中国:大学教育の盲目的発展がもたらした苦境

【大紀元日本7月6日】 中国では大学卒業者数が過去最高となり、就職状況は空前の厳しさとなっている。最近においても、就職の失敗による悲劇が発生している。メディアの論評によると、こうした事件は、中国が、大学教育を盲目的に拡大させてきた政策が不適当であり、また、その苦しい結果が顕在化し始めているという。中央社26日付が伝えた。

吉林省では、卒業後3年間就職できなかった大学生が、ホテルを爆破するとの脅迫状を送りつけ、逮捕された。また、北京では、ある有名校の卒業生が、就職のプレッシャーに耐え切れず、飛び降り自殺を図った。香港「東方日報」の評論によると、この2つの事件は、大学教育の盲目的発展、すなわち、大学が毎年学生募集の枠を拡大させてきたことが原因であると指摘している。エリート教育から大衆化教育への方向の転換は肯定しうるものの、学生の急激な増加によって市場はバランスを失っている。更に、大学の専攻、課程の配置が、市場における実際の需要を逸脱しており、一部学部の卒業生が過剰となる一方、市場に切実な需要のある専門分野の人材が不足している。また、学習過程は理論に偏っており、卒業生は競争が熾烈な人材市場において対応することができない。このほか、求職者が、経済発展地区に過度に集中していることも、就職率を引き下げる要因となっている。

統計によると、今年の中国における大学卒業生は、413万人で、昨年に比べて75万人増加している。他方、就職市場における需要は、1割前後減少している。卒業人数の増加と、人材市場における需要は、反比例の関係にある。卒業生の就職率は、2003年の83%から、昨年の72.6%に下落しており、予想される今年の就職率は、更に、 65%前後にまで下落し、140万人余りの大学生が卒業と同時に無職となる。

一部の大学では、就職率を高めるため、卒業生に対し、雇用者がサインした勤務契約書の提出と、期限内に宿舎を出ることを求め、これに従わなければ卒業証書を発行しないとし、大学内でパニックを引き起こしている。

香港「東方日報」の評論の見解によると、大学生の就職難を緩和するためには、学生募集数の縮小、教育制度・システムの改革を含め、システム全体を総合的に見直す必要があるという。卒業生もまた、自分達の社会的地位が「幸運の寵児」から、「一般就労者」へ変化したことを認識し、就職市場においてがむしゃらに開拓していかなくてはならない。

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