【党文化の解体】第4章(8)

【大紀元日本4月1日】

2.無神論から来る無鉄砲

無神論は党文化の核心の一つである。中共が人々の思想を改造できた理由は、民族の伝統文化を遮断し、マルクス・レーニン主義という外来の文化で中国数千年来の半神文化とすり替えてしまったからである。それ以来、無神論は大陸を席捲し、「天を敬い、神を畏れる」、「善悪に報いがある」は封建的迷信や愚昧無知となってしまった。

人類の歴史から言えば、神に対する信仰や宗教は人類の道徳を維持するために大変大きな役割を果たしてきた。神に対する信仰がなければ、すなわち道徳的な制限がないということであり、道徳的な制限がなければ、法的な拘束は有名無実なものとなる。そのため、目的に達するためには手段を選ばない。

今生と来世の輪廻を信じない、悪事には応報があることを信じない。何をやっても後の結果を考えず、どんな悪事も平気でやってしまうのである。

1)生命の尊厳を無視、恣意に殺人

1949年以後、「鎮反(※1)」、「土地改革」、「三反(※2)」、「五反(※3)」、「反右(※4)」、文化大革命等の度重なる政治運動の中で、数千万人の犠牲者がでた。しかし、毎回の運動の中で、作用したのは中共それ自体だけではない。

中共による幾多の政治運動では、民衆を煽動して民衆と戦わせてきたのである。多くの被害者は往々にして中共により何らかのレッテルを貼られ、周囲の隣人や親戚ないしは家族にまで責められ、虐待され殴殺されたのであった。

それら暴行をした人らは、当然中共に騙されたという一面もあるが、しかし彼らがここまで悪行をしえたのは、党文化による洗脳と緊密な関係がある。天の理を信じ、人倫と人間性を信じる社会においては、これほど大規模な天に背き道理にもとる、人としてあるまじき、人間性を消滅させるような事態は発生しないはずである。

「大躍進」運動後の大飢饉では、餓死者4000万人を出したが、これは人類史上で最大の飢饉である。この大飢饉は中共によって、「三年間の自然災害」と歪曲されたが、実際はその三年間は気候が順調で、大規模な洪水、干ばつ、ハリケーン、津波、地震、霜、寒冷、雹、港、蝗害など自然災害は一切なく、完全な「人禍」であった。もし飢饉が発生した時、糧庫を開放し、解決の方法を探っていたら、飢饉による餓死者はそれほど多くならなかったはずである。

さらに驚かされたのは、息も絶え絶えである村人を目の前にして、共産党幹部たちは道路を封鎖するよう解放軍に命令を出し、村人が飢え死にしそうなのを目にしても逃亡を許さなかったことだ。

文革中の暴動では、学生がベルトで教師を殴り殺し、息子が煉瓦で父親を殴り殺し、相手を殺した後にその臓器を取り出して食べてしまうことさえあった。

中国の古代では、「人命は天に関り」、「一命を救えば、七層仏陀を勝る」といった。当局に粛清される対象は、元々それ自体が可哀想である。しかし、現在多くの人は他人の死を目の前にして助けないばかりが、井戸に石を落とすようなことさえやって、さらには人殺しさえ楽しみ、中共に言われたら何でもやってしまい、それを党性の必要であると思い、党の政策の必要であると思い、如何なる結果も考えていない。

中共の思想によって改造された後の恐ろしさの一端が窺える。今日に至り、この種の生命の尊厳を顧みない所謂党文化的な思惟方法は、時間の推移により過去の歴史となったわけではない。

中共の腐敗や暴政のため、中国社会には圧迫された団体が数多く存在している。富豪と高官は特権を利用し博打三昧の生活をしている一方、解雇された労働者は病気を治療する費用が工面できなくて自宅で焼身自殺し、貧乏の家の母は息子の学費を払えなくて自殺してしまう……。しかし、社会の最下層にいる民衆の悲惨な生活を目の前にして、中国の人々はもはや全く関心を払わず、意にも介さないのである。

可哀想な援助のあてのない民衆の陳情を目の前にして、それら所謂法律を執務する人員は、殴り付け、相手を傷つけ、身体障害にして、人の命を全く顧みないのである。所謂お偉いさんは、無数の坑夫の炭鉱事故を前にして、堂々と「誰がお前たちに中国で生まれろと言ったのか?」のようなとんでもない発言をする。

同様に、中共軍の将官であった朱成虎は、西安より東の地域と中国の人口の半分を犠牲にしても核戦争を引き起こしてもよいとの暴言を放ったが、これは当時の毛沢東の「中国は3億人が死んでもまだ3億人が残る」の発言とどう違うのだろうか。

ただ「臨時居住証」がないために、大学生であった孫志剛は、収容所の中で殴り殺されてしまった。法輪功への迫害の中でも、数多くの法輪功の修煉者は酷刑に処せられて死に至り、2006年に暴露された報告では、2001年以来の法輪功修煉者の臓器狩り事件で、中共の官僚とそれらの医師が莫大な利益を手にしたことが明らかにされた。

その残酷さには、人間性が全く無く、耳を疑うばかりだ。生命の尊厳を無視する行動は政治運動の中で現れるだけでなく、権力者が大衆に対する態度に現れるだけでもない。現在の中国の社会においては、人と人の間には恨みが溢れ、争いに競い、恣意に惨殺し合う現象が現れている。

今の若者はすぐに、手を出したり、殺したり、さらに暴力的であればあるほど崇拝する。残酷な手段によるキャンパス殺人事件も度々発生してしまう。私利私益のための人殺し、金のために命を買うことも随所にみられる。富豪や官僚が殺し屋を雇って人の命を奪い、自分の妻や友人もその対象外ではない。人々の道徳が極悪非道のところまで窮した時、その社会は至極危険な状態となる。

2)天地と戦い、自然を破壊

何十年間にわたって、党文化は中国人を「無法無天」(悪事の限りを尽くす)、「戦天闘地」(天と戦い、地と戦う)の一族としてしまった。

当初の「大いに鉄鋼生産をせよ」「湖を囲み田んぼをつくれ」「スズメを殺し尽くせ」「森林を濫伐せよ」から、今日の環境破壊を代価に高速な経済発展を達成したことは、眼先しか見ていず、子孫の福利を無視しており、巨大な自然破壊をもたらしている。

中国の国家環境保全局の資料によれば、1万ドル相当の商品を生産するのに中国が使用する原材料の量は日本の7倍、アメリカの6倍、インドとでさえその2倍である。環境問題が改善できなければ、中国経済の奇跡は間もなく過去のこととなる。

世界銀行(国際復興開発の通称)の調査によると、世界で最も汚染された10都市のうち、中国はその6つを占めている。水土流失の面積は国土の38%になり、18の省(自治区)の471の県、人口4億人近くの耕地と住まいの環境は砂漠化によって脅かされている現状にある。専門家の推計によれば、将来中国は1億5千万人の人口が「生態難民(環境破壊により生活が脅かされる人々)」になるという。

2006年8月26日、中国の人民代表大会常務委員会の環境検査報告書の中では、「水のあるところが皆汚染され」「雨も皆、酸性化」「環境汚染の深刻さは目に触れるところすべて心を痛め占める状況にある」「(環境保護の対策を)これ以上先送りしてはならない」などの言葉で環境汚染の深刻さが表現されている。

かつて中国中央テレビの第2チャンネルでは、中国の毎年のGDPのうち、その18%が生態環境の破壊と資源の採りすぎによって達成されたと報道した。衛星撮影による地球の写真では、ほかの国は皆緑色となっているのに対して、中国の箇所では、一面の黄土となっている。

多くの中国人ネットユーザーたちは、母なる祖国がこれほど蹂躙されているにもかかわらず、中共がまだ「勃興せよ」と声高く叫んでいるのを見て、絶望してしまった。「一つの大川に波浪広く、吹く風には両岸の稲花の香り」、この曲はかつて中共の愛国主義宣伝のための主力曲である。この美しい川は、中国の人口の六分の一を養育している、全国で3番目に大きい川「淮河」である。淮河について、昔から「千・万箇所を歩き回っても、淮河の両岸に及ばぬ」と言われてきた。

しかし、共産党政権下のわずか数十年で、淮河の汚染は驚くほどになってしまい、この民謡はすでに過去の歴史となってしまった。工業企業による不法排水、都市生活による汚水、農業生産や農村生活による汚水の影響で、淮河流域の約60%が劣等5類水質となってしまった。

汚染は地上から地下へ浸透し、直接的に1億3千万人の生活に影響を与えている。中共も淮河を改修しようと叫ぶが、人心を改めなければ、意味のない話だ。2004年7月27日、淮河は史上最大の汚染源が発生し、巨大な黒いシイタケ状の汚染物が淮河の上流から下流に向かって流れ、その汚染物は全長133キロに及び、総重量は5億トンを超え、それは一路に洪沢湖に入り込んだ。

(自然に)従うものは栄え、逆らうものは亡ぶ、湖面は黒くなり、水面に浮いた屍(魚・蝦・蟹)は千里に及んだ。「10年をかけて汚水を処理し《原点》へ戻ろう、環境破壊で既に600億元の損失が出た」。

党文化が中国人にもたらした「無鉄砲」という心理は、さらに大きな大衆運動、大プロジェクトを熱心にやることに表れている。人的・物的資源を浪費し、自然の法則を無視する。さらに大きなプロジェクトであっても、まずやり始めてから議論しよう、もたらす結果なんて全然考えない。

天と戦う、地と戦う、功績を上げたがる変態心理を満足させ、極めて近視眼的で、問題が発生したら、これを「学費を支払った」といい、きわめて無責任に、国家・民族の未来を子供の遊戯のように扱ってしまうのである。

(※1)鎮反…反革命分子への鎮圧運動

(※2)三反…反貪汚、反汚職、反浪費

(※3)五反…「反行賄」(賄賂をしない)、「偸税漏税」(脱税しない)、「反偸工減料」(仕事の手を抜き原料をごまかさない)、「反盗騙国家財産」(国家財を盗用しない)、「反盗窃国家経済情報」(国家経済情報の悪用をしない)

(※4)反右…反右派闘争

(続く)