「上海閥」の汚職取締り強化、前総書記の息子に及ぶ勢い

上海市労働社会保障局の不正融資事件などに関連して、上海市のトップ、陳良宇・同市党委員会書記を解任したのに続き、党中央規律検査委員会は陳氏と関係の深い同市局長、副局長クラスの幹部約20人を拘束したという。中国公安部の官僚が匿名で提供した情報によれば、事件に絡んだとして陳良宇氏と黄菊副首相(党中央政治局常務委員)両氏の夫人が軟禁されたという。「上海派閥」を一掃するための本格的な取り調べが始めた模様だ。また、この幹部によると、江沢民前総書記の息子・江綿恒氏もさらに巨額の不正流用に関与しているとの疑いが持たれているため、次なる厳罰目標になる可能性が非常に高いという。一連の大型汚職案件の行方が注目される中、中国当局内部の権力闘争が徐々に表面化する様相を呈してきた。

陳良宇氏と黄菊副首相は、党最高幹部の政治局員で、江沢民・前総書記が率いる「上海閥」の重要人物である。公安部のある官僚によると、中国公安部が各地の公安局に伝達した内部通報で、陳氏と黄氏両者の妻がともに、「双規」されたという。「双規」は、犯罪の疑いがある中共幹部や、その犯罪に絡む関係者などの身柄を規定された所に拘束し、外部と完全に隔離して規定された期間内に犯罪事実を供述させる取調べ方法。内情を知る者や、被害者らは被疑者の権力に恐れることなく、証言や、情報提供できるため、汚職関係者がもっとも恐れる調査手段であるという。現時点において、この情報はまだ公表されていない。公安幹部は、胡総書記は来年の党大会を前に、江沢民前総書記の側近や、息子から着手し、江氏が率いる「上海派閥」を党内から排除することと、胡錦濤政権の基盤強化を図ろうとしているとの見方を示した。

また、両氏の夫人が不正流用した資金は約30億元(日本円で450億円相当)に上り、黄菊副首相の夫人の許慧文氏は主犯格だという。

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