸運です」
(翻訳編集 井田千景)
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