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リオ・ティント社上海支店(AFP/Getty Images)

リオ・ティント社、スパイ・賄賂容疑と中国の資源争奪戦

 【大紀元日本7月31日】7月9日英豪系資源大手のリオ・ティント社上海支店の社員4人が、中国国家機密に関するスパイ容疑と賄賂の疑いで逮捕された事件は、世界ビジネス界に大きな反響を呼んだ。この事件の発生で、北京当局が外交関係を犠牲にしても命がけで資源を争奪する懸命さ、中国の不透明な裏ルールには危険な落とし穴があることを外国企業に気付かせた。中国から駐在員を撤退する動きが外資系企業の中で始まっている。

 7月16日付豪紙「オーストラリア・ファイナンシャル・レビュー」(The Australian Financial Review =AFR)の報道によると、スパイ容疑をかけられたリオ・ティント社が一部の中国駐在員を本国に呼び戻したと同時に、その他の外資系企業も密かに駐在員を中国から呼び戻している。

 ドイツのメディアも、中国での投資は安全でなくなったと指摘する。イギリス鉄鋼業界誌「スティール・ビジネス・ブリフィング(Steel Business Briefing、SBB)の上海駐在アナリストであるポーロ・バーソロミュー氏は、アル・ジャジーラテレビ放送局に対して、「中国では、一般的な情報提供と思われることが急に国家機密になるのだ」と話した。

 アメリカのゲーリー・ロック商務長官は中国訪問を控えた7月15日に、CNN放送に対して、「同事件の発生で中国に直接投資した米国系企業が不安を感じたことを伝えると同時に、中国政府に対し、アメリカおよび世界各国の中国駐在員に公平に応対するよう求めていく」と話した。

 中国国内の報道によると、約16社の大手鉄鋼製造企業がリオ社の賄賂容疑に関わっているという。しかし、リオ社は「全く根拠のないことだ」と反論している。

 2008年、中国は、国際的な汚職および腐敗防止活動に取り組む国際的な非政府組織の「トランスペアレンシー・インターナショナル」(本部・ベルリン)に、「世界四大貿易贈賄国」の一つとされた。実際、多くの外資系企業は、中国で大きな収益を上げるには、必ず「郷に入っては郷に従わなければならない」と分かっている。ドイツの総合電機メーカーのシーメンス社は02年から07年において、中国の政府官僚や役人などの関係者に、中国の地下鉄、送変電、医療の各プロジェクトにおいて、総額6千万ドル以上の巨額賄賂を行った。

 米国在住の中国経済学者・何清漣氏によると、05年の統計から、過去10年に中国で発生した50万件の腐敗案件を調査したところ、そのうちの60%が外資系企業と関係があったことが分かったという。

 外資系企業の賄賂問題について、中国国営メディアは「西洋から腐敗」が入ってきたと非難している。しかし、多くの外資系企業は、中国で賄賂や不正行為を行わなければビジネスで成功できないと不満を露わにしている。

 一方、これまでの賄賂案件の中で、中国の司法当局に逮捕されるのはほぼ中国籍の社員だった。リオ社の豪州国籍の社員が逮捕されたのは非常にまれなこと。隠された真相は、収賄や贈賄が問題ではなく、中国の戦略的な資源に触れられて、中国政府の利益が損なわれたことが根本原因だったと専門家は指摘する。

 中国外交部スポークスマン・秦剛氏は7月16日の定例記者会見において、リオ社のスパイ容疑問題に触れた際、「賄賂」に言及しなかった。秦氏は「リオ・ティント社員4人は中国国家機密を盗み、中国の利益と経済的な安全保障に多大な損害を与えたという十分な証拠を、関係当局は得ている」と話した。

 秦氏の述べた「経済的な安全保障」は、中国政府が長い間入手したがっていた戦略的資源である鉄鉱石の価格決定権だと思われる。中国の鉄鋼生産量は世界一で、中国は世界最大の鉄鉱石輸入国だ。鉄鉱石の国際価格決定権を得るため、中国国営非鉄大手の中国アルミは、リオ社における中国アルミの持ち株比率を9%から18%に上げようとし、今年初めリオ社に対して、新たに約200億ドルの出資をしたものの、最終的にリオ社のイギリス側筆頭株主に反対されたため、リオ社が契約を破棄した。

 仏紙「ル・モンド」は、資源の安定供給は中国経済にとって非常に重要なことで、中国政府は資源の安定供給を保障するためにいかなる措置と手段も惜しまないということが、今回のリオ社員逮捕事件によって改めて浮き彫りになった、と評論した。

(翻訳編集・張 哲)

 (09/07/31 00:10)  





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