THE EPOCH TIMES

中共機関紙、指導部を批判した短命記事  陳氏処遇をめぐる駆け引きか

2012年05月06日 10時38分
 【大紀元日本5月6日】陳光誠氏が米国に保護を求めた事件について、 中国共産党の機関紙「人民日報」傘下の「環球時報」は2日、指導部の対応を批判し、同氏を脅す内容の評論を掲載した。しかし、その評論はわずか数時間後に取り下げられたにもかかわらず、翌日、再び同じ論調の記事が発表された。取り下げは胡錦濤国家主席サイドの指示によるものと見られている。中国問題専門家は、一連の動きについて、不利な局面に瀕する江沢民派が政局を混乱させ、巻き返しを図るためだと指摘する。

 同紙は2日、「外国頼りに自己アピールする時代はすでに過ぎ去った」とのタイトルの評論を発表した。

 評論では、「米国政府ははっきりと分かっているはず。中国人を指図して、対応を細かく指示するのは、中国への内政干渉というタブーを犯すことになる。政府は断じて応じてはならない」と述べ、事実上、胡・温両氏が率いる指導部の対応を非難した。

 2日、米中双方は陳光誠事件に関する協議を終了、中国側は国内に留まりたい陳光誠氏を人道的に扱うと約束したばかり。米国の介入で中国側が柔軟な態度を示したとの印象を付けられたことに同紙が不快感を示したようだ。

 この短命に終わった評論は陳光誠氏への脅しも忘れず、「外国世論や政治勢力に煽られ利用され、うぬぼれて自身の置かれている立場を勘違いしている」と釘を刺した。

 情報筋によると、この評論は直ちに胡錦濤サイドに取り下げを命じられたという。

 左派メディアとも称される「環球時報」、江沢民派の中心メンバーの曾慶紅・前国家副主席や、中央政法委のトッブ周永康氏に支配されていると香港メディアが指摘する。

 米国在住の中国問題専門家・石蔵山氏は次のように分析した。

 「江沢民派の重鎮である周永康氏が胡錦濤と温家宝両氏を攻撃するカードを打ち出した。つまり、『米国政府の中国政治への干渉を容認した、売国行為だ』とのメッセージを発し、党内の長老たちや左派に胡・温両氏への不満を煽りたて、政局を混乱させようとしている。王立軍事件と薄煕来事件により、窮地に追い込まれた周永康氏らが巻き返しを図るための反撃策だ」

 翌日の3日、同紙は新たに「陳光誠と米国大使館は各自の立場を冷静に自覚すべき」というタイトルの評論を掲載した。今度こそ胡・温両氏をけん制する内容はなかったが、依然として米国側と陳光誠氏に批判の矛先を向けた。

 同評論は、「外国世論と政治勢力の陳光誠事件に対する干渉は異常である」と非難、また、「陳光誠が担う政治的役割は徐々に異様にまで拡大している」と評した。

 石蔵山氏はこのことについてこう分析した。

 「これは中共の常套手段。単なる人権問題なのに、まず『海外の反政府勢力』というレッテルを貼れば、思うままに処分することができる。これは明らかに陳光誠氏に発した脅かしのメッセージ。その狙いは陳光誠氏の出国を促し、事件の早期幕引きを図りたい。陳氏が国内に留まれば、陳光誠氏への迫害を主導してきた政法委の責任が追及され、トップの周永康氏への問責が免れないためだ」

 さらに同氏は「これまでに法輪功弾圧を推進めてきた江沢民派、その主要メンバーの曾慶紅氏はすでに政権から引退した。同派の重鎮である周永康氏も今年秋の中共第18回代表大会で引退する見込み。それに加え、最近、同派の次期後継者と見定められた薄煕来氏は解任され、逮捕されている。この現実は江沢民氏や、周永康氏、曾慶紅氏にとってまさに世界の末日である。このままだと、法輪功弾圧の責任を追及されるのが避けられない。そのため、彼らは巻き返しのチャンスを懸命に探っている」と指摘した。


 (記者・林鋒、翻訳編集・叶子)
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