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アングル:物価上振れで再注目の金、ヘッジ有効性は過大評価

2018年03月04日 06時00分
 3月1日、物価が上振れつつあることから、インフレに対するヘッジ手段として金の購入が再び投資家の視野に入ってきた。ウィーンで2016年3月撮影(2018年 ロイター/Leonhard Foeger)

[ロンドン 1日 ロイター] - 物価が上振れつつあることから、インフレに対するヘッジ手段として金の購入が再び投資家の視野に入ってきた。しかし過去の状況を見ると、金はインフレヘッジにおいて過大評価されているようだ。

これまでの50年を振り返ると、現在のように物価がじりじりと上がる局面よりも、1970年代後半から1980年代初めのように原油価格高騰によって物価が急激に跳ね上がるケースの方が、金を利用したヘッジが有効に機能することが分かる。

ダブリン大学トリニティ・カレッジのブライアン・ルーシー教授(国際金融論)は「1970年代を除いてしまうと、金の値上がりと物価上昇の相関性はかなり弱くなる。1970年代と、1980年代終盤や1990年代の物価上昇の構図は非常に異なるからだ」と話した。その上で、1970年代は物価上昇率が2桁に達し、物価が上向くのが当たり前の世界だったが、もはやそうした状況には戻らないだろうと付け加えた。

1980年初頭に米国の物価上昇率が15%近くまで高まると、金価格はそれ以上に上がり、当時の最高値であるオンス当たり666.75ドルを付けて10年間で価格が15倍に達した。

ところが1986年末に1%だった物価上昇率が90年代初めまでに6%強に加速しても、金は軟調のままだった。

最近のデータからは、米国の物価圧力が高まっている様子がうかがえる。ただ実際に物価が本格的に上昇し始めれば、中央銀行が主に利上げを実施することで物価抑制に乗り出すとみられる。

金にとっては、この金利上昇が好ましくない。金利上昇で利回りゼロの金を保有する機会費用が増大するからだ。金にとってメリットが大きいのは、物価上昇の歯止めが効かなくなって実質金利が低迷するケースに限られる。その場合でも、1990年代に登場した物価連動債(TIPS)などインフレ対策用に開発された商品の方がヘッジに適しているかもしれない。

デューク大学フクア経営大学院のキャンベル・ハーベイ教授(金融論)の研究によると、非常に長期で考えれば金は相応の価値を持つが、短期のヘッジを求める投資家は失望を味わう公算が大きい。

ハーベイ氏は「金のインフレヘッジ機能は数カ月もしくは数年単位では測れない。人々は超長期のパフォーマンスを短期と取り違えて、金は自分たち守ってくれると思い込んでいる。わたしの研究結果では、金への投資は信頼できるヘッジでないことが火を見るよりも明らかだ」と指摘した。

実際、金価格は最近の物価圧力上昇の動きにほとんど反応していない。米国の5年物ブレークイーブン・インフレ率(TIPSと通常の米国債の利回り差)が先月、1年ぶりの高水準になったものの、米金利上昇期待でドルが直近の底値から持ち直すとともに、金は低迷した。

投資家にとって、インフレをヘッジしたければTIPSだけでなく物価指数オプションから不動産まで金の代わりになる投資先は枚挙にいとまがない。

それでも十分な人々が金がインフレに強いと信じるなら、物価圧力の上昇は金価格にプラスになるかもしれない。スタンダード・チャータードのアナリスト、スキ・クーパー氏は「金はインフレヘッジ手段と認識されているので、物価上昇に先立ってある程の資金が金に流入する公算が大きいとわれわれは引き続き予想している」と述べた。

(Jan Harvey記者)

 

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