手紙の開封検査が義務化 行き過ぎた安全対策に市民から反発の声=上海万博

【大紀元日本4月7日】5月1日の開幕まで1ヵ月を切った上海万博。中国政府は、安全対策や景観向上の一環として、一連の規定を発表した。市民からは、日常生活まで影響がおよぶ細かい規定に、不満の声が上がっている。

中国公安部と国家郵政局は先月22日、必要に応じて、手紙・小包などの郵便物を開封し、検査することができると規定した。理由として、両機関は「国家の安全を脅かす行為を防ぐため」としている。さらに、万博の期間中は手紙や小包を郵送する際、本人確認することを義務化。これについて、ネットの掲示板には「中国では、政府がいつでも郵便物を勝手に開封し、検査してきた。何を今さら規定するのか」など、非難するコメントが相次いでいる。

ほかにも、上海政府は殺鼠剤や毒性のある農薬、刃物の購入時には実名での登録を義務化すると発表。毎週、販売店は購入者の個人情報を管轄の派出所に報告しなければならない。行き過ぎた感のある安全対策に、市民は「どの家にも包丁があるはず。市場には肉や骨をさばく包丁がある。万博だから、肉も食べてはいけないというのか。政府がここまで恐れる必要があるのか」と話している。

また上海政府は、景観対策として、万博開催地から1キロ範囲内の道路沿いのベランダに洗濯物を干してはいけないと規定。ある市民は、「万博が終わるまで、半年間も洗濯物を干してはならないのか」と不満をあらわにした。色とりどりの洗濯物が干されている光景は、上海特有の景観と文化。外国人には、そのままの上海を楽しんでもらったほうがいいという市民の声もあった。

ほかにも、パジャマのままで外出する上海市民の習慣も禁止事項に含まれている。上海市民は、「私たちが脱ぐのは、パジャマではなく自由なのだ」と反発している。

これらの規定について、「広州日報」は国家権力が市民の生活に介入していると批判する内容の評論記事を掲載した。同評論の中で、同済大学文化批評研究所の張念氏は、「政府機関は市民の生活習慣を強制してはいけない」と指摘している。

(翻訳編集・高遠)
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