子どもが無口になった? 反抗期の陰に隠れた心のサイン

15歳のエイミーちゃんは、かつては健康で明るい少女で、友人とおしゃべりをしたり、学校のクラブ活動に参加したりするのが好きでした。しかし、ある時から急に口数が少なくなり、部屋に閉じこもることが増え、スマートフォンだけが彼女にとっての唯一の外界とのつながりになっていきました。

両親は当初、思春期による反抗だろうと考えていましたが、ある日、彼女が「生きているのがとてもつらい」と書き残しているのを見て、初めて娘が深刻な抑うつ状態に陥っていることに気づきました。

エイミーちゃんの物語は、決して特別な例ではありません。不安や抑うつといった青少年のメンタルヘルス問題は、すでに新世代の健康を脅かす「見えない流行病」となっているのです。

「本当の健康とは、心の健康と体の健康が合わさったものです」と、アメリカ心理健康協会認定講師の宋怡幀氏は、新唐人テレビの番組『健康1+1』で語っています。「心の健康状態が良くないと、物事を明確に考えたり、健康的な判断を下したりする力に影響するだけでなく、慢性疾患に対する身体の抵抗力にも影響を及ぼす可能性があります」宋氏は、保護者と子どもに対し、必要な場合にはできるだけ早く医師や専門家の助けや治療を受けることが、幸福感や生活の質を高めるうえで重要だと呼びかけています。
 

子どもの心の不調を知らせる警告サイン

宋氏は、「メンタルヘルスの問題は、身体の不調のように目に見えやすいものではありません」と述べ、だからこそ、日頃から積極的に子どもの心の状態を把握することがとても重要だと指摘しています。保護者や教師は、次のような変化を決して見過ごしてはいけません。これらは、青少年が心理的な悩みを抱えているサインである可能性があります。

  • 感情の変化:怒りっぽくなる、気分が落ち込む、引きこもる、人と関わりたがらなくなる。
     
  • 思考や認知の変化:否定的な考えが増える、自己否定をする、物事への興味を失う。
     
  • 外見の変化:突然身だしなみに気を使わなくなる。以前は外見を気にしていたのに、おしゃれをしなくなる。
     
  • 生活リズムの変化:寝つけない、または寝過ぎる、食欲不振や過食が見られる。
     
  • 学業面の変化:集中力が続かない、成績が下がる、学校に行きたがらなくなる。

宋氏は、これらの変化は、昨年と今年を比べて気づく場合もあれば、6か月前と6か月後を比べて気づく場合もあると説明しています。こうした変化に気づいたら、できるだけ早めに子どもと話し合うことが大切です。
 

すぐに助けを求めるべきサイン

宋氏は、次の5つの抑うつの兆候については、特に高い警戒が必要だと注意を促しています。子どもにこれらのうち一つでも見られた場合は、速やかに専門家の助けを求めることが望まれます。

  1. 自分では現状を変えられないと感じている。
     
  2. 物事は決して良くならないと思い込んでいる。
     
  3. 死について語ったり、死に関する発言をしたりする。
     
  4. 絶望、銃、死に関連する内容の文章を書いたり、絵を描いたり、そうした音楽を聴いたりする。
     
  5. 冗談のような言い方であっても、自殺をほのめかしたり、脅しのような発言をしたりする。
     

保護者のためのコミュニケーション方法

宋氏は、子どもにメンタルヘルスの問題があるかどうかを見極めるために、次のようなコミュニケーションの工夫を勧めています。

毎日、子どもと話す時間を意識的に設け、オープンで誠実な対話を心がけ、子どもが自分の気持ちを表現できるよう励ましてください。思春期は非常に重要な時期であり、保護者はできるだけ多くの時間を共に過ごすことが必要です。宋氏は、「会話を通して心の内を話し合うことで、子どもは自分の生活で何が起きているのか、学校での出来事や、周囲の友人の行動や価値観をどう受け止めているのかを、心を開いて話せるようになります」と述べています。

評価や判断をせずに耳を傾けることは、子どもの本当の気持ちを聞くうえで欠かせません。「急いで質問を投げかけるのではなく、ゆっくりと話を聞き、静かにそばに座り、子どもが感じていることを真剣に受け止めてあげてください。それがとても効果的です」と宋氏は言います。

保護者は、批判するのではなく、子どもの感情を認め、受け入れることを学ぶ必要があります。自分の成長体験と比べることは避けましょう。例えば、「あなたは恵まれているでしょう。私が子どもの頃は、こんなに良い服も着られなかったし、こんなに新しいおもちゃもなかった。それなのに、あなたは全部持っているのに、何が不満なの?」といった言い方は控えるべきです。

また、保護者自身が自分の感情や問題解決の方法を共有することで、子どもを支え、良いお手本を示すことができます。特に、年齢の異なる子どもには、それぞれが理解しやすく、受け入れやすい言葉を使って話すことが大切です。

子どもの不安や、ソーシャルメディアによるプレッシャーに対して、宋氏は、子どもに「自分は一人ではない」ということを伝えるよう勧めています。多くの青少年が不安を感じており、それは決して珍しいことではなく、ごく一般的に見られる反応なのです。

親は子どもの良き友人であり、道しるべとして、段階的に不安な状況に向き合う手助けをすることができます。もし子どもが友達を作ることや集団に溶け込むことを怖がっている場合は、家庭でロールプレイ(役割練習)を行い、少しずつ社会的な場に触れさせることで、徐々に自信を育てていくことができます。

子どもが感情の混乱や心の動揺を抱えているときに、黙ったままにさせてはいけません。それは不安をさらに強めてしまう可能性があります。必要に応じて、小児科医、看護師、心理の専門家、学校の指導担当者、カウンセラーなど、専門家の助けを求めることも重要です。
 

ソーシャルメディアが青少年に与える影響

ニューヨーク市保健局が2024年に発表した報告書によると、青少年のソーシャルメディア利用頻度と、メンタルヘルスの問題や症状が現れる割合には正の相関関係があるとされています。毎日ソーシャルメディアを利用している青少年のうち、90%が全般性不安を感じており、56%が少なくとも何らかの抑うつ症状を報告しています。

別の研究では、2012年以降、青少年の間で抑うつ、自傷、自殺、不幸感が急増していることが示されています。デジタルメディアやスマートフォンの使用増加は、対面での人間関係を置き換えたり中断したりすること、睡眠を妨げること、ネットいじめ(インターネット上での嫌がらせ)や、自傷に関するオンライン情報への接触など、さまざまな要因を通じて心の健康に影響を及ぼす可能性があります。
 

子どもに健全なオンライン体験を築くために

ソーシャルメディアの影響に対して、宋氏は次の方法で、子どもが健全なオンライン体験を築けるよう支援することを勧めています。

  • 利用時間を評価する:子どもが毎日どれくらいの時間インターネットを使っているか、運動、友人と会うこと、読書、睡眠といった健康的なオフライン活動に影響が出ていないかを観察してください。必要に応じて、電子機器の使用時間に適切な制限を設けることも有効です。
     
  • 閲覧内容を把握する:保護者は、子どもが使っている機器や接しているコンテンツを理解し、それが子どもにとって意味があり、前向きな影響をもたらしているかを見極める必要があります。レシピ探し、家族旅行の計画、親戚とのビデオ通話など、より健全なオンラインの使い方を促しましょう。
     
  • 親が模範を示す:保護者自身が、ソーシャルメディアや電子機器の使い方を振り返り、子どもにとって良い手本となれているかを考えることが大切です。

(翻訳編集 井田千景)

英文大紀元が提供する医療・健康情報番組「健康1+1」の司会者を務める。海外で高い評価を受ける中国の医療・健康情報プラットフォームであるこの番組では、コロナウイルスの最新情報、予防と治療、科学研究と政策、がんや慢性疾患、心身の健康、免疫力、健康保険など、幅広いテーマを取り上げている。
張瑛瑜