神韻

韓国ソウル、数千人動員の舞台が直前キャンセル KBSへ中国大使館の手紙とどく

韓国ソウルの裁判所は4日、同市内で6~8日に予定されていた神韻芸術団の4公演を取り消すとの判決を下した。裁判では、在韓国中国大使館から公演予定の劇場へ、神韻の公演が「中韓関係を害する」と圧力をかける手紙が届いていたことが明らかにされた。チケットはすでに数千人分が購入されていた。

5月に予定されていた神韻のソウル公演は二転、三転した。今年1月、韓国公共放送KBS本社館内にある劇場「KBS ホール」は、神韻は「政治・宗教の中立を守らなければならない公営放送の品位を害する恐れがある」との理由で、貸出契約を交す韓国公演を招致した企業「ニュー・コスモズ・メディア」へ公演取り消しを伝えた。

これを不服として、ニュー・コスモズは劇場を相手取り民事裁判をおこした。4月、ソウル南部地区裁判所は「劇場の貸出キャンセルは不当」との判決が下り、神韻公演が決まった。まもなく、中国大使館は控訴。5月4日に開かれた裁判では、冒頭のように、判決がくつがえった。

神韻公式サイトによると、神韻芸術団(米ニューヨーク本部)は、中国伝統舞踊や音楽を通じて、中国古典や徳に関する物語を披露してきた。毎年、東京をふくむ世界100都市以上で公演し、100万人以上が鑑賞している。しかし、「伝統文化の復興」との理念や演目内容を共産党は拒絶し、中国本土で公演されたことはない。

 「中韓関係を傷つける」と中国大使館から手紙

KBSホールはこれまで、中国大使館からの圧力を否定していたが、最新の法廷では、KBSは中国大使館から少なくとも2回(1月22日と4月29 日)神韻公演中止を求める手紙を受け取っていたことが明らかになった。

大紀元韓国によると、4月29 日の手紙には「現在の中韓関係は歴史上最も良い時期にある」とし、韓国公共放送であるKBSに対して「韓国のイメージを守り友好関係を守るため、神韻にホールを提供してはならない」と圧力をかけた。公演する場合は、「両国国民の感情を害し、両国の関係発展と各領域の交流・協力に不利になるだろう」と書かれていたという。

中国共産党はこれまで、神韻が公演される各国大使館や総領事館を通じて、劇場や広告主、行政、マスメディアへ公演中止を求める手紙を送っている。日本でも2013年、福岡の李天然中国総領事から「日中友好のために支援してはいけない」などとして県の行政機関に手紙が送られていたことが、本紙の取材でわかっている。同年、神韻芸術団は福岡をふくむ5都市で11公演を予定通り行った。

神韻芸術団は韓国ソウル公演キャンセルの判決について4日、声明を発表した。「韓国の民主主義と自由が傷つけられたことになる」「中国共産党は神韻を妨害するために世界各国の政府と劇場を懐柔・脅迫してきたが、(その証拠は)一度も公的に認められたことはない。このたび、韓国の裁判所で明かされた2通の公文書は、共産党の妨害工作の証拠として残される」。

(翻訳編集・鶴田ゆかり/佐渡道代)