対ミャンマー制裁:20カ国元首脳、中国当局に連名書簡

【大紀元日本10月8日】ミャンマー軍事政権による反政府デモ武力弾圧問題について、中国とロシアは、国連安保理による同国への制裁に反対しているが、10月5日、20カ国の元首脳は連名で胡錦濤・国家主席に書簡を送り、同軍事政権に圧力をかけ、民主化運動組織との対話を呼びかけることを求めた。

中国当局とロシアは10月4日、国連安保理によるミャンマー制裁反対を表明した。中国駐国連大使・王光亜は中国当局の主張として、同軍事政権による国民反政府デモへの武力弾圧はミャンマーの内政問題であるとし、国際社会は干渉してはならないとの認識を再強調した。

ドイツ外務省東アジア太平洋担当のヒール氏は、上記の中国国連大使の談話は、中国当局の一貫の立場を繰り返している、すなわち、他国の内政を干渉してはならないという中国当局のこのような姿勢は、明らかに自己の戦略的利益を前提にしているものと指摘し、「中国当局の戦略的利益は、インド洋上で航海ルートを確保することであり、ミャンマーはその優位性を提供できる」と発言した。

その発言の裏づけになるのは、非政府組織EarthRights Internationalが最近公表した研究報告書だ。それによると、中国雲南省とミャンマー南西部のインド洋海域を結ぶ石油・天然ガスの運送パイプラインが建設された。このラインは、マラッカ海峡を経由せずに中東とアフリカの燃油を直接中国国内に運べるからだ。

中国外交部の劉建超・報道官はこのほど、「ミャンマーの情勢は安定化しつつあり、これはミャンマー各方面と国際社会による共同の努力の結果」と強調した。それに対し、国連安保理理事国の大使らの見解として、AP通信は、「中国当局のこの種の声明は、ミャンマーが平和を取り戻したと強調するだけで、軍事政権による殺人と平和的に抗議していた民衆を逮捕・暴行した問題を回避している」と伝えた。

ミャンマー問題を議論する際に、多くの死傷者をもたらした武力弾圧に言及しない理由を質疑された王光亜・中国国連大使は、ガンバリ国連特使がミャンマーを訪れる際、同軍事政権のトップと民主化指導者アウンサンスーチーに面会できたことを成果として挙げ、これまで中国の見解を再強調し、ミャンマーでの武力弾圧は同地区と世界の平和を脅かしていないとし、内政に属し、国連は介入すべきではないと繰り返した。

一方、中国国内では、今回の武力弾圧は敏感問題として扱われ、政府メディアの報道は極めて控えめである。米国VOAの報道によると、軍事政権はデモ参加者の自宅を家宅捜査するなど、関係者の弾圧を続けている。

そのような状況において、10月5日、20カ国の元首脳は連名で胡錦濤・国家主席に書簡を送り、中国当局が同軍事政権に圧力をかけ、民主化運動組織との対話を促すことを要求した。

AFP通信によると、ノルウェー元首相ボンデビック氏がこの連名書簡を駐オスロ中国大使・高建に託した。

同書簡は、中国当局が、ミャンマー軍事政権と民主化指導者アウンサンスーチーの対話実現に、もっと積極的な役割を果たせると期待を示し、国連安保理による対ミャンマー武器禁輸措置の実施に、中国当局の支持を求めた。

フランスのジョスパン元首相、アイルランドのロビンソン前大統領、ノルウェーのボンデビック元首相、ブラジルのカルドーゾ前大統領、フィリピンのアキノ前大統領、チェコのハベル前大統領を含む20カ国の元元首らがこの書簡に署名した。

また、ミャンマー国家テレビは10月4日、軍事政権の最高指導者はアウンサンスーチーとの対話に同意すると伝え、前提条件は、同氏が国際社会による対ミャンマー経済制裁への支持を放棄することと報じた。軍事政権の報道官はBBCの取材で、アウンサンスーチーがこの条件を受け入れないはずと発言した。

米国と欧州連合を中心とする欧米諸国は、国際社会による同軍事政権への制裁強化などを強く要求している。

(翻訳/編集・叶子)
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