ロバートはいつも健康な側の人でした。71歳になっても週に2回ゴルフをし、常用薬はなく、職場で流行る風邪やインフルエンザをなんとなくやり過ごす生涯の習慣がありました。だから私の診療所を訪れたとき、彼は慌てているというより、ただ戸惑っているようでした。妻が亡くなってからの2年で、彼の中の何かが止まったように見えたのです。
1週間で閉じるはずのすねの擦り傷が、今では治るのに1ヶ月かかりました。かつて払いのけていた風邪が、今では彼を打ちのめします。それから帯状疱疹が現れました。50代で一度発症し、その後はずっとおとなしくしていたと思っていた、あのウイルスです。まるで時間が経っていないかのように、肋骨のあたりに広がっていきました。
内科医は標準検査を行いました。全血球計算、代謝パネルです。すべて正常でした。
「これが年を取るということです」と彼は言われました。しかし、「年齢的には正常」というその判断こそが、本当の問題を覆い隠していたのです。ロバートの免疫防御を担う3つの働きが、人生で最もつらかったこの2年間と時を同じくして、いっせいに崩れ始めていたからです。それは偶然ではありませんでした。
ロバートの身に起きていることを理解するため、私は、あらゆる老化する体の仕組みを評価する際に用いる、4つの視点から彼を診てみました。私はこのアプローチをACESモデルと呼んでいます。解剖、化学、エネルギー、魂です。体の構造が、防御の仕組みを内側に収めています。化学的な働きが、その防御を燃え上がらせたり、鎮めたりします。そしてエネルギーが、それを動かす燃料となります。人生の中で消化しきれずに残っている重荷、たとえば悲嘆や孤立、喪失といったものは、標準的な血液検査では見つけられないような形で、体の防御力をすり減らしていきます。体のあらゆる仕組みの中でも、免疫系こそ、この4つ目の視点が最も重要な意味を持つのかもしれません。
老化する軍隊
免疫系は、いわば体の常備軍です。自分の体と侵入者を見分け、かつて出会った敵を記憶し、傷ついた組織を修復し、危険な状態になった細胞を排除する、広大なネットワークです。
免疫に関わる臓器の中には、多くの人が普段あまり意識しないものもあります。白血球を産生して戦う骨髄。胸骨の後ろにある小さな腺で、T細胞などの免疫細胞を訓練し、防御全体を統率する胸腺。血液を濾過し、通過する侵入者を捕まえる脾臓とリンパ節。そして腸の内壁は、免疫系の多くが住み着く場所であり、体と外界の間にある最大の障壁でもあります。
年齢とともに、この「軍隊」は単に規模が縮小するだけではなく、性質そのものが変わっていきます。新しい脅威への反応はより遅くなり、炎症への反応はより速くなり、記憶するものの信頼性も低くなっていきます。科学者たちはこの緩やかな変容を「免疫老化」と呼びます。胸腺が最も分かりやすい例です。思春期の直後から縮み始め、人生の後半までにはその大部分が脂肪へと変わってしまいます。高齢者が新しい感染症やワクチンにうまく反応できない主な理由は、これまで出会ったことのない新しい脅威を認識するよう訓練された細胞を、体が単純に少ししか作れなくなるからです。
一方で、腸の内壁は漏れやすくなり、骨髄も、的確に狙いを定めた防御細胞ではなく、鈍く全体的な炎症を引き起こす細胞を、より多くつくるようになっていきます。
ロバートの体の状態は年齢相応で、特に目立った異常はありませんでした。つまり、彼の防御力は一晩で崩れたわけではない、ということです。ほとんどの老化する免疫系がそうであるように、何年もかけて少しずつ薄くなっていったため、検査の数値上では異常に見えなかったのです。
免疫老化そのものを止めることはできませんが、その進みを効果的に遅らせる方法は、実はたくさん身近にあります。食物繊維や発酵食品を豊富に含む食事は、免疫細胞を鍛える腸内細菌を育てます。食物繊維はすでに腸にいる微生物のえさとなり、発酵食品は生きた微生物を新たに加えることで腸内細菌の多様性を高め、免疫反応を適切に調整する助けになります。定期的で適度な運動は、免疫による監視機能を、測定できるほどはっきりと高めてくれます。食事と運動は、ロバートがまず始められる領域でした。
炎症のゆっくりした火
老化する免疫系に起きている、化学的な変化には名前がついています。「炎症老化」です。年を重ねるにつれ、体は慢性的で低レベルな炎症状態に落ち着きがちです。ケガをしたときに一時的に燃え上がってはすぐ消える、あの役に立つタイプの炎症ではなく、決して燃え尽きることのない、絶え間なくくすぶり続ける火のようなものです。
その火を燃やし続けるものは、いくつかあります。まるでそれ自体が炎症を起こす臓器であるかのように振る舞う内臓脂肪。炎症の指標を上げてしまう睡眠不足。砂糖や加工食品の多い食事。そして、炎に直接燃料を注ぐような、慢性的な心理的ストレスです。
ゆっくりと燃え続ける炎症は、体をむしばみます。今では、加齢に伴う主な病気の多く、たとえば心臓病、2型糖尿病、アルツハイマー病、いくつかのがん、そして虚弱といった症状の根底に、この炎症があると理解されています。血管や組織を傷つけながら、本当の脅威が現れたときに反応するはずの免疫系の力を、少しずつすり減らしていくのです。
ロバートの炎症マーカーはわずかに上昇していました。頻繁な感染症や治りの遅さは、その内なる火から立ち上る、目に見える煙のようなものでした。
免疫老化は、通常の健康診断には現れません。ナイーブT細胞と記憶制御性T細胞の比率、特定のありふれたウイルスへの生涯を通じた感染負荷、血液中の炎症シグナルのレベル、ワクチンへの反応の弱さなど、ほとんどのクリニックでは行われていない検査が必要になります。
もしこうしたパターンに心当たりがあるなら、通常の健康診断では見落とされがちな指標、少なくとも高感度CRP(C反応性タンパク)については、医師に検査を依頼してみてください。そして、それが持続的に高い値を示している場合は、生活を見直すサインとして受け止めてください。内臓脂肪を減らすことは炎症を直接下げ、野菜、脂肪の多い魚、オリーブオイルを中心にした食事は、砂糖や超加工食品が燃やし続ける火を冷ます助けになります。
エネルギーのレンズを通して
ここまで、私たちは体の構造と化学的な働きという観点から、ロバートの免疫系を見てきました。私が学んだ中医学は、これに3つ目の視点を加えてくれます。西洋生理学もようやく裏付け始めている視点です。中医学でいう「エネルギー」とは、体そのものが持つ機能的な活力のことです。防御機能を含め、体自身の働きに力を与える能力を指します。この力が弱まると、体という「機械」自体は存在していても、それを動かす力が足りない状態になります。これこそが、老化した免疫系の実像です。
中医学では、この体を守る活力を「衛気(えき)」、つまり「防御の気」と呼びます。これは、体の表面を巡って外からの脅威を防ぐ、いわば保護膜のような活力です。衛気が弱いと、侵入者が体の中に入り込みやすくなり、頻繁に、そして簡単に病気にかかるようになります。「侵入者」を「病原体」に、「衛気」を「免疫防御」に置き換えれば、この2つの体系はほぼ同じ現実を説明していることが分かります。
衛気は、私たちが食べるものから作られます。中医学の言葉でいえば脾(ひ)と胃がこれを司っており、さらにその根底には、腎に蓄えられた深い予備力があります。これは、腎臓についての別記事でも触れた「精(せい)」と呼ばれるものです。この深い予備力は生涯をかけて少しずつ減っていくため、それに伴って防御エネルギーも年齢とともに弱まりがちです。その結果、年を取った体は、同じだけの努力をしても、得られる防御はより薄くなってしまうのです。
消化力が弱い人や、過労、病気、深い悲しみによって予備力を早くに使い果たしてしまった人は、十分な衛気を作り出すことができません。その結果、病気にかかりやすくなってしまうのです。これは、現代医学が「免疫老化」という言葉で説明している内容とそれほど違いはありません。ただ中医学では、細胞というよりも「活力」という観点から、この状態を説明しているのです。
中医学では、衛気は肺の働きや睡眠のリズムとも深く結びついているとされています。衛気は日中は体の表面を巡り、夜になると体の内側へと退いて自らを回復させると考えられています。睡眠が途切れてしまうと、この巡りのサイクルも中断されてしまうのです。これは、睡眠不足が免疫機能を損なうという確立された現代の知見を、別の角度から述べているのかもしれません。
妻を亡くして以来、ほとんどよく眠れていなかったロバートは、まさに典型的な例でした。悲しみによって消化力が鈍り、深い予備力は引き出され続け、防御エネルギーは夜になっても補充されないままだったのです。
中医学の考え方に基づけば、活力を立て直す方法はシンプルです。温かく消化しやすい食事で消化力を強め、防御エネルギーが再建される場である睡眠を大切に守り、経験を積んだ施術者のもとで鍼治療や、免疫を支える生薬に取り組むことです。これらは、体の構造や化学的な働きへのアプローチに取って代わるものではなく、それを補うエネルギー面からのアプローチです。
精神は反撃できるのか
体のさまざまな仕組みの中でも、免疫系ほど、心の状態に直接影響を受けるものは少ないでしょう。中医学では、深い悲しみにすり減った人は、病気につけ込まれやすくなると考えられています。つまり、長引く悲嘆は、体の防御力を弱めてしまうのです。
西洋科学もまた、この関連性について、この50年ほどかけて確認を重ねてきました。「精神神経免疫学」という、心と免疫がどのようにやりとりしているかを研究する分野全体を通じてです。その結果は一貫していて、印象的なものばかりです。2005年に行われた画期的な研究では、より孤独を感じている大学1年生ほど、インフルエンザワクチンへの抗体反応が弱いことが分かりました。これは、孤独感が測定可能な形で免疫機能の低下に結びつくことを、直接的に示したものです。
慢性的な悲しみや抑うつは、炎症マーカーを上昇させ、ウイルスと戦い、がん細胞を見張ってくれているはずのその細胞の働きを、抑えつけてしまいます。配偶者を亡くした人は、その後の期間に免疫機能が低下し、病気や死亡のリスクが高まることが分かっています。これは、医学文献の中でも独自の名前がつけられているパターンで、「寡婦効果」と呼ばれています。ロバートはまさに、この研究結果を体現するような状態にありました。
私がついに彼の悲嘆について尋ねると、より完全な絵が現れました。彼は料理をやめていました。料理は彼と妻が一緒にしていたことだったからです。友人からも身を引いていました。二人で共に使っていたベッドではなく、椅子で眠るようになっていました。彼は、まさに本当の意味で「無防備」な状態にありました。中医学の言葉でいえば、悲しみが彼の防御エネルギーを散らしてしまい、現代の研究の言葉でいえば、孤立が彼の免疫細胞の働きを抑え込んでいたのです。
では、心は反撃できるのでしょうか。答えは「イエス」だと示す証拠があり、これこそ、私が患者さんに最も伝えたい部分です。研究では、「ユーダイモニア的幸福」、つまり人生における目的や意味を感じている状態が、より健康的な免疫遺伝子の働き方と結びついていることが分かっています。具体的には、炎症が少なく、ウイルスと戦う免疫のシグナルがより強い状態です。人とのつながりや、人生における目的意識が、免疫の働きを良い方向へと変えてくれることを示す証拠です。
悲しみが免疫を弱めてしまうのと同じ経路を通じて、人とのつながりや目的意識は、逆に免疫を強めることもできるのです。私がロバートに向けて行ったのは、薬の処方というよりも、もう一度人生に戻っていくための後押しでした。
まず取り組んだのは、睡眠を取り戻すことでした。睡眠なしには、他のほとんどの対策がうまく働かないからです。次に、食事を立て直しました。それは、再び料理をするということでもありました。一食一食を、単なる栄養補給としてだけでなく、絶望に対する日々のささやかな抵抗として捉え直したのです。そして、人と一緒に過ごすための具体的な理由を見つけました。ゴルフ仲間との定例の夕食会、クラブへの復帰、定期的なボランティア活動などです。
最後に、悲しみをすべての土台の下に隠したまま放っておくのではなく、それを正面から言葉にして向き合いました。翌年、感染症は頻度が減り、彼の心の一部も回復していきました。
免疫系を一つの物語として読む
ロバートの内科医が、彼の免疫系が老化していると言ったのは正しかったのです。しかし、その結論の断定性は、それを修復可能にしていたものを見落としていました。彼の体の構造は、時間によって薄くなった軍隊を示していました。彼の化学的な状態は、あるべき水準より熱く燃える、炎症のゆっくりした火を示していました。
彼の「エネルギー」を見ると、悲しみと乱れた睡眠によってすり減った防御力が見えてきました。そして彼の「魂」を見ると、その奥に隠れていた、より根本的な力が明らかになったのです。深い喪失体験が、科学によって今では再び活性化させられるようになった経路を通じて、彼の防御力を積極的に抑え込んでいたのです。
もしロバートの感染症だけを、次々と抗生物質で治療していたとしたら、火が燃え続けたまま、その煙とばかり戦い続けていたことになるでしょう。ACESモデルが4つの視点すべてを全体として捉えることにこだわるのは、免疫系においては、それらが互いに影響を与え合っているからです。悲しみが炎症を高め、炎症が免疫細胞を老化させ、乱れた睡眠が防御エネルギーを枯渇させる——歯車がひとつ回るごとに、次の歯車が回り出すのです。この4つすべてに同時に取り組んだことこそが、最終的にロバートの悪循環を断ち切ったのです。
免疫系は老化します。それは、私たち全員に当てはまる真実です。しかし、免疫系は、私たちがどう生きているかに無関心なわけではなく、修復が不可能なわけでもないのです。心は、確かに反撃することができます。そして心がそうするとき、体の中で最も古いこの「軍隊」は、再び息を吹き返すのです。
(翻訳編集 日比野真吾)
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