マイクロプラスチックは比較的新しい脅威で、多くの健康リスクとの関連が指摘されており、完全に避けるのは難しいとされています。
「プラスチックはどこにでもあります」と、イギリス・プリマス大学の海洋生物学教授で、「マイクロプラスチック」という用語を初めて使った科学者、リチャード・トンプソン氏はエポックタイムズに語っています。「マイクロプラスチックは、息をする空気、飲む水、食べる食品の中にあります」
多くの人は多くの時間を室内で過ごしますが、室内ではマイクロプラスチックへの暴露がより高くなる傾向があります。
「衣類に使われるポリエステルなどの合成繊維は家の中で塵となって空気中に舞い、吸い込まれます。また、洗濯のたびに数百万個のマイクロプラスチックが水中に放出されます」と、スタンフォード医学部の小児感染症医で、スタンフォード学際的プラスチック・健康ワーキンググループの創設メンバーの一人であるデジレ・ラボー博士はエポックタイムズに語っています。
ラボー博士は、マイクロプラスチックを完全に避けることは不可能ですが、暴露を減らす努力はできると述べています。
電子レンジを避け、熱を控える
マイクロプラスチックが放出される主な経路は、加熱と物理的な摩耗です。
熱によってプラスチックは柔らかくなり構造が弱まり、粒子が剥がれやすくなります。プラスチック包装された食品を電子レンジで加熱したり、紫外線にさらしたりすると、プラスチックの結合が壊れ、マイクロプラスチックの放出が加速します。
研究では、すべてのプラスチック製食品容器が、高温への暴露や熱湯での繰り返し洗浄によって、より多くのマイクロプラスチックを放出することが示されています。
ノンスティックコーティングの鍋を高温で長時間加熱すると、表面の摩耗やコーティングの劣化が進み、粒子の放出が増えます。
哺乳瓶など高温殺菌が必要なプラスチック製品は、沸騰に近い温度にさらされるため、特に放出量が多くなる可能性があります。
プラスチックを含むティーバッグも、熱湯によってマイクロプラスチックを放出します。ほかにも、食器洗い、プラスチック製ケトル、直射日光などが熱に関連する要因です。
暴露を制限する方法:
・プラスチック容器での電子レンジ加熱や加熱調理を避けます。
・加熱にはガラスやセラミック製の容器を使います。
・加熱前に食品をガラスやセラミックの容器に移します。
・哺乳瓶はステンレス製やガラス製を選びます。
・ルーズリーフティーや、プラスチックシールのない紙製ティーバッグを選びます。
・プラスチック製の水ボトルを直射日光の当たる場所に置かないようにします。
摩耗・傷ついたプラスチックを交換
プラスチックは長く、激しく使うほど劣化が進みます。表面が粗くなったり、曇ったり、傷ついたりした容器は、新しいものに比べてはるかに多くのマイクロプラスチックを放出します。
研究では、メラミン製食器は100回の洗浄後に最大22倍の粒子を放出したことが報告されています。また、テフロンコーティング鍋では、1つの傷から約9,100個のマイクロ・ナノプラスチックが発生し、ひび割れたコーティングからは最大230万個が放出される可能性があります。
長期間使用を想定したプラスチック製品であっても、リスクがないわけではありません。汚れや傷、熱による損傷がある古い調理器具や容器は、より多くの粒子を放出する傾向があります。
暴露を制限する方法:
・古くなったり損傷したプラスチック容器や調理器具を交換します。
・ノンスティック製品よりも、鋳鉄、ステンレス、セラミック製の鍋を選びます。
・プラスチック容器は優しく手洗いし、摩耗を進めやすい食洗機の使用を避けます。
隠れたプラスチックに注意
「生分解性」など、エコやサステナブルをうたうティーバッグにも、プラスチックが含まれている場合があります。一部は耐熱性プラスチックでシールされ、折り返しやホチキスよりもしなやかで丈夫な縁になっていたり、熱湯で崩れないよう薄いプラスチックフィルムでコーティングされていたりします。
紙カップやテイクアウト用ボックスにも、プラスチックが使われています。液体に耐えるための薄いポリエチレン層は漏れを防ぎますが、熱湯に数分触れるだけで、飲み物にマイクロプラスチックを放出する可能性があります。
ノンスティック鍋も問題の一部です。テフロン(ポリテトラフルオロエチレン)コーティングは、環境中に放出されるとほとんど分解されないことから、「永遠の化学物質」と呼ばれることがあります。
暴露を抑えるためには、無コーティングの紙製品、ガラス、金属、綿やウールなどの自然素材といった、実質的にプラスチックを含まない代替品を選びます。
合成繊維を減らす
ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの合成繊維から脱落する繊維状マイクロファイバーは、室内のマイクロプラスチック汚染の最大の発生源の一つです。
暴露を制限する方法:
・合成繊維よりも、綿、リネン、ウールなどの自然繊維を選びます。
・合成繊維の衣類は、満水・冷水でフロントローダー式洗濯機を使い、繊維の脱落を抑えます。
・可能であれば、乾燥機よりも自然乾燥を選びます。
・HEPAフィルター付き掃除機を使い、定期的に掃除機がけや拭き掃除をして、空気中の繊維を取り除きます。
パーソナルケア製品をチェック
ローションやシャンプーなどは、プラスチック製容器からの影響だけでなく、製品そのものにマイクロプラスチックを含む場合があります。
目に見えるスクラブ用マイクロビーズだけでなく、滑らかさや光沢、ゲル状の質感を与えるために使われるシリコーンやカルボマーといった合成ポリマーも含まれます。
これらは厳密な規制の定義ではマイクロプラスチックに分類されないこともありますが、人為的に作られ、環境中で分解されにくい性質を持ちます。
プラスチック汚染連合は、シリコーンが従来のプラスチックと同様に、プラスチック様の化学物質や内分泌かく乱物質を放出する可能性があると警告しています。
ガラス容器入りの製品を選び、成分表示でシリコーンやカルボマーを確認することで、暴露を抑える工夫ができます。
食品源に注意
超加工食品は、包装や工業的な加工の過程で多くのマイクロプラスチックを含む可能性があります。食品の保管方法も重要で、酸性や脂肪分の多い食品はポリマーの分解を早め、炭酸飲料は圧力によって粒子が液体中に押し込まれることがあります。
暴露を制限する方法:
・ファーマーズマーケットやリフィル店で新鮮な食品を購入し、プラスチック包装を最小限に抑えます。
・プラスチック容器での長期保管を避けます。
・米、魚、肉などは調理前に洗い、表面の汚染物質を取り除きます。
・水筒や食品保存容器には、ガラスやステンレス製を選びます。
「最善のアドバイスは、これ以上生み出さないよう努めることです」とトンプソン氏は述べています。
どれだけ注意しても、マイクロプラスチックは土壌に残り、水道水にも含まれています。これらの取り組みは、取り除けるものを減らし、自身の暴露を抑えるだけでなく、環境に戻るマイクロプラスチックの量を減らすことにもつながります。
科学は、体内に入ったマイクロプラスチックの影響を現在も解明している途中です。それまでは、できる範囲で暴露を減らしていきましょう。
(翻訳編集 日比野真吾)
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