中華文明の薀蓄「桃李」

【大紀元日本8月9日】中国には、教師に対する賛美の表現として、「桃李満天下(桃李が天下に満ちる)」という言葉がある。「多くの学生を育て上げましたね」という意味だ。

この表現の中の「桃李」とは、学生のことを指し、古典の中にも、多くの記載がある。唐朝の劉兎錫による詩「宣上人遠寄和礼部王侍郎放榜后詩因而継和」では、「一日で名声が天下に満ちる。町中の桃李が春官に属する」とある。

また、唐朝の白居易による詩「奉和令公縁野堂種花」では、「貴方の桃李が天下に満ちている。もう、庭に花を植える必要はないだろう」とある。

「桃李」の由来は、戦国時代に遡る。魏の臣下・子質が、無実の罪に問われて北へ逃亡した。北方で、子質は偶然にも趙国の王・簡主に出会った。そして簡主に「これから、私は二度と人材養成しない」とこぼした。

簡主は彼に問うた。「それはまたなぜか?」。

子質は答えた。「大堂(裁判所)の半数の人材は、私が養成した。朝廷内の臣下の半数は私が育て、また辺境を守る軍隊の半数は、私が養成したものだ。しかし、大堂の輩は、わが君の面前で私の悪口を言い、宮廷内の臣下たちは、法律をたてにとって私を脅し、辺境の軍人たちは武器をもって私に敵対している。だから私は、もう人材を養成しないのだ」。

簡主は嘆いた。「ああ!あなたの話は間違っている。もし春に植えた樹が桃や李であるならば、夏にはその木蔭で涼をとることができ、秋にはその実を食することができよう。しかし、もし春に植えた樹がハマビシのような茨であったなら、夏には葉の茂る木蔭は望めないし、秋には棘が延びてくるだけだ。つまり、人を養成するのも、樹を植えることも同じことで、まずよい人材を選択し、それから養成するのだ。あなたが養成した人たちは、本来養成するべきではなかった」。

後に、人々は師が養成した優秀な人材を「桃李」と喩えるようになった。

(翻訳・太源)
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