【季節のテーブル】八月の花札「ススキと雁と明月と」

追えば 花芳しく 渡る

【大紀元日本8月2日】20点札の絵柄は「ススキに明月」。10点札は「ススキに雁」。カス札には「薄が原のお山」がこんもりと描かれて、虫の音(ね)が寂として聞こえてきます。

お盆のようなお月様が上がる8月は、いざよう盆踊りと地蔵盆の季節です。私たちの胸中の玉函(ばこ)も、心なしか騒ぐのでしょうか?暮らしの電気の明かりより、先祖の魂(たま)迎えや送りの篝火が、とても切なく恋しく感じられてきます。

西洋でルナティック(月球的)といえば、満月の日に少し神懸って傾(かぶ)くことのようです。月が秘める不思議な力は、満月の晩に全開します。狼がその匂いに芳しく咆哮するように、海や山や野原にうごめく生き物の息遣いもたわわに靡いて、満月の雫に喉を潤すのです。

満月の姿を湖水に浮かべた岸辺からゆるりと、月の重力線を辿って雁が絵のように飛び立ちます。明月に傾くススキのお山は、お月様の出産力によって育った大地(五穀豊穣)の印です。お月様へ人間の働きの成果を届けるメッセンジャーが、無窮の空に飛び立つ雁の姿に仮託されました。月とススキを結ぶ力に気付いた人が、8月の花札の図柄を作成したに違いありません。「ススキと雁と明月」と・・・三つ揃って風流の宴の構図は完成するのです。

(イザヤ・パンダさん)

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