【ハーブティーを楽しみましょう】(13):亜麻

【大紀元日本8月29日】 「のどが痛いの?じゃ、サルビアのおでうがいなさい」「眠れないの?じゃ、ホップとかのこ草のお茶を入れてあげましょう」という風に、ドイツの家庭では小さな症状が出たらすぐに、常備してあるハーブティーが登場します。古くから伝わる薬草の文化が現代の生活にも活きているのです。薬草の権威、M. Pahlow氏のレシピーを参考にドイツのハーブティーをご紹介しましょう。

亜麻( Linum usitatissimum )

亜麻(絵・前田純子)

今回は亜麻、ハーブ名、フラックスです。亜麻はあま科の1年草で、50cmから70cmに伸び、細くスラリと伸びた枝に細長い葉をつけ、枝先に青い五弁の花をつけます。開花は6月から8月ごろで、9月ごろに花が丸いカプセル状になり、その中に種ができます。原産地は地中海沿岸と考えられていますが、石器時代には、すでに中部ヨーロッパでも栽培が始まっていたようです。ハーブとしては、成熟した種を採取し、乾燥させて用いますが、亜麻仁油を採るためには、成熟する前に採取します。

〔適用〕

亜麻は粘液体を多く含み、口内、のど、胃などの粘膜を保護、痛みなどの症状を和らげる働きがあります。また、腸内で膨張するので、慢性の便秘症の改善にも確かな効果があります。湿布として用いると、皮膚にできた腫瘍などの腫れ物の痛みを和らげ、患部を軟化して回復を助けます。

一方、リノール油を含む亜麻仁油は、乾癬、発疹、ヘルペスなどに塗布して用いると、痛みを抑え、回復を助ける効果があります。また、イボや痛い魚の目は、1日2回亜麻仁油を塗ることで、痛みもなく自然に消滅してしまいます。

〔慢性便秘症の改善には〕

腸の蠕動が緩慢なために起こる慢性便秘症には、毎日、朝・夕2回、亜麻の種大さじ2をつぶして食用しますが、果物のムースや蜂蜜などに混ぜて食べると、効果が高まります。亜麻は腸内で膨張し、腸を広げ、刺激を与えます。その刺激によって、蠕動が促され、自然な便通が起こります。ただし、効き目はゆっくりと穏やかで、便通があるまでに2,3日かかることもあります。この療法を数週間から数ヶ月続けることによって、腸の働きが正常化し、慢性便秘症が改善します。強い下剤を常用すると蠕動運動は改善されず、しかも、腸壁に傷をつけてしまうことになるので、ご注意ください。

〔亜麻茶〕

亜麻の種茶さじ1に水1カップを注ぎ、時々かき混ぜながら、20分ほど置き、その後、茶漉しでこします。できた粘液を軽く温め、うがいをしたり、口をすすいだりすると、のどや口内など炎症を起こしているところにフィルム状に付着して、痛みを緩和、その殺菌作用によって患部を保護します。胃の炎症には、暖めた亜麻茶カップ1を飲用してください。

〔亜麻湿布〕

ガーゼの袋に亜麻の種を入れ、熱湯に10分ぐらい浸しておきます。その後、腫瘍、膿瘍、腫れ物の患部にのせます。この湿布は、肝臓の腫れにも、経験的に、確かに効果があるのですが、なぜ効果があるのかは、まだ科学的には解明されていません。

〔有効成分〕

リノール油、グリコ‐リナマリン、ビタミンA,B,D,E、アルファリノレン酸、ミネラル類、その他

(エリカ)