香港月刊誌「開放」編集長:今秋党大会における人事分析

【大紀元日本8月6日】周恩来の真実の姿を描いた書籍「人間・周恩来」の記念出版のため、来日した香港月刊誌「開放編集長金鐘氏が8月3日、都内で講演し、17期党大会(中国共産党の第十七期全国代表大会)の人事などについて分析した。

金氏は、近年中国情報の発信ルートは香港と日本になりつつあると指摘し、今年日本の共同通信が報じた温家宝が17期党大会に辞意表明(のちに中共外交部が否定)や日本の毎日新聞が報じた17期党大会に曾慶紅の辞任(中共政権は沈黙)などをあげた。

党大会は5年に一回。7期党大会は1945年で、その11年後の 1956年に8期党大会。その後も中国共産党による各種の政治運動が続き、党大会は有名無実となる。金鐘氏は、毛沢東の時代は権力が集中し、党大会が重要視されなかったと分析する。その反省から文革以後、中共はトップ指導者の任期を10年以内とし、軍事委員会主席、党書記、国家主席のポストが分けられ、権力を分散させたと指摘する。

それから、権力を分散した結果、天安門事件当時、軍事委員会主席・_deng_小平、党書記・趙紫陽、国家主席・楊尚昆といった3大ポストの指導者が天安門事件への対応に意見が分かれた。中共は権力を分散した結果、天安門事件のような危機を招いたと判断し、再び権力を集中させる。

また、金氏は、毛沢東と_deng_小平を中国共産党第一世代とし、2人は同世代だが_deng_小平が長生きしただけだと斬新な論を展開。胡輝邦と趙紫陽は第二世代であるが、二人は改革派であったため、共産党の歴史から抹消されたと指摘する。

本年6月25日、胡錦濤が中央党校で演説し、「調和のとれた社会」論を唱えたことを指摘し、毛沢東思想、_deng_小平理論、江沢民の三つの代表論に続き、第四世代の胡錦濤の「調和のとれた社会」論が今後中共の指導思想になるとした。

金氏は、情報筋の話を取り上げ、17期党大会で、政治局常務委員を9人から7人に、さらに9人から5人に減員するという情報に触れ、現政治局常務委員は胡錦濤、温家宝以外に全員辞任する可能性があると述べた。17期党大会に選出される政治局常務委員については、胡錦濤、温家宝以外に3人の新人をあげた。① 李克強…胡錦濤と似たような経歴。胡錦濤の後継者とされる(胡錦濤より12歳年下)。北京大学法学部卒業。日本留学経験があるが、中国共産党の官製のプロフィールに日本留学については紹介されてない②周永康…江沢民派ではあるが、現在、政法公安部門に在籍しているので、大事にされるはず③ 劉延東(女性)…太子党。

さらに、現政治局常務委員は、文革以前に入党し、紅衛兵などとして活躍したため、青紅幇と呼ばれていると紹介した。また、青紅幇とは有名な黒社会・青洪幇(中国語では紅と洪が同じ発音)に由来すると皮肉った。

17期党大会以後の胡錦濤体制の内外政策については、「三つの変化なし」でまとめた。①歴史に対する評価に変化なし…毛沢東時代から現在にいたるまでの歴史認識に対する変化なし②外交に変化なし…米国との対立を避け、近隣諸国(ロシア、日本など)と可能な限り友好関係を維持する③民族問題…台湾、チベット、内モンゴルなどの政策に変化なし。

金氏は、今回初来日し、長い歴史と伝統の街・京都を訪ね、日本文化を堪能し、広島原爆記念館を見学に訪れた。

*香港月刊誌「開放」…1987年創刊。中国問題、主に政治、歴史を扱う狙いは中国の民主化を応援し、中国共産党の歴史及び体制に対して批判を行うため。執筆者は主に共産党体制内の改革派及び民主派。

関連記事
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
メディアのスクープ話が世の中を動かす。特に最近は「文春砲」など週刊誌メディアの元気が良い。同時に報道のありかたが問われている。国が国民の幸福を奪うことがあったら、ある程度、国家権力の作ったルールを逸脱する「反社会性」を持ち、戦わなければいけない時がある。記者は反社会的な面を持つ職業で、メディアは反社会性を持つ企業なのである。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]
上川陽子外務大臣は、パナマ在留邦人及び進出日系企業関係者と昼食会を実施した。日・パナマ間の経済分野における協力の可能性や課題、教育などについて、意見交換を行った。
2月23日午後、上川陽子外務大臣はパナマ運河視察を行った。日本が主要利用国であるパナマ運河の安全かつ安定的な利用環境確保に向けた連携を維持すると表明