中国政府メディアの「異例」報道:多発する集団抗議事件、社会の安定に深刻な影響を与える

【大紀元日本12月13日】中国共産党(中共)政権メディア新華社はこのほど、「民衆による大規模の抗議と騒乱事件は、社会の調和と安定に深刻な影響を与えている」と報じた。ロイター通信や、英国のタイムズ紙もこの報道を「異例」とし、政権維持に揺さぶりをかける脅威と中共が認めている注目している。

ロイター通信:抗議と暴動は中共の統治能力に挑戦する

ロイター通信は、「抗議と暴動が増加し続けている=中国政府メディア」と題する報道で、新華社が12月8日、抗議と暴動は中国の社会安定を脅かす最大の要因となり、中共政権の統治能力に挑戦していると報じたことを伝えた。

新華社はある評論報道の中で、国内の「集団事件」(中共政権が抗議と暴動事件を語る用語)を処理する際に、「武力の使用は慎重にすべきである」とした。

ロイター通信は、ここ数年、中国は続発する社会騒乱の中で悪戦苦闘していると指摘し、「30年間の市場改革は中国人の生活水準をアップさせた一方、貧富の格差や、都市部と農村の発展格差も拡大した」と報じ、「人々は農地を失い、幹部の汚職が激増、環境の汚染は深刻化、不動産開発業者は恣意に住民の家屋を強制撤去、国有企業の従業員が大量失業などを背景に、中国人は時には過激な行動に出ている」と分析した。

ロイター通信は新華社の評論を引用し、大規模かつ多発する集団抗議事件は、社会の安定に深刻な影響を与える重大な問題に発展し、改革の推進過程において様々な社会衝突と問題を露呈したと指摘し、「社会と経済構造が著しく変化する背景の中で、このような集団抗議事件は中共政権の統治を脅かし、これらをどのようにうまく処理できるかが課題であり、武力を濫用すると衝突をさらに激化させる可能性がある」と報じた。

中共政権のメディア新華社が珍しく国内の集団抗議事件に言及したことについて、ロイター通信は、「これは中国の弁護士や、人権活動家、外国のメディア関係者への間接的な警告でもある。彼らは集団抗議事件に関心を寄せたり支援したりしたことで、頻繁に妨害や暴力を受けたり、勾留されたりしている」と伝えた。

英タイムズ紙:中国政府の言い方は前後不一致

英タイムズ紙は12月9日、「中国当局、社会の動乱は鉄腕の統治にとって脅威と認める」と題する報道で、「中国共産党の機関紙は、国内で民衆の不満が高まり、その問題の深刻状況を初めて厳粛に捉えた」と報じた。

報道では、中国の市場経済改革に失意した民衆は心に鬱積している強烈な不満を表すために、抗議せざるを得ない状況に追い込まれていると伝えた。

中共政権の統計によると、1994年には、1万件の抗議・暴動が発生し、参加者は73万人だったのが、2004年には、計7万4千件が発生し、380万人の民衆が係わった。昨年1年間では全国で8万7千件に上り、6分間に1件の割合で発生している。

タイムズ紙は、中共政権の広報機関である新華社はこれまで、このような敏感な話題にはほとんど触れていなかったことを挙げ、大規模な集団抗議事件はすでに、中国の社会安定に強く影響する重大問題に発展したと分析している。

中国国内の人権弁護士・李柏光さんはタイムズ紙の取材で、中共政権は今危機的な状況に直面していると指摘、「これらの抗議する民衆はすでにすべてを失い、裸一貫となっている・・・・・・、彼らは窮地に立たされ、失う物がなくなるため、どういう行動に出るかは分からない」と明らかにした。

李弁護士は、地方政権の中共幹部が「経済を発展させる」と称し、無駄な工事建設などを野放図に行っていると非難し、汚職幹部らは在任する3年から5年以内に、職権を「乱用」し汚職のし放題の末、後任には収拾のつかない現状を残し、責任を転嫁、「最終的被害者は庶民である」と指摘した。

中共政権は今年10月の中央会議で、「適当な方式で、社会の騒乱と政治事件の発生を積極的に防ぐ」と強調した。内部情報によると、この決定はすでに各地の地方政権に通達され、社会危機に対処する際の指導的な綱要と位置づけているという。中央指導部の通達では、国内で続発している抗議と暴動事件は共産党の統治を揺さぶるものと初めて認めたという。

(記者・魏徳)
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