米軍の新国防戦略、中ロとの競争を柱に 対テロから転換

[ワシントン 19日 ロイター] – 米国のマティス国防長官は19日、新たな国家防衛戦略を発表し、中国やロシアとの競争を戦略の中核に据えることを明らかにした。米国は過去15年あまり、イスラム過激派との戦いを国防戦略の優先課題としてきたが、ここで方針を転換する。

国防総省の今後数年の優先課題を設定した新戦略では、中国とロシアを、自国の権威主義モデルに沿った世界の構築を目指す「修正主義国家」と呼び、両国の挑戦に対抗する米国の強い決意を示した。

マティス長官は新戦略の発表にあたり「われわれはテロリストとの戦いを遂行し続けるが、現在の米国の国家安全保障の優先課題はテロリズムではなく、大国間の競争だ」と語った。

新戦略を記した文書の公表は少なくとも2014年以来。ここに挙がった優先事項は今後の国防予算の要求に反映されるとみられる。

ロシアのラブロフ外相は国連で通訳を介した会見で、米国の新戦略について「通常の対話の機会や国際法の根拠に基づかず、米国がこのような対立的な戦略を通じて指導力を証明しようとしていることは残念だ」と発言。「われわれは軍事方針について話し合う準備がある」と述べた。

在米中国大使館は米国の新戦略を批判。中国政府は世界の支配ではなく、世界的な提携を目指しているとの考えを示した。

新戦略では、北朝鮮への対応も優先課題に設定。核兵器だけでなく、生物化学兵器や通常兵器も保有する北朝鮮からの脅威を踏まえ、米軍はミサイル防衛に取り組む必要があるとした。

また、米軍にとって同盟国との国際的な提携が重要になるとした上で、各国の責任分担の必要性も強調した。

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