ロシア、中央アジア諸国との資源外交で先手技

【大紀元日本5月15日】ロシアプーチン大統領は10日、中央アジアカザフスタンを歴訪し、首都アスタナでナザルバエフ大統領と会談、エネルギー資源の共同開発文書に署名する中で、ウランの濃縮センターを合弁で設立することに合意した。

関係者によると、同センターの濃縮ウランは、発電用に他国も使用できる予定で、プーチン大統領によると、「このセンターは、シベリアに建設され、全地球規模のエネルギー・インフラになる」という。

BBCなどによると、両国はまたカザフスタンからロシアに石油を運搬するパイプラインの拡張でも合意し、ナザルバエフ大統領は、その資源の大部分をロシア領内を経由して運搬したい考えだ。

プーチン大統領は10日夜、ナザルバエフ大統領とともに3日の予定でトルクメニスタンを訪問し、同国のベルムイドハメドフ大統領とともにトルクメンバシで三カ国首脳会談を実施、会談では数々の収穫を得た。13日にはカザフ領内のカスピ海・石油積出港であるアクトに移動する強行日程だ。

トルクメニスタンでの三カ国首脳会談では、カスピ海の北に天然ガスのパイプランを新規に敷設することで合意、ロシアはトルクメニスタンの天然ガスを入手運用できるようになり、これで中国と西側諸国などライバルの思惑を打ち砕いた形だ。

新規に敷設されるパイプラインは、世界でも有数の天然ガス産出国であるトルクメニスタンから天然ガスを採取し、カザフスタンを経由してロシアに運ぶものだ。プーチン大統領によると、新規のパイプラインは年間で100億立方メートルの天然ガスを運搬する能力があるという。

今回の合意により、ロシアは市場価格より数段低い値で、トルクメニスタンから天然ガスを買い付けることができ、逆にワシントン、ブリュッセル、北京などの競争相手は、相当な打撃を受けた。それらの競争相手たちは、カスピ海の水中を通り、アゼルバイジャンとトルコに通じるロシアを回避する形でのパイプラインを提示するロビー活動に執着していたが、ロシアに出し抜かれた。

トルクメニスタンの大量の天然ガスが、モスクワに制御されがちなのは、ロシアの大手・ガスプロム社が、ソビエト時代からのパイプラインを継承し供給運搬面を牛耳っているからだ。

トルクメニスタンはここ20年、サパルムラト前大統領の孤立主義政策によって、ロシア以外の国にはアクセスの目が全くなかったが、昨年に同大統領が急逝したことにより、一気に国の窓が開放され、ベルムイドハメドフ大統領がカスピ海の下にパイプラインを敷設して、ロシア依存型の欧州エネルギー事情を少しでも緩和してくれるのではとの希望的観測が流れていたが、ロシアが先手を打って、中央アジアの資源外交でポイントを稼いだ。

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