英国バイリンガル子育て奮闘記(14)

【大紀元日本12月7日】

幼稚園(1992~1994年) にわとり、にわとり、 コケコッコー

2学期目、3学期目と娘が 幼稚園に通う回数を増やしていくにつれ、やはり起こるべきことは起こった。頭の中は英語で一杯。日本語はどんどん忘れ去られていく。

にわとりのカードを見せても、「チキン、チキン、クックドゥードゥル・ドゥー」という返答。本当に日本語が出てこない。こちらも腹を決めて、ゼロからの日本語指導にあたることにした。というわけで、幼稚園から戻った娘をつかまえて、にわとりのカードを見せ、「にわとり、にわとり、コケコッコー」を繰り返す。一つの言語が話せるようになるかは触れる量で決まる。とにかく、娘が幼稚園で触れてきた英語の量に負けないだけの日本語の量に触れさせなければ、という覚悟だった。

「学校ごっこ」も娘の指導でやらされたが、当然のことながら、全て英語。この時は悲しい表情で「マミー、ダディーの言葉、しゃべれないよ」と答えて、母親に対しては、幼稚園語はそのまま使えないという状況に適応してもらった。

ちなみに、英語の方は、片言という段階はなく、いきなり文章が口からでてくるようになった。幼稚園から戻ってきて、初めて明確に口にした娘の英語表現は「I didn’t do it. You did it.」(私はしなかったよ。あなたがしたんでしょ)。 昔、日本の道徳の教科書に、桜の木を折った幼いジョージ・ワシントンが自ら謝った話があったが、このような道徳観は、 子供が自然に持ち合わせているものではなく、枠組みやガイダンスによって形成されていくようだ。

(続く)