中国当局の臓器移植誓約、背景に五輪の圧力

【大紀元日本10月18日】中国当局が今月はじめに世界医学学会と合議書を交わし、囚人あるいは他の監禁者の臓器を移植しないと約束したことについて、中華医学会の関係者はこのほど、国際社会による2008年北京五輪ボイコット運動による圧力を背景に、合議書の実効性などについて、見解を示した。

豪州の新聞紙シドニー・モーニング・ヘラルドは今月9日、「中国当局の臓器誓約の背景に五輪ある」と題する評論を掲載した。

半官半民の中華医学会の陳仲華・副会長が、中国の臓器移植は「国際社会の強い圧力を受けている」と認めたという。

陳仲華・副会長は、中国紙「南華早報」の取材で、「政府が心配しているのは、臓器の不法売買への制裁を許諾しなければ、多くの国が連携して北京五輪をボイコットするのでは」と話し、今回の合議書の締結の背景を明かした。

中華医学会は、会員の医師50万人対し、死刑囚の同意を得たとしても、その臓器の摘出・売買に参与しないよう求めている。

前述の陳・副会長は、「政府は、今回交わした約束を実行するスケジュールをまだ作成していないが、このような約束をしたのは初めて」と評価した。

一方、上記の中華医学会国際支部の劉志氏はシドニー・モーニング・ヘラルド紙の取材で、今回医学会が交わした約束には実質的な法的効力がないと指摘し、中国当局と医療関係者による政策制定には、多少の影響を与えるのを期待していると述べた。

長い間、中国国内では、死刑囚の同意を得ずに任意にその臓器を摘出・売買することが、国際社会の非難を受けてきた。最近では、生きた法輪功修煉者からの臓器強制摘出の問題は、中国当局に、国際社会からの強い圧力をさらに感じさせたが、彼らは、このことを否認し続けている。上記の中華医学会の関係者・劉氏も、中国国内の臓器移植は「潔白かつ合法的である」としている。

一方、中国では、死後の臓器提供を志願する人々の比率は極めて低い。これは、中国人の伝統観念と関連している。死後の遺体の保全は非常に重要視されている。一方、同国での臓器移植の手術の数は、記録のある臓器提供志願者(ドナー)による提供数量を大幅に超えている。

中国国務院が5月に新しい法令を制定、すべての機構と個人がいかなる形で臓器を売買してはならないと定め、すべての移植臓器はドナーの同意を得なくてはならないと決めた。

上述の陳・副会長は、「今年から、死刑囚からの不法臓器摘出の発生比率は明らかに下げた。親族とドナーによる提供が増えた」と述べた。

また、メディアは、もう一種類の臓器供給源を報道している。交通事故の死者とその一部の病死患者の臓器を盗み、売買する病院が存在する、と報じられている。

もう一つ、争議の的となっている問題は、中国での死刑執行数である。

中国当局は去年、23年間続いた地方法院(地方裁判所に相当)の死刑判決の権利を取消、最高法院(最高裁に相当する)にしか死刑の判決を出す権利がない、と定めた。

また、中国当局は一貫して死刑執行の正式データを公表していない。アムネスティ・インターナショナルの試算によれば、2001年には、2500人以上が死刑判決を受け、執行数は4千件を超えている。2005年には1770人以上が処刑され、全世界執行者総数の8割を占めた。同人権団体は、実際の数値はさらに高い可能性があるとしている。

(記者・林節、翻訳・叶子)
関連記事
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
メディアのスクープ話が世の中を動かす。特に最近は「文春砲」など週刊誌メディアの元気が良い。同時に報道のありかたが問われている。国が国民の幸福を奪うことがあったら、ある程度、国家権力の作ったルールを逸脱する「反社会性」を持ち、戦わなければいけない時がある。記者は反社会的な面を持つ職業で、メディアは反社会性を持つ企業なのである。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]
上川陽子外務大臣は、パナマ在留邦人及び進出日系企業関係者と昼食会を実施した。日・パナマ間の経済分野における協力の可能性や課題、教育などについて、意見交換を行った。
2月23日午後、上川陽子外務大臣はパナマ運河視察を行った。日本が主要利用国であるパナマ運河の安全かつ安定的な利用環境確保に向けた連携を維持すると表明