後世歴史家の毛主席への評価

【大紀元日本1月29日】中国が誇る悠久の歴史の中、幾多の王朝が興亡を繰り返し、夫々の時代に建国の英主や中興の祖と呼ばれる傑出した大政治家たちが表れたことは史書や多くの文献に記されている。その一方で、王朝内の凄惨な骨肉の争いはもとより万里の長城に象徴される賦役などによって無数の民草の運命を変え生命を奪った暗部についても歴史家たちは容赦せずに記している。その意味で、後世の歴史家や文筆家が毛沢東をどのように評価するのか非常に興味深い。

毛沢東は「沁園春.雪」という自作の宋詩の中で、秦皇,漢武、唐宗、宋祖、或いはジンギスカン等の英雄達と自分を較べているが、彼の詩人としての自負や才能は別として、為政者として彼ほど人民を殺戮した権力者は中国史のみならず人類史上、類を見ないといえる。勿論、ヒットラーやスターリンのような人類史上でも特筆すべき惨禍をもたらした悪名高い指導者もいたし、現在においてすら目を背けるような暴政を敷いている国家指導者達がいることも事実である。しかし、桁違いの数千万と言われる自国民を苛み犠牲にし、死に追いやったにも拘らず、未だに国父扱いされている指導者は彼のみであろう。仮に長征や延安時代も含めて建国後数年までの彼が、英雄であったにしても、その後の彼の軌跡は、それまでの半生の成果を全く帳消しにして余りある程の悪行に彩られているのは誰にも否定出来ないだろう。

毛沢東に代表される中国共産党の犯した過ちは人類史上空前絶後の規模による人為的惨禍としか言いようの無い現象であった。この人為的災害、人類史上でも稀に見る程の最悪の失政だった文化大革命や大躍進、そして人民公社に起因する弊害や惨状は、本来人類の教訓として正しく後世に伝えられるべきであるが、当時から現在に至るまで、その正確な情報が殆ど伝えられてないのが実情である。それどころか、むしろ、当時はいわゆる進歩的文化人と称する一連の人達が筆頭になって、その成果をもてはやすことの方が多かったと記憶している。曰く「中国には蝿がいなくなった」とか、「中国では害鳥である雀を徹底的に根絶やしにした」とかの類である。当時は「毛語録」なる書物が、何億冊か印刷され、あたかも宗教の経典の如く国内はもとより外国にまで流布され、家中に毛主席のポスターを貼った農民などもいた。後になって、当時入手出来る最良質の紙が全部ポスターに使われていたので、農民はただ壁紙として利用していただけだった、という小話まで出て来た。又、当時、新聞には頻繁に毛主席の写真が掲載されていたため、迂闊に尻に敷くこともはばかられたとの逸話も残っている。毛主席の政権下で、人々はどのような被害を蒙ったのか。出自が富農だったと云う理由で斃死させられた人達はどれ程いたのか、どのような死に方をしたのだろうか?人民裁判という大衆の暴力によって惨死した人達のことを思うと、とても文明社会の出来事とは思えぬ悲惨な歴史であった。それらを指示扇動していたのが、毛沢東の率いる中国共産党とその追随者であったわけだが、中国共産党の後継者達はその事実をどのように認識しているのか。政権奪取の後、人道主義に悖る施策を、反省も無く繰返した毛沢東とその一味の責任を誰がどうとるのか。何故、その災厄の正確な分析や報道が為されないのか。曰く国家機密なのか。

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