【英国通信】本当のクリスマス精神とは?

【大紀元日本12月31日】燃料費高騰に金融危機が重なり、皆、クリスマスプレゼントの出費を抑え、相次ぎ大手の店舗が倒産しているイギリス。やはり、今年のクリスマスはいつもの盛り上がりに欠けていました。

こんな中、私は今年3月に98才で亡くなったティーンさんの最後のクリスマスに思いを馳せています。4年前に、7年間の介護の末に夫を亡くした彼女は、「人間が好きだから、まだ、もうちょっと生きるわ」といつも好奇心の塊で人の話をじっくりと聴き、明確な口調で「それは良い事ね」「それはひどいわ」とコメントをしてくれました。クリスマスは亡くなったご主人が大好きで、いつも飾り付けを忘れませんでした。そして、聖母マリアと夫のヨセフ、空の赤児用のベッドを象った、小さな木彫も必ず置かれました。小さい頃、25日の朝起きると、必ずこの小さな木彫のベッドに小さな木彫の赤ちゃんが置かれていたそうです。この母親の風習に倣い、彼女も忘れずに毎年クリスマスの朝に赤ちゃんを入れていました。

昨年の12月19日、不運にもティーンさんは突然の吐血に見舞われ、救急車で入院。でも「私はすぐに治るから」と、精密検査を受けたあと、三日後に1人で退院。それでも、自宅で安静にしている状態でした。12月24日、夜中のミサの鐘の音を聞きながら、「私はいったいここで何をやってるの?まだプレゼントも包んでいないじゃないの」と起きあがり、1人で包装紙を出していろいろな人へのプレゼントを包んだそうです。日本人の私には、醤油皿を包んでくれました。以前に戸棚の中の醤油皿を見て、「あ、なつかしい」と口にしたら、「じゃ、クリスマスプレゼントね」という会話を交わしたのでした。

毎年クリスマス前後は、パーティー疲れで身体が参ってしまうので、この年の25日は、一番親しいマイケル(70代で彼女の保護者代わりをしていた人)の家で二人だけのクリスマス・ディナー(七面鳥の昼食)をすることになっていました。予定通り迎えに来たマイケルは、「まちがえてこんな大きなクリスマスケーキが届いたんだよ。この辺に置いとくから、来た人に分けるといいよ。」と笑いながらケーキを差し出しました。そこで、ティーンさんは、「ちょっと待って。私達よりも今日ケーキが必要な人がいるはずよ」と、クリスマス・ディナーはさて置いて、家やお金のない人々が集まる慈善事業の施設までマイケルに車でケーキを届けさせました。数日後、クリスマスプレゼントを受け取りに行った私に、文句も言わずにケーキを届けたマイケルがいかに偉いかとティーンさんはしきりに褒めていましたが、病み上がりの身なのに、自分を省みず、常に他人のことばかり考えているティーンさんに頭の下がる思いでした。物質至上主義にまどわされない、真のクリスマス精神を直に教えてもらいました。

「今年はお金がないから、娘にビーズでネックレスを作っているの。こんなこと、娘が子供の時以来、初めて。」という人にも、最近出逢いました。不況を機会に、これまで見失っていたものが取り戻されることを切に祈っています。

(縁)

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