中国の失地農民について
【大紀元日本9月2日】8月になってNHKの衛星テレビで中国の失地農民とその問題をインターネットで告発するレポーターの話を視聴した。レポーターは元人民解放軍の所属で共産党員の由である。年間8万件にもなるという騒動の大多数が地方人民政府やその関係者と農民の間に発生した土地問題だそうだ。驚いた事に、土地を失ったという失地農民の数が40百万人に及ぶという話である。9億と言われる農民の実に5%近い数字である。工場誘致や開発プロジェクトにより土地を強制的に収用された農民の怒りが伝わって来る。抗議したり,訴訟に持ち込んだりしたところで肝心の司法当局から公安,警察に至るまで地方人民政府の高官と同腹というのでは農民に勝ち目はない。窮余の策としての直訴すら、当局の執拗な妨害に会い、連れ戻されたり、場合によっては逮捕されたりするのは日常茶飯であるという話である。驚いたことに暴力団、中国の言葉で言う黒社会も結構関与しているらしい。その結果,死者まで発生する事も稀ではないようだ。国務院の標榜する和偕社会が聞いて呆れる話である。一方,レポーターは家族と離れ単身で北京を拠点としインターネットを介してレポートを発表し地方人民政府の高官を弾劾しているとのことである。彼が人民解放軍のOBであり,れっきとした共産党員であることも象徴的である。共産党員である地方人民政府の書記や副市長の汚職が目に余る現状を批判する彼こそ真の共産党員の鑑なのかも知れない。インターネットや携帯電話による情報は壁新聞や口コミとは比較にならぬ速度と範囲で拡散する。
共産党による情報封鎖や愚民政策がその終焉を迎えつつある明白な証拠でもあろう。
中国のマスコミは元々中国共産党の宣伝機関とされ、厳重な当局の統制下にあることは公知の事実であり、先ず騒動が報道されることもないが,既に庶民は人民日報を日付以外信用に足る情報無しと酷評し、公安は戦前の日本における特高つまり政治警察として警戒されてはいるが、その実態は地方人民政府の貪官と癒着し司法官といえどもその例外ではないようだ。まして,地方人民政府が黒社会と癒着しているのであれば論外である。あの悪名高い清朝ですら当初の80年間は後世から見ても比較的清廉な官僚が少なくなかったと聞いているが、革命後僅か半世紀そこそこで、ここまで腐敗が蔓延してしまったのは中国共産党による一党独裁の弊害以外のなにものでもなかろう。悠久の歴史の中で歴代王朝の興亡をとっても、各王朝の末期には例外なく民衆の蜂起が口火となり騒乱が発生した。漢は外戚により,唐は宦官により滅んだが、騒乱の遠因に黄巾賊や白蓮教による農民の蜂起があったことも事実である。中国共産党がいつまでも硬直的な弾圧政策を続けるとすれば何れは中華人民共和国の崩壊も共産党員の貪官汚吏の苛斂誅求矢や不正が遠因となろう。