【草木染めの植物】千茅(チガヤ)

【大紀元日本6月18日】日本全土の日あたりのよい土手や原野に群生するイネ科の多年草で、葉は細長く、6月頃褐色の花穂を出します。万葉集にも出ている「つばな」は若い花芽のことで、ガムのように噛むと甘い味がします。江戸時代にはこの「つばな」を売り歩いていたようです。根茎を乾燥したものは茅根(ぼうこん)という生薬です。

【薬用効果】茅根は心・肺・胃・膀胱に働き、止血や消炎作用を有し、口渇、黄疸、膀胱炎に有効ですが、作用は緩和です。一日量は乾燥物9~30g、新鮮品なら30~60gを煎服します。花は白茅花(びゃくぼうか)といい、止血作用があり、民間では噛んで虫下しに有効とされています。

【食用】今は笹で包まれている粽(ちまき)、元々は千茅を使用していました。

【染色用】7月頃の茎葉を水から煮出して染液とします。染液を熱して煮染します。アルミ媒染で黄色、銅媒染で黄茶色、鉄媒染で海松色(みるいろ)に染まります。

チガヤの花穂(撮影=大紀元、2009年6月7日)

チガヤの全景(撮影=大紀元、2009年6月7日)

(文・ハナビシソウ)