深刻化する上海の酸性雨 高まる健康への懸念

【大紀元日本5月30日】上海市環境保護局はこのほど、「2010年上海環境状況公報」を発表。2009年度の同市の環境汚染の状況や、環境保護の結果などを報告した。同市の酸性雨(※)は「PH平均値4.66、発生頻度74.9%」と深刻な状況が示されている。

上海市環境保護局の公式サイト発表のこれまでの環境公報によると、1990年、同市の降水PH平均は5.38であり、発生頻度は25%。2000年のPH平均は5.19と僅かに下がり、発生頻度は26%で、10年前とほぼ変わらなかった。しかし、PH平均が4.79と大幅に下がり、発生頻度も49%とかなりの高まりを見せた2005年以降、状況が急激に悪化した。2009年のPH平均4.66、発生頻度74.9%は、上海のような多雨地区で、週1~2回酸性雨が降る計算となる。

中国と世界の環境保護問題を扱う専門誌「中外対話」の副編集長・劉鑑強氏は、「酸性雨の発生に関しては、広州や北京などの都市は上海よりも深刻。しかも、酸性雨だけにとどまらない。一部の中規模の工業都市の環境状況も非常に厳しい。都市部は人口密度が高いうえ、自動車の急増により、環境汚染の進行が速い。政府はGDPの数値を最も重要視しているが、社会の発展は数字のためではなく、水や空気を確保し、基本的な人間の生活環境をより良くするためではないか」と指摘する。

酸性雨の原因は大気中の硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)などであり、喘息、頭痛などの健康被害をもたらすほか、農業、漁業、工業にも悪い影響があるという。なお、日本国立環境研究所の調査によると、日本で観測される硫黄酸化物の49%が中国で発生したものであり、偏西風に乗って日本海側に拡散・移動してきたとみられる。

※酸性雨:大気汚染が生み出す酸性(PH5.65以下)の雨で、PHの数値が低ければ低いほど、酸性雨の酸度は高い。 

(翻訳編集・叶子)
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