四川省土地強制収用:突然の審理延期に怒り爆発、農民ら千人以上裁判所前に集結

【大紀元日本1月10日】四川省自貢市各地で昨年6月、土地の強制収用で同市の公安局警察と農民の間に衝突が起き、数多くの農民が負傷した。強制連行された紅旗白果村の農民6人は刑事拘留処分に不服として、合同で公安局フイトン支局を訴えた。農民たちは半年間を掛けて、地方裁判所および高等裁判所においてそれぞれ2度ずつの行政事件訴訟を行ったが、裁判所側から個別の訴訟なら受理すると言われた。貧しい農民たちは懸命に訴訟費用を工面して、ようやく6人それぞれ個別の訴訟が受理された。ところが、今月4日、農民たちは同件審理のために裁判所に出向いたが、裁判所側から審理日程の延期が突然言い渡され、各村から千人以上集まった農民たちの怒りが爆発、裁判所の前で当局と4時間以上対峙した。

4日午前、自貢市自流区裁判所前で、同様に土地の強制収用で農地を失った紅旗郷、鳳凰郷、衛坪郷などの各郷村農民らは今回の訴訟に強い関心を寄せ、地元住民らとともに千人以上が集まったが、何時間も待たされた。苛立つ農民たちは、ようやく姿を現した趙順泉・副長官の「被告側は原告側の訴訟代理人・劉正有氏に対して異議申し立てしたため、審理日程を延期した。同件は12月25日にすでに原告側に通知した」の説明に怒りが心頭に達したという。

説明に納得しなかった農民たちを落ち着かせるために、裁判所の江声華長官、裁判長、判事らを含む7人が、同件の原告側、農民代表、訴訟代理人・劉正有氏と話し合いを行った。農民代表は、審理の日程変更後に直ちに民衆に連絡しなかったことと、延期した理由に憤りを表した。農民代表は、原告側の全員が劉正有弁護士を非常に信用しており、当局は法曹界に対して、弁護士は一切当件を引き受けてはならないという通達に対して、劉弁護士は無料で今回の訴訟を引き受けてくれたため、苦しい生活を強いられている農民たちにとって、劉弁護士に委任するのが唯一の選択であったと訴えた。

農民たちは、劉弁護士に対して異議申し立てした裁判所に次の質問を問いかけ、強く抗議した。①劉正有・弁護士は中華人民共和国国民ではないのか、政治権利は剥奪されたのか②一審を行った地方裁判所は独立審理を行う能力はあるのか、なぜ中央裁判所へ伺いを立てるのか③被告側は、原告側が委任した訴訟代理人に対して干渉または交代を指定する資格はないと強く訴えた。これに対し、裁判所側は「審理の日程延期問題は、すでに中央裁判所へ指示を仰いでおり、その回答を受けてから連絡する」としか答えなかった。

一方、農民の訴訟代理人の資格問題について、今回の件に詳しい李建強弁護士は、本紙記者の取材に対して、「劉弁護士は訴訟代理人の資格はある。勿論、被告側も異議申し立てはできるが、裁判所側は上級裁判所へ指示を仰ぐのではなく、却下すべきだ。これでは、独立審理の原則に反することになるからだ」との見解を示した。

原告側は取材に対して、裁判所側は農民たちの合同訴訟を認めず、個別の訴訟しか受理しないため、農民たちの経済的負担が加重されたという。裁判所の規定によると裁判所側が徴収する費用は1件につき50人民元のはずだったのに、今回は理由の説明もなく、1件につき強制的に550人民元が徴収されたという。資金を集めるために、原告側の中にゴミを拾う農民までいたという。

実際、昨年12月25日に裁判所は原告側を呼び出し、劉弁護士に委任するのをやめるように仕向けたという。農民たちはそれを固く断ったという。これに対して、劉弁護士は、裁判所側は公安支局と結託しているため、裁判所が公安に協力するのも不思議ではないとした。劉弁護士は、今回は一般の法律訴訟ではなく、農地を失った農民たちが、強制的に農民の土地を奪い取った地方の権力乱用に対しての訴訟であるとし、当局の不当性を暴露させるためであると明かした。劉弁護士は、これまでに、当局は法律を利用し人民に対して危害を加えたとし、合同訴訟から個別訴訟にさせられ、高額な費用の徴収、訴訟代理人の異議申し立て、上級へ指示を仰ぐことなどから、背後に権力で操る黒幕がいることは明らかであると強調した。

原告側はこれまでに幾度も不当な扱いを受けたが、千人以上の人々の支持を得ることができたため、そうした苦難を乗り越える価値はあったという。また、今回は自貢市で初めて、人民が政府に対して訴訟を起した壮挙と言えることから、地元ではセンセーションを巻き起こしているという。原告側は、数万人もの農地を失った農民たちの利益にかかわっているため、多くの支持を得ているという。原告側は、当局が好き勝手に強制的に農民たちの土地を収用することは許さないとし、最後まで戦うと意気

公安局に対して訴訟を起した農民たち(大紀元)

ゴミ拾いして生活を営む農民(大紀元)

警察は暴力を振るい、土地を失った抗議する農民を押さえつける(大紀元)

込みを見せた。

(記者・希文)
関連記事
1月初めから中旬まで、中国各地で数万人を超える大規模な抗議デモが相次いでいる。トラック運転手の新制度抗議やタクシードライバーのストライキ、土地を失った農民の保障要求など、訴えの内容はさまざまだが、警察は多くのケースで暴力をともなう強制解散や逮捕を行った。
【大紀元日本6月13日】四川省巴中市で8日、警察官による暴力事件が発端で、市民1万人と警官隊との衝突事件が起きた。衝突は深夜1時まで続き、多数の負傷者が出た。ラジオ・フリー・アジアが報じた。 8日夜、
6月6日、双橋区の住民数千人が大足県との合併に反対するデモを行った。当局は機動隊を出動し弾圧した(ネット写真)【大紀元日本6月12日】四川省重慶市大足区で6日、数千人に上る抗議デモが発生した。当局は数
 【大紀元日本5月3日】四川省重慶市江北区魚嘴鎮の楼房村で4月20日、現地政府による土地収用をめぐって警察が村民に暴行を加え、村民30人以上が重軽傷を負う事件が発生した。半数を超える20人以上が重傷で
 【大紀元日本1月29日】6千人の従業員を抱える深セン東道物流公司(DDS)の支社がこのほど、相次いで倒産し、多くの失業者が未払いの賃金を求めて各地でデモを起している。25日には広州市東莞地区の従業員