浙江省杭州市:観光名所で農地強制収用、抗議する農民

【大紀元日本5月13日】中国有数の観光地・杭州西渓沼地の開発プロジェクトが2004年から始動した。この開発事業は、現地農民2000世帯の死活問題に関連しているにもかかわらず、現地政府が農民の反対を押し切り、農地を強制収用し工事を強行した。現在、第一期工事がすでに終了し、第二期工事に入った。現地では、農民の自宅を強制的に取り壊す作業が進められ、対立を激化させている。

現地農民からの情報によると、農民が留守の間に、工事関係者が窓やドアなどをすべて破壊するという。農民が住宅の不法侵入として警察に通報したが、警察からは「政府が家屋を壊しているだから、窃盗には当たらない」とし、取り合おうとしない。ならず者のような工事関係者は農民に対し、「お前らをやっつけるには、アリを殺すのと同じ、とても簡単だ」と暴言を吐いたという。

杭州市西渓地区は、市の西部に位置する面積約10平方キロの沼地である。東5キロのところには観光名所の西湖がある。西渓、西湖、西泠は杭州の「三西」と呼ばれている名勝。西渓地区は地理条件と自然環境に非常に恵まれている上、物産も豊富で、現代のユートピアと呼ばれるほどだ。そのため、現地農民の生活は安定しており、都会へ出稼ぎする必要もないという。

問題の開発プロジェクトは、地方政権が現地の数万ムー(1ムー=666平方メートル)の土地(畑や魚の養殖場、果物農園なども多く含まれている)を強制収用し、高値で不動産開発業者に売却することになっている。

現地の農民は、そのプロジェクトに強く反対している。村民によると、1999年1月、現地の蒋村郷という町の農民は村の共産党委員会と30年間の農地使用契約を結んだ。中国の関連法律の規定では、中央の国務院を除いて、いかなる政府機構であろうと、これらの農地を収用してはならないという。

2003年12月、現地政権が蒋村郷管轄下の十数の村を、杭州市第2期住宅地開発の試験地域に編入し、杭州市政府は2004年1月に「西渓沼地総合保護プロジェクト」の建設指令部を設立し、同年2月から、土地の先行購入を始めた。同年5月から、現地政権が「土地徴収と家屋移転の通告」を16回も公布したが、上級政府部門の正式許可書が示されていない。

専門家は、このような政府のやり方は、農民の土地を略奪するようなもので、農民を「住民」に、農地を「国有地」に化されたと指摘、いわゆる「村を撤廃し、居住地を建設する」との命令は、いかなる法律根拠もない上、現地の農民もまったく望んでいないことであるという。

また、現地農民は、「土地を収用する全過程において、村民がいかなる説明も受けていない上、自分たちの意見もまったく聞き入れてもらえない」と明かし、この開発は理不尽でありながら(現地)政府によるものなので、農民が何もかも奪われ、強い無念さと怒りを感じながらも、成す術がないと示した。

ある村民によると、農地の収用同意書には、農民たちが署名を拒否したが、村の幹部数人が無断で署名したという。

農民らの陳情書の一部(大紀元)

村の幹部が勝手に署名した契約書(大紀元)

村の幹部が勝手に署名した契約書(大紀元)

一方的に進められる取り壊し作業(大紀元)

対立する地元警察と農民(大紀元)

(記者・古清児)
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