世界中みんな幸せになる―「人権聖火」がくれた優しい心

【大紀元日本7月5日】やわらかな雨に濡れたアジサイの花が、今年は特別に美しく見える。

天の恵み、自然の恩恵に生かされてこその私たち人間。

その存在は努めて謙虚であらねばならないことを、いま改めて思う。

6月後半の2週間、「グローバル人権聖火リレー」が日本を爽やかに駆け抜けた。

昨年8月9日、ギリシャのアテネで点火された「人権聖火」は世界各国で絶大な支持を集め、多くの市民・文化人・政府要人から、まさに熱狂的なほどの歓迎を受けてきた。

その様子は、いわゆる北京五輪の「せい火」が世界中からブーイングの嵐に見舞われたことと極めて対照的に、これこそが本物の「聖なる火」であることを実証するのに十分なものであったと言えるだろう。

6月18日に東京・代々木公園をスタートした「人権聖火リレーin日本」は、長野・大阪・名古屋・広島と日本を力強く走り抜け、29日、福岡でそのフィナーレを飾った。

中国共産党政権による残酷な法輪功迫害、およびすべての人権迫害を、北京五輪開催の前に停止させる。それが、この人類史上初である「グローバル人権聖火リレー」の壮大なミッションであった。

その志に賛同した多くの日本人が「人権聖火」に集い、ともに祈り、ともに勇気ある行動をとってくれた。

思いは込められた、と思う。

しかし正直なところ、6月18日の開幕の日、私自身の心の片隅には、ほんの少しばかり未消化の部分が残っていたのも事実なのである。

「中共の人権迫害停止」という緊急の大課題を目指して、私を含めてスタッフ一同、疲労の身に鞭打ち、準備に追いまくられながら初日を迎えた。

その忙しさのなかで、「中共の人権迫害を停止させる」という限定的目標が、一体どのような普遍的理想につながっていくのかということ、つまり、その「山頂の空」まで視野に入れる精神的ゆとりが私になかったことを、自己の反省として感じざるを得なかったのである。

しかし、やはり天の采配は見事なものであった。

私のつまらぬ迷いを明快に晴らしてくれる魅力あふれる人物を、「人権聖火」初日のステージに招いてくれたのである。

ZAKIさん。

石垣島で自給自足の生活を営んでいるという。

ミュージシャンとして、ご自身も歌うし、著名な歌手のプロデュースも数多く手がけているそうだが、音楽の方面にはあまり詳しくないので、私はご本人をよく存じていなかった。

しかし、そこにその人がいるだけで、お寺の大鐘のような人間の響きが確かに伝わってくる。そんな不思議な人物であった。

ギター一本を抱いて代々木公園の野外ステージに立ったその人は、ただ一つのフレーズを、ただ一つの旋律に乗せて、無限の宇宙のように歌い続けた。

世界中みんな幸せになる

世界中みんな幸せになる

世界中みんな幸せになる

くだらない解説など、もはや無用であろう。

「世界中」「みんな」「幸せに」「なる」

その絞りに絞った言葉のエッセンスには、どこにも無駄がなく、疑いをはさむ髪一本の隙さえもない。

幸せに「なろう」でも「なりたい」でもなく、確信をもって「なる」と断言する。

邪悪のものが、クラッシャーで粉砕される音が聞こえるようである。

世界中みんな幸せになる

迫害を受ける法輪功学習者を助け、抑圧された中国人を救うために、「中共の人権迫害を停止させる」ことを第一の目標として「人権聖火」とともに走ってきた私たちであった。

しかし、その向っていた先は、実は「世界中みんな幸せになる」ことだったのだと、まさにZAKIさんの歌を聴いて気づかされた気がしたのである。

それを知って、私はたまらなく嬉しかった。

ZAKIさんは「人権聖火」のステージに、東京だけでなく、広島・福岡までわざわざ来てくれてこの歌を熱唱してくれた。

特に最後の福岡では、同じ歌の中国語の歌詞「全世界的人們応該都幸福」を参加者全員で歌ったのが忘れられない。

そこに参加した人のすべてが、この上なく優しい表情になっていた。

人々が善良で優しい心を取り戻したとき、中国共産党は瞬時にして滅亡する。その時が近づきつつある中共は、おそらく震え上がっているだろう。

「人権聖火」はいま日本から韓国へ渡り、最後のゴールである香港を目指して驀進中である。

昨年8月に生まれた小さな灯が、いまや堂々たる「燎原の火」となった。

力強く、美しい聖火である。

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