置きっぱなしの水は危険? 専門家の判断基準

私たちは、飲み残した水をコップに入れたまま一晩置いたり、場合によっては丸一日放置してしまうことがあります。では、コップに残ったその水はまだ飲めるのでしょうか? 健康への影響はないのでしょうか? ここでは専門家の見解を見ていきましょう。
 

12時間ルール

『ハフィントン・ポスト』の報道によると、アメリカ栄養・食事療法学会の管理栄養士であり広報担当でもあるクリステン・スミス氏は、コップに入れた水を飲めるかどうかについて、個人的に「12時間ルール」を守っているといいます。

彼女は、コップの水を12時間以上放置した場合は捨てて、新しい水に替えるようにしていると説明しています。ただし、水が汚染されておらず、かつ蓋などで覆われていた場合は、一晩置いた水でも飲むことは可能だとしています。

「細菌の専門家」として知られる微生物学者ジェイソン・テトロ氏も、コップの水は長時間放置しないほうがよく、12時間が一つの目安になると述べています。

彼によると、問題となる細菌は空気中の汚染物質ではなく、水道水そのものに由来する可能性があります。研究では、飲料水中の細菌濃度が一晩で増加することが確認されています。また、あまり使われていない蛇口では細菌が増殖しやすいとも指摘されています。

彼は次のように説明しています。「最初の12時間では、細菌は十分な栄養を得られず増殖しにくい状態です。しかし12時間を過ぎると、細菌は増殖に十分な環境を得るようになります。」

つまり、前日の夜に残した水を翌朝に飲む程度であれば問題ない可能性がありますが、丸一日放置した水は、たとえ浄水器を使用していても新しい水に替えるのが望ましいといえます。そうしないと、胃腸の不調を引き起こす可能性があります。

テトロ氏は、放置された水は病原体が繁殖しやすい環境になると指摘し、「新しい水に替えることが大切です」と述べています。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によると、同国の水道水は管理されており、通常は安全に飲用できます。しかし、場合によっては細菌に汚染され、健康被害を引き起こすこともあります。水道水の汚染が疑われる場合は、水道会社や保健当局に連絡するよう推奨されています。

同センターは、水道水を汚染し、病気の原因となる主な微生物として、クリプトスポリジウム、カンピロバクター、大腸菌、エンテロウイルス、ジアルジア、A型肝炎ウイルス、レジオネラ菌、ノロウイルス、ロタウイルス、サルモネラ菌、赤痢菌などを挙げています。

これらの微生物を除去する方法としては、煮沸や浄水器の使用が一般的に推奨されています。

水道水が流れている。(Shutterstock)
水道水のイメージ画像(Shutterstock)

 

他人と水を共有する問題

スミス氏は次のように述べています。「誰かが直接ボトルやコップに口をつけて水を飲むと、口腔内の細菌が残った水に移り増殖し始めます。そのため、口をつけた場合はその場で飲み切り、後で飲むために残さないほうがよいです。特に他人とボトルやコップを共有する場合は注意が必要です」

テトロ氏は、ボトル入りの水を使用すれば、特別な設計により細菌の増殖を1日程度抑えられるため、より長く安全に保てると述べています。

もちろん、強い喉の渇きを感じている場合には、水が劣化しているかどうかを気にするよりも、水分補給を優先することが重要です。

スミス氏は、「もし選択肢が一日置いたその水しかない場合、それを飲むほうが脱水状態になるよりははるかに良いです」と述べています。
 

冷たい水と温かい水、どちらが良い?

水の飲み方については、冷たい水を好む人もいれば、温かい(あるいはぬるい)水を好む人もいます。では、どちらが健康に良いのでしょうか。

シカゴ大学医学センターの減量外科医ヴァネッサ・ブイ氏によると、温かい水を飲むという習慣は、中医学や中国文化の影響を大きく受けているといいます。中医学やインドのアーユルヴェーダ医学では、消化の促進や体を温めること、気血の改善といった考え方が重視されています。

アメリカ家庭医学および肥満医学の専門家エリザベス・カザリアン氏は、温かい水を飲むことはお茶文化とも関係があり、多くの文化において重要な習慣の一部だと説明しています。

彼女は「心身をとても落ち着かせてくれる点が重要です」と述べ、温かい飲み物にはリラックスやストレス軽減、鎮静といった効果があり、体に良い影響をもたらすとしています。

女性が水を飲んでいる。(シャッターストック)
水を飲む女性(Shutterstock)

ニューヨークの聖フランシス病院&ハートセンターの消化器内科副部長アイザイア・シュスター氏は、特に朝に温かい飲み物を摂ると腸の動きが促進され、排便を助け、便秘の改善につながる可能性があると述べています。

ただし、温かい水が直接的に消化を助けるとは限りません。ブイ氏は、人体の消化機能は体温(約37℃)で最も効率よく働くため、極端な温度の飲み物は一時的に胃腸の動きや消化機能に影響を与える可能性があると説明しています。

また、インターネット上では「温かい水で減量できる」という説も見られますが、カザリアン氏は「そのような方法を患者に勧めることはできません。根拠となる証拠がないからです」と明言しています。

オーストラリアのクイーンズランド大学の地域健康・福祉の教授ローレン・ボール氏と、サザンクロス大学の講師で管理栄養士のエミリー・バーチ氏も、「The Conversation」に寄稿し、「温かい水が他の温度の水より減量に効果的であるという十分な証拠はない」と述べています。

両氏は、健康への効果は水の温度そのものではなく、水分摂取量の増加や規則正しい生活習慣、あるいは温かさによる快適さやリラックス効果による可能性が高いと指摘しています。

重要なのは、水分補給という観点では、水の温度に関係なく効果があるという点です。ブイ氏は、自分が飲みやすい温度の水を選ぶのがよいと述べています。十分な水分補給を保つことが健康にとって大切です。

熱い水、ぬるい水、常温の水、冷たい水のいずれであっても同様です。体に十分な水分を保つことで、臓器や関節、細胞、体温調節など、体のあらゆる機能が最適に保たれるようになります。

(翻訳編集 解問)

陳俊村