チベット鉄道―中国共産党の新しい統一戦線手段

【大紀元日本8月15日】チベット鉄道は本年7月1日に全線開通した。総工費30億ドル、全長約2000キロの同路線は、毎年、数十万の旅客及び個人業者を荒涼たるチベット高地へ運ぶ見通しである。「ジェームズタウン基金会」の林和立氏(ウィリー・ラム)は、チベット鉄道の全線開通が北京政府にとって、これまでに制御しにくかったチベット自治区を管理するには、最も効果的な武器となるかもしれないとの意見を示した。

林氏は5日、論文「チベット鉄道―中国共産党の新しい統一戦線手段」を発表した。それによると、胡錦涛・中国総書記がチベット鉄道の開通式に出席したが、1989年3月の「ラサ動乱」時にも胡氏がそこにいたという事実を人々に思い出させた。この動乱は、同年6月の「天安門粛清」の序曲となった。

論文によると、チベット亡命政府のスポークスマン、ナワング・ラブギヤル氏は英紙『デーリー・テレグラフ』の取材に応え、「もし鉄道が政治目的に使用され、中国人を中原からチベットに運ぶのなら、それはチベット人の意思に反するし、私たちはこのことを厳重に抗議する」と表明した。また、政府の最新統計数字によると、チベットの人口は240万人、そのうち4%弱が漢民族だという。しかし、この数字は、海外専門家とダライラマの亡命政府が推定した、人民解放軍及び自治区駐屯の武装警察20万人を含んでいないという。

また、チベットの環境は極めて悪く、酸素も希薄である。しかし、それにもかかわらず、中国中部と沿海の各省から、多くの労働者がチベットに仕事を探しに来ている。ラサは10年前まででは、重要な仏教都市であったが、今ではすっかり商業化されてしまい、中国東部の各省から来た漢民族の経営する商店、レストラン、カラオケ店などがラサを埋め尽くしているという。

チベット鉄道の開通により、中国の技術者や専門家が、チベットの資源を開発するものとみられ、それらには数十種類に上る稀有な鉱物が含まれている。中国とその大多数の隣国が、水資源に難渋している現在、チベットのヒマラヤ山岳地域に位置する(首都)ラサは、ちょうど中国、東南アジアおよび南アジアの主要河川数本の上流にあたる。タイ、ミャンマーおよびベトナムを流れるメコン川も含まれている。人民解放海軍が、その上流部分を制圧することにより、中国は、その隣国との経済、資源外交上において、発言力を大いに強めていくものとみられる。

論文によると、同時に北京政府は今から、鉄道を南部および西部にある他国の境界へ延ばす計画をしている。他国とは、ネパールおよびインドも含まれる。これは国境貿易の促進だけではなく、双方の関係改善も視野に入っており、特にかつての敵国であるインド方面が期待されている。これらのことからみれば、チベット鉄道敷設に当初投下したコストは、人口の少ない同地区の限定された商業活動で生じた利益には釣り合わないとしても、胡錦涛政権が経済、政治、外交関係で得られる最終的な報酬は莫大だ。しかしチベット人が、北京当局に本当に買収されるかどうか、依然として未知であると分析している。

関連記事
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
メディアのスクープ話が世の中を動かす。特に最近は「文春砲」など週刊誌メディアの元気が良い。同時に報道のありかたが問われている。国が国民の幸福を奪うことがあったら、ある程度、国家権力の作ったルールを逸脱する「反社会性」を持ち、戦わなければいけない時がある。記者は反社会的な面を持つ職業で、メディアは反社会性を持つ企業なのである。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]
上川陽子外務大臣は、パナマ在留邦人及び進出日系企業関係者と昼食会を実施した。日・パナマ間の経済分野における協力の可能性や課題、教育などについて、意見交換を行った。
2月23日午後、上川陽子外務大臣はパナマ運河視察を行った。日本が主要利用国であるパナマ運河の安全かつ安定的な利用環境確保に向けた連携を維持すると表明